【現地レポート】日本初の公立eスポーツ学科誕生へ_唐津青翔高等学校で見た教育の最前線【株式会社ソフィアクロスリンク】

佐賀県玄海町の唐津青翔高等学校で開催されたeスポーツ体験会を取材

株式会社ソフィア

地域・産業界・教育機関の連携を軸にした人材育成の仕組みづくりを行う 株式会社ソフィアクロスリンク(島根県松江市東本町3丁目6番地、代表取締役:廣田 拓也、以下ソフィアクロスリンク)は、佐賀・玄海町におけるコンソーシアム(共同事業体)設立に向けて、アドバイザーとして支援。およそ2年の構想を経て、2025年5月に玄海まるっと委員会が設立しました。
玄海町唐津青翔高等学校の活性化に向けて、ソフィアクロスリンクが取り組んできた伴走支援と7月に行われたeスポーツ体験会の様子をご紹介します。

2025年7月25日、人口約5,000人の佐賀県東松浦郡玄海町にある県立唐津青翔高等学校に、全国から約60人の中学生が集まりました。

目的は、来年度開設予定の「eスポーツ学科」の体験入学です。

全日制公立高校としては日本初となるこの学科への注目度は高く、参加者数は前回開催した3月の体験会と比較して3倍に達しています。


地域一体となった教育イノベーション
 


この取り組みの背景には、単なる学校の新学科設置を超えた、地域全体での教育・産業変革の構想があります。

2025年5月に設立された玄海まるっと委員会は、玄海町役場・唐津青翔高等学校・一般社団法人みんなの地域商社による3者のコンソーシアムです。

このコンソーシアム設立には、地域・産業界・教育機関の連携を軸にした人材育成に取り組むソフィアクロスリンクが約2年間にわたってアドバイザーとして伴走支援を行いました。

5月10日の設立総会では、佐賀県教育委員会と玄海町との連携協定が締結され、32名が7つのグループに分かれたワークショップも実施されました。「一人ひとりの未来」「町の未来」について、生徒と大人が立場の垣根を越えて自由に意見交換する光景は、まさに新しい教育コミュニティの萌芽を感じさせるものでした。


■「ゲーム」を超えた学びの場
 

 

会場となったCAI教室と図書室は、普段とは違う熱気に包まれていました。参加者は事前に6つのチームに分けられ、10分ごとにローテーションで3つのゲーム体験ブースを回る仕組みになっています。男女比は約7:3で、男子生徒がやや多い印象を受けました。

ここからはプログラムの一部を紹介しながら、地域・教育現場・行政が目指す共通のゴールについて紹介していきます。

グランツーリスモブース:ビジネスの視点から

最も印象的だったのは、レーシングゲーム「グランツーリスモ」のブースでの企業担当者による説明でした。単なるゲーム体験にとどまらず、「eスポーツと仕事の関係」について具体的なビジネスモデルを交えて解説していました。

「企業が求める人材とは何か」「eスポーツ業界の収益構造はどうなっているのか」といった、将来の就職に直結する実践的な内容でした。コーチング経験豊富なスタッフがゲームプレイをサポートしながら、技術的な指導と併せてキャリア形成についても語りかけていました。

これは従来の「部活動の延長」とは明確に一線を画すアプローチです。eスポーツを通じて社会に出るための実践的スキルを身につけさせようという教育機関としての意図が明確に感じられました。

ストリートファイター6ブース:プロの技術を間近で

格闘ゲーム「ストリートファイター6」のブースでは、プロゲーマーのどぐら選手(Crazy Raccoon所属)が直接指導にあたっていました。全員が見やすい大型スクリーンが設置され、プロの技術を間近で学べる環境が整備されていました。

ここでは主に体験中心で、参加者たちは真剣な表情でコントローラーを握り、プロ選手からの直接アドバイスに耳を傾けていました。「将来はプロゲーマーを目指したい」と語る男子生徒の目は、確実に未来への希望に輝いていました。

これまでeスポーツの特殊技術を習得するには個人レベルでトレーニングを行ってきたケースが多く、機会に恵まれず実現しなかった生徒も過去にいたのかもしれません。そのことからもわかるように、学校という場所にあることは非常にユニークであり、これをきっかけに全国から若い選手が続々と排出される可能性を秘めています。

今回地域としての強みを打ち出そうとした行政のバックアップと、eスポーツ分野の可能性と教育を結び付けた学校関係者の新たな挑戦がこの大きな一歩になったことは間違いありません。

マインクラフトブース:様々な学びで重用される教材を体験

マインクラフトは自由度の高いゲームであることから、プログラミング的思考、空間認識能力、問題解決能力、協調性など、多岐にわたる能力を育むことができると複数の教育機関から注目されています。
発想一つで自由に楽しめるゲームとして知られる同ゲームは多くの学校や塾などで用いられており、体験会でもたくさんの参加者が訪れました。

