デジタルツインプラットフォーム「サイバー建設現場」を開発

―4DBIM/CIMモデルで施工管理を効率化、現場支援の新しいカタチを実現―

応用技術株式会社

 飛島建設株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:築地 功、以下「当社」)は応用技術株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:船橋 俊郎)と共同でクラウド上にBIM/CIMモデルで工事現場を再現し、デジタルツインプラットフォームとして現場デジタル情報を共有可能にしたクラウドサービスである「サイバー建設現場」(特許出願中)を開発しました。

 このサービスでは遠隔地からでも現場の進捗や状況を確認でき、工事関係者間での情報共有により協議をスムーズにし、生産性向上を図ります。

■システムの概要

 「サイバー建設現場」は当社の提案仕様に基づき応用技術が開発したものです。インターネットの通信環境とデバイス(PC、タブレット等)があれば、クラウド上に再現したBIM/CIMモデルで現場状況を確認し、最新情報も同時に表示できます。

 「サイバー建設現場」で扱える情報は、リアルタイム映像(カメラ)、位置情報(GNSS)、各種計器の計測データ、現場の環境情報(天候・騒音など)、ICT施工によるデジタル情報等、デジタルデータ全般になります。(図-1)

図-1 サイバー建設現場の概念図

開発の経緯

 「サイバー建設現場」は、国土交通省発注の令和4年度荒川第二調節池排水門及び囲繞堤新設工事において、BIM/CIM活用工事の実施項目を実現するために開発が進められました。この取り組みは、建設業界全体が抱える課題、特に労働人口減少や高齢化対策としてDX技術の推進が急がれている中でBIM/CIM技術の積極的な利活用を目的としたものです。

 従前ではBIM/CIMモデルの操作・確認にはCADソフトと高性能PCが必要で、現場でそれらを準備し活用するのが難しいという課題がありました。

 この課題解決の為「サイバー建設現場」ではCADソフト・高性能PCが不要で、インターネット環境だけでクラウド上のBIM/CIMモデルを操作・確認可能なシステムとしました。

 さらに4Dにも対応し、過去の実績モデル⇔現在モデル⇔未来の計画モデルのように時間軸を操作でき、施工計画の作成や協議、教育などの場面での活用、作業所業務の効率化や情報共有の迅速化に大きく貢献しています。(図-2)

図-2 サイバー建設現場のBIM/CIMモデル

「サイバー建設現場」の活用

 令和4年度荒川第二調節池排水門及び囲繞堤新設工事では、ICT施工による施工情報のデジタル化が進められ、「サイバー建設現場」により、地盤改良情報、盛土情報、地盤沈下情報、コンクリート打設情報など、様々な情報を一元管理しています。

 工事進捗に伴ったBIM/CIMモデルの変更・更新時にもBIM/CIMモデルに依存することなく「サイバー建設現場」では常に最新情報を提供することで、関係者間の齟齬をなくし円滑なコミュニケーションが図れます。このシステムによりデジタルツインプラットフォームの汎用性が大いに高められています。

図-3 計測結果の分析・グラフ化のイメージ図

■「サイバー建設現場」システムの特徴

① BIM/CIMモデルを施工4Dモデルとして利活用

クラウドサービスのAutodesk Docs(Autodesk Construction Cloudも含む)にアップロードした様々な形式の図面やBIM/CIMモデルを閲覧できます。これにより「サイバー建設現場」の利用者は、最新の工事データを共有し、現場の進捗状況が確認できます。さらにAutodesk Navisworksで作成した工程情報を基にした4Dモデルも閲覧可能です。4Dモデルにより計画段階でのシミュレーションや設計変更に伴う影響を事前に確認出来、施工計画の調整やリスク管理が容易に行えます。(図-4)

図-4 4Dモデル

② ICT施工のデジタルデータとの連携

BIM/CIMモデル中に存在する任意の要素について様々な情報を利用者が随時付加し、管理することができます。例えばICT施工の実測データや工事の進捗状況、施工等などを「サイバー建設現場」内のBIM/CIMモデルに任意のタイミングで付与できます。

