「熱中症ゼロへ 2017シンポジウム」を開催~『夏季スポーツ時の熱中症対策』をテーマにディスカッションを実施~
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:石川 裕己、以下「日本気象協会」)は、4月25日(火)に「熱中症ゼロへ」プロジェクト 2017年活動の第1弾としてシンポジウムを開催しました。「熱中症ゼロへ」プロジェクトは日本気象協会が2013年に活動を開始し、今年で5年目となります。
シンポジウムは、日本気象協会 常務理事・古市信道のあいさつから始まり、日本気象協会 気象予報士・石榑(いしぐれ)亜紀子が「天候の変化と今年の暑さの傾向について」と題して、夏の暑さのしくみや今年の夏の暑さについて解説しました。参加者からは「高温になる気圧配置についての解説が参考になった」「今年も早い時期からの熱中症対策が必要だとあらためて感じた」などの声がありました。
帝京大学医学部救急医学講座教授 帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・三宅康史氏は講演で「熱中症のメカニズムや対策、近年の傾向と症例」について解説しました。医師ならではの視点で、熱中症発症の詳しいメカニズムなどを複数のデータを参考に解説し、参加者からは「年代・世代による熱中症リスクの違いがよく分かった」「熱中症の発生場所のデータや、実例の紹介が参考になった」などの声がありました。
シンポジウムでは続いて、個人ごとの熱中症の危険度を簡易的に診断する新しいコンテンツ『熱中症セルフチェック』〔以下、本コンテンツ〕(https://www.netsuzero.jp/selfcheck)を発表しました。本コンテンツを監修した名古屋工業大学大学院教授・平田晃正氏が「新しい熱中症予防コンテンツの発表と解説」として、本コンテンツで用いた技術の解説を行いました。本コンテンツは、今までのWBGT値では加味できなかった、個人差を考慮した予防策を診断できるのが特徴です。参会者からは「一般の人が興味を持ちやすく、視覚的に分かる情報なので理解しやすい」「発汗量や休憩時間の目安が参考になる」などの声がありました。自身のスマートフォンで、早速、本コンテンツを試している参加者も見受けられました。
そして後半では「スポーツと都市の熱中症について ~スポーツを“する人”“観る人”“運営に携わる人”~」をテーマに、国際大会で活躍するNSCAジャパン トレーニングコーチ・澤野博氏と三宅康史氏を迎えて、パネルディスカッションを実施しました。コーディネーターは、ジョギングインストラクターの顔を持つ気象予報士・石榑亜紀子が務めました。澤野氏はリオオリンピック・パラリンピック組織委員会で活動した時のエピソードやスポーツ現場での実体験、三宅氏はスポーツ観戦する時の注意点など、それぞれの専門分野での熱中症に関するエピソードを披露し、会場では参加者がメモを取る様子が見受けられました。
日本気象協会は、熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して「熱中症ゼロへ」の活動をさらに広げていきます。今年度はスポーツイベントなどでも、積極的に熱中症対策を呼びかけます。
【出演者コメント】
熱中症の発症について、年齢との関係で言えば高齢者や子ども、特に乳幼児がかかりやすいと言えます。また、場所の関係では、日当たりのいい所、風通しの悪い所は厳しい環境と言えます。スポーツの種類では屋内競技でも注意が必要です。選手や観客で熱中症と思われる症状が見られたら、まずは声をかけて意識の有無を確認します。暑い環境にいたか、どれくらいの時間そこにいたかを確認し、涼しい場所へ移動させます。水分を摂取させる際は自分自身で飲ませることが大切です。自ら飲料水を持って飲む事ができない場合は、救急車を呼ぶ必要があります。大きな大会では、選手以外にもボランティアが水分を補給できるような休憩室を設置するなど、スポーツに安全に参加することのできるシステム作りが必要であると考えています。
実際のスポーツ現場では熱中症対策のためではなくパフォーマンス維持のために水分補給が必要であると指導しています。諸外国では、トイレに尿のカラーチャートを設置してスポーツの前後で尿の色をチェックし、体内の水分量を確認しています。トレーニングコーチとして競技者を指導する際に、熱中症対策で気をつけていることは健康のほかに気温と湿度です。気温が低くて湿度が高い場合は汗が抜けにくく体内に熱が溜まりやすくなります。これからの時期では夕立の後など涼しく感じる一方で、湿度が高いため危険であると感じます。個人的には指導者の方々には熱中症のリスクをあらためて見直し、スポーツ現場での予防活動を実践していただきたいと考えています。
