「MONEX個人投資家サーベイ 2013年2月調査」バブルへの懸念は少数派
マネックス証券株式会社(以下「マネックス証券」)は、2009年10月より、マネックス証券に口座を保有する個人投資家を対象に、相場環境に対する意識調査を月次で実施しております。
このたび、2013年2月15日~18日にインターネットを通じて実施したアンケート調査1,270件の回答結果を報告書にまとめました。マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木 隆の総括と併せてご活用ください。
【調査結果要約】
(1) DI(注)はまちまちでいずれも小動きにとどまる
【日本株DI】(2013年1月) 73 → (2013年2月) 67 (-6)
【米国株DI】(2013年1月) 52 → (2013年2月) 53 (+1)
【中国株DI】(2013年1月) -16 → (2013年2月) -20 (-4)
日本株、米国株、中国株全てのDI値はほぼ横ばいと大きな変化は見られませんでした。2月に入り日経平均の上昇ペースに一服感が出るなか日本株DIは-6ポイントと小幅に下落しました。中国株DIは4ポイント下落し、3ヶ月続いた上昇が途切れました。
(注)「上昇すると思う」と回答した割合(%)から「下落すると思う」と回答した割合(%)を引いたポイント。
(2) 魅力的な業種ランキング前回首位の「自動車」は変わらず、「銀行」が健闘
個人投資家が「魅力的であると思う業種」ランキングでは、前回調査時(2013年1月実施)に円安の恩恵を受け業績回復し、注目された「自動車」が引続き首位を維持。「銀行」は13業種中、前回調査の7位から5位へと順位をあげました。その他、「鉄鋼」(11位→10位)、「石油関連」(12位→11位)が順位を上げましたが「ハイテク」(5位→6位)、「機械」(6位→7位)、「海運」(10位→12位)が順位を落としました。
(3) 今後3ヶ月程度の米ドル/円相場の見通しは円安派がやや後退
今後3ヶ月程度の米ドル/円相場の見通しについて、「円安になると思う」との回答は前回調査から9ポイント低下しました。2月の初旬から円相場が概ね横ばいで推移していることを反映する格好となりました。
(4) バブルを懸念する向きは少数派
今回の調査では、アベノミクスでバブルについて問う設問を2つ追加しました。バブルは起きるかとの設問では、回答者の45%が「起きない」と回答し、「起きる」と回答した24%を大きく上回りました。「起きない」とした理由では、「(過去の経験から)学習したと思う」「バブルが起きるほど景気回復はしない」の2つの意見が挙げられました。一方、「1985年ごろと似ている」「(バブルは)すでに起きている」など現在の株価上昇を背景に、バブルが「起きる」と予想する声が目立ちました。また、バブルは悪いことだと思うかとの設問では、「悪いことだと思う」との回答者は約4分の1にとどまり、総じてバブルに対する懸念は大きくはないことを示唆する結果となりました。
【調査結果】
1. 株式市場を取り巻く環境について(参照グラフ①&②&③&④)
2. 為替市場について(参照グラフ⑤)
3. お客さまの日本株取引について(参照グラフ⑥)
4. 注目するトピック(参照グラフ⑦)
5. アベノミクスとバブル(参照グラフ⑧&⑨)
アベノミクスでバブルは起きると思いますか?
「起きる」理由
「大量のお金が世の中に供給される形になるから」
「現在も期待値だけでこれだけ株価が上昇しているので、材料が出てきっかけがあれば、バブルに突入すると思う。」
「実際すでに起きている。景気が良くなっていないのに、株価が上がっているから。」
「財政規律など守れるわけないから」
「1985年ごろと似ている」
「ITバブル以降10年近くバブルがないからそろそろかと」
「望む人が多いから」
「起きない」理由
「同じ過ちを繰り返さないよう日本人は学習したと思う。」
「バブルを経験した人が、まだ経済の中心にいるので、同じ轍は踏まないと思う。」
「バブルが起きるほど景気回復しない。」
「バブル前に増税でしぼむ」
「お金を刷ったからと言って、市場供給量が一気に増えるとは思えない。」
「日銀の通貨量のコントロールがしっかりしていると思う。」
など
バブルは悪いことだと思いますか?
