【JACOB&CO. STORIES】Vol.2:ブランド黎明期
革新と芸術性を体現してきたジェイコブ&コーの歩みを、シリーズ形式でご紹介する「JACOB&CO. STORIES」。第2回では、ブランド立上げ直後から名機ファイブタイムゾーンの発表までを紐解きます。
移民の少年、ニューヨークで夢を描く
ジェイコブがニューヨークに渡ったのは、14歳の少年のころでした。
旧ソビエト連邦のウズベキスタンから家族とともに移民としてアメリカに降り立った彼にとって、すべては未知の世界。しかし、幼いながらも彼は確信していました――この地で、必ず夢を叶えるのだと。
10代半ばでジュエリー職人の道に進んだジェイコブは、誰よりも速く、正確に、そして創造性をもって作品を仕上げることで頭角を現します。16歳でジュエリー製作のコースを早期卒業し、ニューヨークのダイヤモンド・ディストリクトで働き始めました。
そして1986年、わずか21歳で、自らのブランド「Jacob & Co.(ジェイコブ&コー)」を設立しました。

セレブリティたちを魅了したジュエラー時代
1986年、ジェイコブはわずか21歳でニューヨークのダイヤモンド・ディストリクトに小さなアトリエを構え、「ジェイコブ&コー」を設立。
彼は徹底して“顧客の人生を語るジュエリー”にこだわり、1点ずつ手作業で、最高品質のダイヤモンドと貴金属を使ってオーダーメイドの作品を制作していました。
当時のジュエリー業界ではまだ珍しかった“パーソナライゼーション”と“ストリートの感性”を融合させたそのスタイルは、瞬く間に時代の先端を行くアーティストやスタイリストの間で話題になります。ジェイコブのジュエリーは、単なる装飾品ではなく、着用者の個性や成功を象徴するアート作品でした。
最初の大きな転機は、ノトーリアス・B.I.G.(ビギー)との出会いでした。ビギーはジェイコブを「ジェイコブ・ザ・ジュエラー」と呼び、彼の曲の歌詞でその名を讃えました。
このニックネームは、ヒップホップ界でジェイコブの名を一躍有名にし、彼のジュエリーは成功とステータスの証となりました。ジェイ・Zやミッシー・エリオット、マライア・キャリーなど、90年代を代表するスターたちが次々とジェイコブにカスタムジュエリー制作を依頼し、彼の作品は少なくとも70以上のラップ曲で言及されるほどの影響力を持ちました。
特に印象的なのは、大胆なサイズ感のカスタムペンダントや、高カラットのダイヤモンドを惜しげもなく使ったブレスレットやリングの数々です。こうしたスタイルは、単なる装飾ではなく“自己表現”そのものであり、ファッションの一部としてカルチャーに溶け込んでいきました。ジェイコブ自身が語るように、「私の作品はエンターテインメントの香りがする。セレブリティ向けにデザインされ、価格だけでなく見た目でも彼らにしか似合わないショーピースだった」と、その独自性が際立っていました。
一方で、彼の作品はミュージシャンやアーティストだけにとどまらず、ファッションモデルやハリウッド女優、スポーツ選手たちにも広がっていきます。




ナオミ・キャンベル、ジェイ・Z、カニエ・ウェスト、ファレル・ウィリアムス、ブリトニー・スピアーズ、ビヨンセ、ヴィクトリア・ベッカム、NIGOなど、ジェイコブのクライアントリストは国境を超えて広がっていきました。これらのセレブリティたちは、ジェイコブのジュエリーを単なる装飾ではなく、成功と個性の象徴として公の場で披露し、ブランドをポップカルチャーの象徴的存在に押し上げました。
ブランドはこの時代に、“ストリート&ラグジュアリー”、“カルチャー&クラフツマンシップ”という一見相反する価値観を、美しく結びつけたのです。
ジュエリーを“着飾るための宝石”から“語るためのアート”へと昇華させたこのスタイルは、ジェイコブが築いた最大の功績のひとつと言えるでしょう。
そのスピリットは、現在に至るまでブランドのDNAとして息づいており、「ラブロックダウン」や「マッチ」など、独自の美意識を体現したジュエリー・コレクションは、今なお多くの人々を魅了し続けています。


