日本将棋連盟が初の“将棋学習指導要領”を策定 東急キッズベースキャンプの将棋講座カリキュラムが第1号として認定されました
~東急㈱グループの「東急スクラムプロジェクト」と連携し、「将棋×教育」の社会実装を推進~
公益社団法人日本将棋連盟(以下:日本将棋連盟)、東急株式会社(以下:東急)、株式会社東急キッズベースキャンプ(以下:KBC)は、「将棋×教育」による次世代育成を目指し、三者連携による新たな取り組みを始動します。
2024年10月から12月にかけて、日本将棋連盟と東急、KBCは、日本入試センター・SAPIX小学部と共同で「将棋教室ラボ」(以下:本ラボ)を実施し、将棋の教育分野における利活用の可能性を検証しました。本ラボでは、将棋が子どもたちの探究心や論理的思考、自己肯定感などに与える効果を観察し、その成果は、将棋を教育的価値の高いコンテンツとして体系化する重要な知見となりました。
この結果を踏まえ、日本将棋連盟は将棋を通じた教育実践の共通基盤として、初の「将棋学習指導要領」(以下:本指導要領)を策定するとともに、KBCは本指導要領に準拠した新たな「将棋講座カリキュラム」を開発しました。いずれも本ラボの成果を反映したものであり、将棋を「競技」や「趣味」にとどめず、子どもたちの成長を多面的に支える「教育」として位置づける取り組みです。
日本将棋連盟が策定した本指導要領は、「礼儀・マナー」「洞察力・判断力」「コミュニケーション力」「思いやりの心」の4つの領域で構成されています。これらの領域を基に、年齢や習熟度に応じたグループ活動やICT教材の活用、さらには算数、国語、道徳など他教科との連携を通じた指導を行うことを目的としています。また、マナーや思考力、対話力、他者配慮といった行動面を評価し、将棋を通して子どもの多面的な成長を支えるための教育カリキュラムの指針となっています。
KBCは学童保育で培った知見を活かし、非認知能力を育成するという観点から、従来の将棋教室とは異なる全く新しい将棋講座カリキュラムを開発しました。このカリキュラムは、本指導要領に準拠した認定プログラムの第1号として、日本将棋連盟から正式に認定されました。また、開発には『どうぶつしょうぎ』を考案した北尾まどか女流二段が代表を務める株式会社ねこまどが参画しており、専門的な知識と経験が加えられています。
また、東急は半世紀以上にわたり、毎年夏に東急百貨店・さっぽろ東急百貨店で開催されてきた「東急百貨店将棋まつり」などを通じて、将棋界との長い歴史を築き、将棋文化の普及に貢献してきました。今回の取り組みは、2025年2月に立ち上げた東急線沿線の子育て世帯や学生を応援する「東急スクラムプロジェクト」の一環として位置づけ、グループ一体での推進を図っていきます。
日本将棋連盟と東急、KBCは、それぞれが「文化」「教育」「地域」の分野で培ってきた知見を持ち寄り、「将棋×教育」という新たな社会的価値の創造に向けて、今後も取り組みを拡げていきます。
1.「将棋学習指導要領」概要
本指導要領は、将棋を通じて子どもの多面的な成長を支えるための教育カリキュラム指針です。学習内容は以下の4領域で構成されています。
<礼儀・マナー>挨拶や駒の扱いなど、対局を行ううえでの基本的な礼節を身につける。
<洞察力・判断力>盤面の情報から状況を読み取り、複数の選択肢を比較して最善手を選ぶ思考力を育成。
<コミュニケーション力>感想戦や意見交換を通じて、自分の考えを伝え、相手の意見を受けとめる力を養う。
<思いやりの心> 勝敗を受け止め、相手をねぎらう姿勢や責任感を培う。
指導は、初級(基本ルールや挨拶の定着)・中級(手筋や感想戦の習慣化)・上級(大会や高度な戦術研究)と段階的に設定。年齢や習熟度に応じたグループ活動やICT教材の活用、他教科との連携(算数・国語・道徳など)も特徴です。
評価はマナーや思考力、対話力、他者配慮などの行動面を重視。短時間でも継続できる仕組みや、個々の成長を認め合う雰囲気づくりを盛り込み、学校・学童・地域活動など多様な場で実践可能な内容としています。
2.東急キッズベースキャンプの将棋講座カリキュラム「KBCしょうぎキャンパス」概要