次世代人材育成への本格的取り組み

その一方で日本初の取り組みゆえの課題もゼロではありません。

この日の体験会に参加したある保護者からは「ゲームになると感情的になりがちだが、アンガーマネジメントなど心理面でのサポートはあるのか」という質問も聞かれました。

競技性の高いeスポーツにおいて、メンタル面でのサポートは確かに重要な要素でしょう。
また、入学した後の生活面への質問や、修了後の将来像についても聞かれ、日本初のeスポーツ学科誕生への期待の高さがわかります。

ソフィアクロスリンクは2021年から文部科学省の「マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)」に対する伴走支援を行っており、次世代の地域産業人材育成を支援し続けています。玄海町での取り組みもその延長線上にあります。

わたしたちの越境デザインによる協働体制づくりは、単なる教育支援を超えて地域の産業振興と一体化した人材育成を目指しています。

全国の地方自治体が人口減少により公立高校の存続課題に直面する中、玄海町のアプローチは「高校の魅力化」と「地域産業の魅力化」を同時に実現する先進的モデルとして注目されます。

生徒だけでなく、地域の大人たちも含めた探究的な学びの場づくりは、従来の教育の枠組みを大きく超えた挑戦です。

詳しくはこちらをご覧ください。


■地域と一体となったデジタル基盤
 


この取り組みの背景には、玄海町の積極的なデジタル化推進があります。

同町は「スマート玄海町」を掲げ、ローカル5Gの導入や高度化通信網の整備を進めています。今年3月には町民会館で大規模なeスポーツイベントを開催し、約400人が来場するなど、町を挙げてeスポーツ振興に取り組んでいます。

また、来年度からは寮の建設も計画されており、全国から生徒を受け入れる体制を整えつつあります。当面は地域の協力家庭での下宿という形になりますが、これも地域一体となった教育への取り組みの表れでしょう。


■未来への期待と責任
 

体験会終了後、ある女子生徒は「ハンドルを握ることに興味を持ちました。最高に楽しかったです」と笑顔で語りました。また、男子生徒からは「将来はプロゲーマーなどを目指して、受験など頑張って、ここに入学したいと思います」という力強い言葉も聞かれました。

日本初の公立eスポーツ学科として、唐津青翔高等学校が背負う責任は重いのかもしれません。しかし、この日見た生徒たちの輝く瞳と、教育関係者・地域・企業が一体となった取り組み、そして2年間の構想を経て設立されたコンソーシアムによる継続的支援体制を見る限り、その期待に応える準備は着実に進んでいるように感じられました。

玄海まるっと委員会による地域・産業・教育の三位一体アプローチは、単なる学科新設を超えた地域変革のモデルケースとなる可能性を秘めています。

わたしたちが提唱する「協働を文化にしていく」取り組みが、この小さな町から全国へと波及していくことが期待されます。

2026年4月、定員20名の小さな学科から、日本のeスポーツ教育と地域創生の新たな歴史が始まります。玄海町という小さな町から発信される教育イノベーションが、全国の地方自治体にどのような影響を与えるのか。その行方を見守りたいと思います。

【取材後記】

入り口の受付を生徒が担当している姿も印象的でした。こうした実践的な役割分担も、社会性を育む教育の一環なのでしょう。完璧ではないかもしれませんが、挑戦する姿勢こそが何より大切だと感じた一日でした。特に、2年間の構想期間を経てコンソーシアムが設立され、継続的な支援体制が整っていることは、この取り組みの持続可能性を大いに期待させるものでした。

●佐賀県立唐津青翔高等学校 ウェブサイト


■次世代育成を支援するソフィアクロスリンクの取り組み
 

 株式会社ソフィア/ソフィアクロスリンクは、2021年より文部科学省が推進する次世代人材育成事業
「マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)」に対する伴走支援とともに次世代育成・探究学習を支援し、越境デザインに取り組んでいます。

●文部科学省伴走事業の対談記事はこちら 

  1. ソフィアが次世代人材育成を推進する意義

  2. 変革に対する主体性の高め方

  3. 協働を文化にしていくための視点

  4. 越境によるチーム学習・協働への転換


■会社概要

株式会社ソフィアクロスリンク 

島根県松江市東本町3丁目6番地

株式会社ソフィアで20年培ったインターナルコミュニケーションのテクノロジーやメソッドを活用し、地域の関係資本をもとに企業と行政、企業と学校、企業同士が繋がり、相互に越境し合うことで新しい価値を生み出す支援を行っています。詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。


●本件に関する問い合わせ先

株式会社ソフィア 担当:廣田・近田

TEL:03-5574-7031 FAX:03-5574-7034 e-mail:bizdev@sofia-inc.com

東京都港区麻布十番1-2-3 プラスアストルビル8階 https://www.sofia-inc.com/

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ビジネスカテゴリ
学校・大学
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

株式会社ソフィア

0フォロワー

RSS
URL
https://www.sofia-inc.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区麻布十番1-2-3 プラスアストルビル8階
電話番号
03-5574-7031
代表者名
廣田 拓也
上場
未上場
資本金
3190万円
設立
2001年02月