走る気象予報士として、ランニングなどスポーツを趣味として楽しんでいますが、スポーツには“する”他にも、観戦、ボランティア、指導などさまざまな楽しさがあると思います。自身が公式ランナーとして走っている名古屋ウィメンズマラソンではレース中の気象の変化に注意を促す取り組みを行っています。当日の気温や風、天気、雨や雪などの気象状況に応じてランナーの体への負担や危険度を医師の指導による見地に基づき、4段階に色分けし、その4色の旗でランナーに周知しています。自身も走る気象予報士として、風の強さや体感温度を大会事務局に報告しながら走っており、熱中症予防の普及活動を浸透させていくことが大切であると考えています。
■「熱中症ゼロへ」プロジェクト 2017年 今後の主な活動内容
●主催イベント
・熱中症予防啓発イベント(6/25(日)サンシャインシティ噴水広場)
●タイアップイベント・セミナー
・エコライフ・フェア2017出展(6/3(土)・6/4(日)代々木公園[渋谷区代々木神園町2-1])
・環境省熱中症予防強化月間(7月)啓発イベント運営(東京・金沢・福岡の3カ所で実施)
●協力自治体・事業者との啓発活動
・後援自治体に熱中症予防のための啓発ツール(ポスター・うちわ・リーフレットなど)を配布
・自治体主催の熱中症啓発活動に対し協賛企業のサンプル品を提供するなど、普及活動に協力
・日傘プロジェクトの実施(文化財指定庭園8カ所におけるレンタル日傘の設置)
・スポーツ関連での啓発活動(甲子園、スポーツ競技団体との連携)
・公式クールスポット(調剤薬局全国約1000店舗、全国住宅展示場約400カ所で実施)
■「熱中症ゼロヘ」プロジェクトとは
熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して、日本気象協会が推進するプロジェクトです。熱中症は、正しく対策を行うことで防げます。熱中症の発生に大きな影響を与える気象情報の発信を核に、より積極的に熱中症対策を呼びかけていきます。2013年夏にプロジェクトを発足、5年目となる2017年はこれまでの活動に加え、新たな取り組みも始動します。
■一般財団法人 日本気象協会について
1950年に誕生した日本気象協会は、天気予報に代表される気象予測事業に加え、再生可能エネルギー、環境アセスメント、大気解析事業、防災・減災・安全管理に関する事業など、気象に関するコンサルティング事業を通じ、公共に資する企業活動を展開しています。
以上
シンポジウムは、日本気象協会 常務理事・古市信道のあいさつから始まり、日本気象協会 気象予報士・石榑(いしぐれ)亜紀子が「天候の変化と今年の暑さの傾向について」と題して、夏の暑さのしくみや今年の夏の暑さについて解説しました。参加者からは「高温になる気圧配置についての解説が参考になった」「今年も早い時期からの熱中症対策が必要だとあらためて感じた」などの声がありました。
帝京大学医学部救急医学講座教授 帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・三宅康史氏は講演で「熱中症のメカニズムや対策、近年の傾向と症例」について解説しました。医師ならではの視点で、熱中症発症の詳しいメカニズムなどを複数のデータを参考に解説し、参加者からは「年代・世代による熱中症リスクの違いがよく分かった」「熱中症の発生場所のデータや、実例の紹介が参考になった」などの声がありました。
シンポジウムでは続いて、個人ごとの熱中症の危険度を簡易的に診断する新しいコンテンツ『熱中症セルフチェック』〔以下、本コンテンツ〕(https://www.netsuzero.jp/selfcheck)を発表しました。本コンテンツを監修した名古屋工業大学大学院教授・平田晃正氏が「新しい熱中症予防コンテンツの発表と解説」として、本コンテンツで用いた技術の解説を行いました。本コンテンツは、今までのWBGT値では加味できなかった、個人差を考慮した予防策を診断できるのが特徴です。参会者からは「一般の人が興味を持ちやすく、視覚的に分かる情報なので理解しやすい」「発汗量や休憩時間の目安が参考になる」などの声がありました。自身のスマートフォンで、早速、本コンテンツを試している参加者も見受けられました。
そして後半では「スポーツと都市の熱中症について ~スポーツを“する人”“観る人”“運営に携わる人”~」をテーマに、国際大会で活躍するNSCAジャパン トレーニングコーチ・澤野博氏と三宅康史氏を迎えて、パネルディスカッションを実施しました。コーディネーターは、ジョギングインストラクターの顔を持つ気象予報士・石榑亜紀子が務めました。澤野氏はリオオリンピック・パラリンピック組織委員会で活動した時のエピソードやスポーツ現場での実体験、三宅氏はスポーツ観戦する時の注意点など、それぞれの専門分野での熱中症に関するエピソードを披露し、会場では参加者がメモを取る様子が見受けられました。
日本気象協会は、熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して「熱中症ゼロへ」の活動をさらに広げていきます。今年度はスポーツイベントなどでも、積極的に熱中症対策を呼びかけます。
【出演者コメント】
医師/帝京大学医学部救急医学講座教授 三宅康史氏