更にリアルタイムに自動受信されるデータと連携することで、手動でのデータ入力の手間や時間を大幅に削減でき、現場での生産性が向上、転記ミス等のヒューマンエラーもなくします。また、BIM/CIMモデルが変更・更新されても「サイバー建設現場」内の情報は引き継がれます。(図-5)

図-5 ICT施工のデジタル情報画面イメージ図

③ BIM/CIMモデルを活用したシミュレーション機能

〇水位データに基づいた河川の水面上昇を3次元空間上で再現できます。

 この機能は、4Dモデルでもシミュレーション可能で将来の現場を再現しながら浸水時の被害を事前に確認できます。これによりリスク管理や現場退避計画など適切な対策を講じることができます。(図-6)

〇建設機械類の3Dモデルを現場に配置し、各所の干渉等の確認や配置確認が事前にできます。これにより作業環境整備の効率化や干渉回避による安全施工に貢献できます。(図‐7)

 また、建設機械類の3DモデルをAutodesk Docsにアップロードすることですぐに「サイバー建設現場」で利用可能です。

図-6 浸水想定シミュレーション
図-7 建設機械配置シミュレーション

④ API連携によるデータの汎用的な出力に対応

API連携の機能により時間情報を持つデータ(例:気温、ひずみ計器のデータなど)をグラフ化できます。これにより現場状況を視覚化し、データに基づいた迅速な判断や対応が可能となります。

重機や設備の位置情報をBIM/CIMモデル上に反映させ4Dモデルと重ねることで、現場状況をリアルタイムに再現できます。これにより作業の進行状況を把握し、効率的な進捗管理が可能となります。

また、現場内の人員や建設機械の動線をアーカイブとして記録でき、人の配置や建設機械の稼働率を分析・検討できます。これにより現場作業の効率化や最適化を図り、より効果的な施工計画が作成可能となります。

■今後の展開

今後はi-Construction2.0を指標とし更なる汎用的なデジタルツインプラットフォームとして発展させてまいります。多様なコンテンツやシステムとの連携を拡大させ汎用性を高めることで、あらゆる建設プロジェクトへ対応できるように機能拡充に努めてまいります。

更に将来的には国土交通省が進めるBIM/CIM活用促進施策や、国土交通データプラットフォームとのデータ連携を見据えたシステム構築を目指します。

【飛島建設株式会社 概要】

創業以来140年余、当社は創業精神である「利他利己」を貫き通し建設業を通じて社会の発展に貢献してまいりました。

当社は、これからもお客様や地域社会からの信頼を得ることが何より重要と認識し、これまで飛島建設が培ってきたイノベーションマインドと技術開発のノウハウを活かし、新たな技術や手法を取り入れる事で、社会課題の解決に貢献し「なくてはならない企業」であり続けます。

飛島建設株式会社:https://www.tobishima.co.jp/

【応用技術株式会社 概要】

応用技術は1984年の会社設立以来、ものづくり支援やBIM/CIM、GISを活用した「ソリューションサービス事業」と防災・環境分野を対象とした「エンジニアリングサービス事業」を両輪に、お客様の課題を価値に変えるイノベーションカンパニーとして成長しています。

土木分野においては、国土交通省向けの納品作業をサポートするAutodesk Navisworksアドインツール「Navismaster」の開発・販売をはじめ、BIM/CIMの導入、運用、コンサルティングなど、総合的に支援しています。

応用技術株式会社:https://www.apptec.co.jp/

toCIM:https://tocim.apptec.co.jp/

ニュースリリースに関するお問い合わせ

飛島建設株式会社 管理本部 広報部 TEL : 03-6455-8312

応用技術株式会社 マーケティング戦略部 TEL : 070-1364-6346

技術に関するお問い合わせ

飛島建設株式会社 土木本部 土木設計部 TEL : 03-6455-8327

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会社概要

応用技術株式会社

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URL
https://www.apptec.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
大阪府大阪市北区中崎西2-4-12 梅田センタービル
電話番号
06-6373-0440
代表者名
船橋 俊郎
上場
東証スタンダード
資本金
6億円
設立
1984年06月