そして、ジュエラーとして確固たる地位を築いた彼は、やがて新たな夢――時計への挑戦へと歩を進めていくことになります。
時計への憧れと、スイスでの拒絶
1990年代後半、ジェイコブは本格的に時計事業への進出を決意します。13歳のときに父親から贈られたデュアルタイムウォッチに魅了され、かねてから時計製作への情熱を抱いていたジェイコブは、スイスの伝統的な時計メーカーを訪れ、自らのビジョンを熱心に語りました。
しかし、保守的なスイスの時計業界は、ジュエラーである彼を冷たく突き放します。「ジュエラーが時計を作るなどあり得ない」と門前払いを受けたジェイコブは、当時を振り返りこう語っています:
「スイスの時計メーカーは私のビジョンを軽視し、協力は困難でした。製造コストも高く、異国からの挑戦者に対する壁を感じました。」
さらに、彼はスイスの閉鎖的な業界についてこう述べています:
「基本的に、スイスのほとんどの時計メーカーは、私のアイデアは実現不可能だと考えていました。私は不可能に駆り立てられるんです。不可能が大好きなんです。」
幾度となく拒絶されながらも、ジェイコブは屈しませんでした。
むしろ、そのたびに彼の情熱はさらに強く燃え上がったのです。彼はスイスに頼らず、独自の道を切り開くことを決意します。
スイスの伝統的な機械式時計ではなく、信頼性が高くカスタマイズしやすいクォーツムーブメントを採用し、ニューヨークを拠点に製造パートナーを探すことで、自身のビジョンを実現する道を選びました。
ファイブタイムゾーン誕生――革命の瞬間

そして、2002年。ジェイコブはついに、自らのブランドの名を世界に轟かせるタイムピースを完成させます。
それが、「ファイブタイムゾーン」でした。
ニューヨーク、ロサンゼルス、東京、パリ、そして現地時間――
世界を舞台に生きるジェットセッターたちのために、5つの時間帯を同時に表示するという前代未聞のコンセプト。色鮮やかなカラーダイヤル、カスタマイズ可能なベゼルとストラップ、そして大胆かつ洗練されたデザインが組み合わさり、時計は単なる時間を知る道具ではなく、自由、冒険心、そして自己表現の象徴となりました。

ファイブタイムゾーンは瞬く間に、世界中のセレブリティたちを虜にしました。
2002年、『Elle』誌でナオミ・キャンベルがこの時計を着用し、ファッション界に衝撃を与えたのを皮切りに、ジェイ・Z、ドレイク、ファレル・ウィリアムス、デヴィッド・ベッカム、パリス・ヒルトンなど、数多くの著名人がこの時計を身につけた姿がメディアを飾りました。これにより、ジェイコブ&コーは一躍、国際的なラグジュアリーブランドとしての地位を確立。
ファイブタイムゾーンは、ジェイコブの“常識を覆すビジョン”が世界に響くことを証明する、決定的な一打となったのです。
ファイブタイムゾーンは、単なる技術革新にとどまらず、“ライフスタイルを語るタイムピース”として、新たな時計の価値を定義しました。
交換可能なストラップやカスタマイズ可能なベゼルは、個性を重視する現代のトレンドを先取りし、時計を“パーソナルな表現の一部”へと進化させました。「時計=ファッション」の新たな価値観を打ち立てたのです。
その影響は時計業界全体に広がり、従来の時計愛好家(主に男性・富裕層・技術志向)を超えて、若い世代やファッション志向の層、さらには女性層までも惹きつける存在に。
ジェイコブのジュエリーが70以上のラップ曲で言及されたように、ファイブタイムゾーンも数多くの音楽作品やカルチャーシーンに登場し、ポップカルチャーとラグジュアリーを融合させた先駆的存在となりました。
そして、さらなる高みへ
ジュエリーで築き上げた信頼と名声、そして時計という新たなフィールドでの圧倒的な成功。
ジェイコブは、自らの手でラグジュアリーの新たな基準を作り上げたのです。移民としてニューヨークにやってきた少年が、ストリートカルチャーとラグジュアリーを融合させ、世界的なブランドを築き上げたその物語は、多くの人にアメリカンドリームを感じさせるものです。
しかし、彼の挑戦は、ここで終わることはありませんでした。
ファイブタイムゾーンの成功を足掛かりに、ジェイコブ&コーはさらなる複雑機構、芸術的なタイムピースの世界へと挑み続けていきます。
次回は、"ただのブランド"から"伝説"へ――
ジェイコブ&コーが築き上げた革新と進化の物語、クオーツ時計から複雑時計への転身についてさらに深くご紹介いたします。どうぞご期待ください。
【The Latest|新たな一歩】
ジェイコブ&コーは、絶えず進化を続けています。
ここでは、JACOB&CO.の最新の動きをお届けします。