熱中症の発症について、年齢との関係で言えば高齢者や子ども、特に乳幼児がかかりやすいと言えます。また、場所の関係では、日当たりのいい所、風通しの悪い所は厳しい環境と言えます。スポーツの種類では屋内競技でも注意が必要です。選手や観客で熱中症と思われる症状が見られたら、まずは声をかけて意識の有無を確認します。暑い環境にいたか、どれくらいの時間そこにいたかを確認し、涼しい場所へ移動させます。水分を摂取させる際は自分自身で飲ませることが大切です。自ら飲料水を持って飲む事ができない場合は、救急車を呼ぶ必要があります。大きな大会では、選手以外にもボランティアが水分を補給できるような休憩室を設置するなど、スポーツに安全に参加することのできるシステム作りが必要であると考えています。
トレーニングコーチ/特定非営利活動法人NSCAジャパン 澤野博氏
実際のスポーツ現場では熱中症対策のためではなくパフォーマンス維持のために水分補給が必要であると指導しています。諸外国では、トイレに尿のカラーチャートを設置してスポーツの前後で尿の色をチェックし、体内の水分量を確認しています。トレーニングコーチとして競技者を指導する際に、熱中症対策で気をつけていることは健康のほかに気温と湿度です。気温が低くて湿度が高い場合は汗が抜けにくく体内に熱が溜まりやすくなります。これからの時期では夕立の後など涼しく感じる一方で、湿度が高いため危険であると感じます。個人的には指導者の方々には熱中症のリスクをあらためて見直し、スポーツ現場での予防活動を実践していただきたいと考えています。
気象予報士/日本気象協会 石榑亜紀子
走る気象予報士として、ランニングなどスポーツを趣味として楽しんでいますが、スポーツには“する”他にも、観戦、ボランティア、指導などさまざまな楽しさがあると思います。自身が公式ランナーとして走っている名古屋ウィメンズマラソンではレース中の気象の変化に注意を促す取り組みを行っています。当日の気温や風、天気、雨や雪などの気象状況に応じてランナーの体への負担や危険度を医師の指導による見地に基づき、4段階に色分けし、その4色の旗でランナーに周知しています。自身も走る気象予報士として、風の強さや体感温度を大会事務局に報告しながら走っており、熱中症予防の普及活動を浸透させていくことが大切であると考えています。
教授/名古屋工業大学大学院 平田晃正氏
熱中症セルフチェックの特徴は、既存の指標(WBGT)のような、ある瞬間における値を用いて熱中症リスクを評価するのではなく、行動による発汗量、体温の上昇の2つを推定することで、総合的なリスク評価を実現したことです。スーパーコンピュータにより7000以上の場合を分析した結果、利用者が入力するのが3項目にも関わらず、水分補給量、活動してもよい時間の目安を提供できるようになりました。また、診断結果もそれらが一目でわかるように表示されます。スポーツの指導者の方など、日々環境が異なる夏場の過酷な状況における行動時間の目安になればよいと思います。熱中症セルフチェックを活用した際でも、体が弱っている人が集団生活した際など、異常を訴える場合もあると思います。その場合には、早めの対処をしてください。熱中症セルフチェックは、子どもから高齢者まで幅広い年齢の方にご活用いただきたいと考えています。
■「熱中症ゼロへ」プロジェクト 2017年 今後の主な活動内容
●主催イベント
・熱中症予防啓発イベント(6/25(日)サンシャインシティ噴水広場)
●タイアップイベント・セミナー
・エコライフ・フェア2017出展(6/3(土)・6/4(日)代々木公園[渋谷区代々木神園町2-1])
・環境省熱中症予防強化月間(7月)啓発イベント運営(東京・金沢・福岡の3カ所で実施)
●協力自治体・事業者との啓発活動
・後援自治体に熱中症予防のための啓発ツール(ポスター・うちわ・リーフレットなど)を配布
・自治体主催の熱中症啓発活動に対し協賛企業のサンプル品を提供するなど、普及活動に協力
・日傘プロジェクトの実施(文化財指定庭園8カ所におけるレンタル日傘の設置)
・スポーツ関連での啓発活動(甲子園、スポーツ競技団体との連携)
・公式クールスポット(調剤薬局全国約1000店舗、全国住宅展示場約400カ所で実施)
■「熱中症ゼロヘ」プロジェクトとは
熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して、日本気象協会が推進するプロジェクトです。熱中症は、正しく対策を行うことで防げます。熱中症の発生に大きな影響を与える気象情報の発信を核に、より積極的に熱中症対策を呼びかけていきます。2013年夏にプロジェクトを発足、5年目となる2017年はこれまでの活動に加え、新たな取り組みも始動します。
■一般財団法人 日本気象協会について
1950年に誕生した日本気象協会は、天気予報に代表される気象予測事業に加え、再生可能エネルギー、環境アセスメント、大気解析事業、防災・減災・安全管理に関する事業など、気象に関するコンサルティング事業を通じ、公共に資する企業活動を展開しています。
以上
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