「悪いことだと思う」理由
「その後の景気の落ち込みがひどくなる」
「経済の実体と相場がかい離して、適切な投資を妨げるから。」
「真面目に働く人が損をする。資産家だけが良い思いをする。」
「庶民は耐えられない。儲かる人は資産を持つ人のわずかにすぎない。」
「貧富の差が激しくなる」
「特に高齢者にとっては、手持ちの預貯金の価値が大幅に目減りする。(株、不動産などに投資する気もない、先がないから)」
「企業努力が得られず、進歩がない」
「悪いことだとは思わない」理由
「収益の機会が増えるから。」
「リスクもあるが、ジリ貧よりは良いと思うから」
「現在のような不景気が浮き沈みがなく続くぐらいなら、好景気と不景気の波があったほうが良いのではないかと思ってしまう。」
「リスクヘッジをきちんとしておけばいいと思う。」
「バブルは資本主義の必然だと思うので、行き過ぎるのも相場と思う。」
「景気が上向き、日本の借金も実質的に減るため。」
「お金を貯め込んでいる人に適度な緊張感を与えることは、経済を適度に活性化させると考えております。」
など
総 括 (マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆)
昨年11月の衆院解散宣言から始まった上昇相場も3カ月以上経つ。相場の世界では「小回り3カ月」と言われ、そろそろ一巡感が出てもおかしくないころだ。日経平均は今月上旬にリーマンショック後の高値を抜き、達成感もある。但し、一本調子で上げてきた相場だけに、買い遅れている投資家も多く、押し目買い意欲は旺盛だから市場全体が大きく下げることはないだろう。日経平均のチャートを見ると、1月は1万500円から1万1千円のレンジで約1カ月もみ合った。1月末に1万1千円台に乗せてからは、1万1千円台前半のレンジ内でのもみ合いが続いている。少しずつ上昇ペースが鈍くなるのは仕方ないところだろう。
そうした状況を反映して相場の先行きを問うDIは先月に比べ若干低下した。それでも依然高水準にあることには変わりない。今回のサーベイでは「アベノミクスでバブルは起きると思いますか?」と尋ねた。週刊誌や書店に並ぶ「煽り系」の投資本には「アベノミクス・バブルに乗り遅れるな!」とか「安倍バブル崩壊でハイパーインフレ」など過激な表現が目立つ。そうしたメディアの論調がどの程度、個人に影響を与えているのかを知りたかった。
結果は「5.アベノミクスとバブル」に掲載した通りだが、個人投資家の多くが「バブルは来ない」と回答している。いくらメディアが煽っても個人投資家は冷静である。
バブルの定義は定かでないが、筆者は「実態価値(ファンダメンタルズ)から極端に市場価格が乖離すること」がバブルだと考える。そうすると今は期待先行で株価が上がっているが、予想PERなどの観点からはまだ十分に説明のつく範囲。今後、円安や世界景気の回復などで業績が改善し、それに平仄を合わせた株価上昇が続くならば、それはバブルではない。バブルが起きない理由で目に付いたのは「日本人はバブルとその崩壊を経験し、十分学習したから」というのがあったが、それには同意しかねる。
「人は歴史の教訓から多くを学ばないものであり、そのことこそ歴史が教える一番重要な教訓である」(オルダス・ハックスリー)
南海泡沫事件以来、何度となく世界中で繰り返されてきた、この悲喜劇を、ここで改めて列挙する必要もないだろう。
今回も皆様のご協力により有益な調査結果を得ることができました。皆様の資産運用を考える一助となれば幸いです。
(マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆)
■調査の概要と回答者の属性
調査方式:インターネット調査
調査対象:マネックス証券に口座を保有している個人投資家
回答数:1,270件
調査期間:2013年2月15日~2月18日
本情報は当社が実施したアンケートに基づいて作成したものです。
・ 本情報は売買のタイミング等を反映したものではなく、また示唆するものではありません。
・ 当社は記載した銘柄の取引を推奨し、勧誘するものではありません。
・ 当社は本情報の内容に依拠してお客さまが取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。
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