G-DRAGON着用モデル
世界的アーティストG-DRAGON氏が着用したことで話題を集めた「ザ タイムスクエア」。
韓国ブティックのグランドオープン時発表のユニークピース「アストロノミア G-DRAGON」や、オークションサイト「Joopiter」で発表されたオーダージュエリーと併せて、世界中の注目を集めています。
クオーツ式 / 18Kホワイトゴールド製 / ケース径15mm / 総カラット数22.13ct
54,384,000円(税込)
(参考)G-DRAGONとのコラボレーションによる特別なタイムピース「Astronomia Solar G-Dragon」発表
◆JACOB&CO. STORIES
2022年4月、JACOB&CO. JAPAN(代表取締役 福田魁)が設立されました。
今年、ジャパン設立から3年目という節目を迎えるにあたり、改めてブランドの軌跡を深く掘り下げ、その本質に迫る連載企画「JACOB&CO. STORIES」を始動します。
本企画では、ブランドの創業から現在に至るまでの歴史、世界的なパートナーシップ、そして珠玉の現行コレクションを、全24回にわたってご紹介予定。
なお、本連載は毎月第2・第4月曜日に公開を予定しております。
ジェイコブ&コーの軌跡を、定期的にお届けしてまいります。
*連載構成*
Vol.1~Vol.4:『ブランドヒストリー』 創業から成長まで、ジェイコブ&コーの原点に迫る。
Vol.5~Vol.6:『パートナーシップ』 各界とのグローバルなパートナーシップを紹介。
Vol.7~Vol.24:『現行コレクション』 革新と美学が息づく現行ラインナップの魅力を紐解く。
【ジェイコブ&コーについて】
1986年に設立。当初は高級ジュエリーを取り扱い、宝飾業界で高い地位を確立し、2002年に時計業界へ本格的に参入しました。世界中のセレブリティを中心に一世を風靡したファイブタイムゾーンウォッチから始まり、これまで不可能と言われてきた複雑機構「アストロノミア」、「ツインターボ」、「ブガッティ シロン」などの開発に成功し、時計業界に技術革新を起こし続けています。現在、ジェイコブは超高級車メーカー「ブガッティ」やサッカー界のスター選手「クリスティアーノ・ロナウド」などとパートナーシップ契約を結び、「不可能を可能に」というコンセプトのもと革新的な作品を生み出し続けています。スイス最高峰の時計製造技術と宝飾業界で培った高い芸術性とノウハウを兼ね備え、時計業界の最先端を行くブランドとして、世界中で多くのファンを魅了し続けています。
▼ジェイコブ&コー銀座ブティック
〒104-0061
東京都中央区銀座6-7-9丸喜ビル1階
営業時間11:00〜20:00
Email:info@jacobandco.jp
Tel:03-6281-4777
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