NTTアノードエナジーと金沢工業大学、日本初の直流電力融通システムによる共同事業の開始および産学共創ラボの設立について
【本事業の概要および目的】
NTTアノードエナジーと金沢工業大学は、本日、金沢工業大学扇が丘キャンパス内に太陽光発電設備と蓄電池を設置し、北校地、南校地にそれぞれ直流1500V、直流380Vの自営線網の構築及び両校地間の電力融通の活用により、太陽光発電の電気を直流のまま直流LED照明や、直流サーバーの各設備に供給を開始しました。本事業を通じて、再生可能エネルギー(以下 再エネ)を効率的に余すことなく有効に利用し、本事業全体で年間175トン(設備導入前比43%)のCO2削減をめざします。
また、災害等の系統停電時には、太陽光発電と蓄電池、双方向直流EV急速充電器とEVにより、野々市市の指定避難所となっている南校地の体育館に必要な電力を自立的かつ効率的に供給することで、電源バックアップの時間を大幅に増やします。
なお、本事業は、環境省の補助事業※4を受けて実施するもので、目的は、以下のとおりです。
(1)GX(再エネ活用のための変革)・・・・再エネの直流配電による省CO2
(2)エネルギーレジリエンス・・・・野々市市拠点避難所の停電時電源救済
(3)オンサイトPPA・・・・NTTアノードエナジーと金沢工業大学の共同事業
【金沢工業大学扇が丘キャンパス 直流給電システムの概要および特徴】(図1)
扇が丘キャンパスの直流給電システムは、再エネを「直流で創る」太陽光発電、「直流で運ぶ」DC1,500Vループ幹線およびDC380V幹線、「直流で蓄める」蓄電コンテナ、「直流のまま使う」LED照明やサーバー、EVチャージャー等をはじめ、各設備の監視制御を行うエネルギーマネジメントシステムにより構成され、以下の特徴があります。
(1)直流1,500Vの採用・・・・直流380Vに比べ配電による電力損失を大幅に低減
(2)ループ系統の採用・・・・直流配電事故時でも配電事故点の切離しによる継続給電が可能
(3)自律分散型制御・・・・再エネ等の分散電源による地産地消の実現に適した制御
また、従来「直流のまま使う」ためには、直流入力に対応した負荷設備の導入が必要でしたが、換気設備や空調設備(熱搬送ポンプやファンコイル)等、一般的に交流入力とされていた設備において、内部の変換装置(インバータ)により直流入力でも動作することに着目し、「直流のまま」既設の換気設備や空調設備に供給しています。
図1 金沢工業大学扇が丘キャンパスの 直流給電システム
【共創ラボの概要】
共創ラボについては、直流の技術課題及び社会課題の学術的な研究開発を実施している金沢工業大学と、エネルギービジネスを通じて直流の社会実装を進めているNTTアノードエナジーの両者の強みを融合した、産学共創ラボ「KIT × NTT-AEスマートエネルギーラボ」を設立し、本事業の円滑な推進や地域GX人材の育成、社会実装型研究開発を含む活動の拠点として本事業を積極的に推進します。(図2)
図2 KIT × NTT-AEスマートエネルギーラボについて
【今後の展開】
NTTアノードエナジーと金沢工業大学は共創ラボにおいて、本事業の省エネ・省CO2効果や避難所の停電時のエネルギーレジリエンス効果の評価分析を行うとともに、各設備の詳細な運用データや、交流システムと比較した場合の直流給電システムの効果等の分析評価を行います。
また、両者は本事業を通じて、扇が丘キャンパス内にとどまらず、近隣の建物施設への直流による再エネ電力融通の拡大検討を進めるとともに、本事業の成果を踏まえて、地方自治体や一般のお客さまのカーボンニュートラルの実現とエネルギーレジリエンス強化に貢献するための、直流による新しい電力流通の仕組みや事業モデルの検討を進めてまいります。さらに、これからを担う地域のGXを推進する人材の養成をめざします。
※1) 2022年2月4日ニュースリリース「金沢工業大学扇が丘キャンパスにおける直流による共同事業の実施について」
https://www.ntt-ae.co.jp/pdf/press20220204.pdf
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2022/0204_ntt-ae.html
※2) 直流自営線により公道を跨いだ大学キャンパスの建物間の電力融通を行うシステム(2023年11月1日時点、金沢工業大学およびNTTアノードエナジー調べ)
※3) グリーントランスフォーメーション(GX): これまでの化石エネルギー(石炭や石油など)中心の産業構造・社会構造から、CO2を排出しないクリーンエネルギー中心に転換すること。
※4) 環境省「令和3年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(PPA 活用など再エネ価格低減等を通じた地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)平時の省CO2と災害時避難施設を両立する直流による建物間融通支援事業」および「令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(PPA 活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業)平時の省CO2と災害時避難施設を両立する直流による建物間融通支援事業」を受けて実施。
【参考】設備の配置および写真
【直流で創る】 太陽光発電(南校地20号館体育館(避難所)屋上)
【直流で運ぶ】DC1500V幹線
【直流で蓄める】蓄電コンテナ
【直流で使う】LED照明、ファンコイル(7号館自習室)
【直流で使う】双方向EVチャージャー
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