「KBCしょうぎキャンパス」 (以下:本プログラム)は、KBCが提供する、従来の将棋教室とは一線を画す新しい教育プログラムです。将棋の習熟や将棋文化の理解を通じて、子ども一人ひとりの非認知能力を引き出し、伸ばすことを目的としています。
KBCでは、将棋教育が非認知能力の育成と深く関連する可能性に着目し、2024年10月より「将棋教室ラボ」に参画しました。その結果を踏まえ、将棋教育に実績のある株式会社ねこまどと協働し、専門的な知見を取り入れたプログラム開発を進め、このたび完成に至りました。
本プログラムは、棋力向上のみを目的とするのではなく、一手指すまでの思考過程や取り組み姿勢に注目し、将棋を多面的に活用して非認知能力を育成します。たとえば、皆の前で自分の考えた攻略を発表する活動や、チーム戦・グループワークを通じて、子どもたちは自分の考えを言語化したり、相手の意見に耳を傾けたりする経験を積み重ねます。こうした過程を経ることで、何手も先を読む「論理力」や「注意力」、最後までやり抜く「粘り強さ」、相手の立場に立って考える「協調性」、我慢や敗北を受け入れる「感情のコントロール」など、テストの点数では測れない、人生を豊かにするために欠かせない力を育むことができます。
本プログラムの目標は、将棋15級程度の棋力習得と、個々の非認知能力の成長です。講師はKBCが培ってきたコーチング手法を活用し、初心者の子どもたちが主体性をもって継続的に取り組めるよう指導します。また、講師自身が有段者でなくても指導できるよう、オリジナルの補助教材を整備し、タブレット教材も積極的に活用します。
子どもと指導者の双方を支援することで将棋人口のすそ野を広げ、新たな将棋教育の形を定義することで、未来へ羽ばたく子どもたちの非認知能力を育み、同時に将棋文化の普及・発展にも寄与していきます。
KBCしょうぎキャンパス:https://www.kidsbasecamp.com/shogicampus
<東急キッズベースキャンプとは>
東急キッズベースキャンプでは、東急線沿線を中心に民間学童保育「キッズベースキャンプ」を22施設運営しています。キッズベースキャンプは「放課後の時間を“消費”から“投資”へ」をテーマに、小学生の子どもたちに安全な放課後を提供し、遊びや学びの体験の中から“社会につながる人間力=非認知能力”を育む、従来にはなかった新しい形の学童保育です。2018年より保育園事業にも参入し、現在は小規模認可保育園を含めた5園を運営。また、直営事業だけでなく、自治体が所有する児童館、学童保育、その他子育て支援施設等、55施設を受託運営しています。0歳から18歳までを対象とした幅広い子育て支援事業を展開しています。
3.将棋教室ラボの詳細
東急㈱グループ(東急、KBC)、日本将棋連盟、日本入試センター・SAPIX小学部の4者は連携し、2024年10月より「将棋教室ラボ」を開校しました。本取り組みは、将棋の棋力向上が「正解のない問いを、考える力」に学習転移するという仮説を、実践的に検証するものです。
対象は将棋未経験の小学3年生で、SAPIX小学部に通う児童およびKBC利用者が参加。2024年10月9日から12月14日まで、横浜市の「WISE Living Lab さんかくBASE」にて、全11回の授業・イベントを実施しました。
本ラボでは、将棋を通じて「探究思考」「プログラミング的思考」「論理的思考力」「自己肯定感」など、これからの見通しが立ちにくいVUCA(※)時代に対応するための“生きる力”を育むことを目指しました。将棋を教材に、「問いを立てる → 考える → 決断する → 行動する」というプロセスを体験させ、その学習転移効果をSAPIX小学部の入室テストを評価指標として観察しました。
授業では、「どうぶつしょうぎ」や本将棋の基本ルール・戦略の学習、パターン発見・応用、詰将棋をプログラミングになぞらえた創作学習などを実施。さらにAIを活用した宿題(対局や問題作成)も取り入れ、将棋を多角的な学びのツールとして活用しました。講師には北尾まどか女流二段をはじめ、中村太地八段・西尾明七段・青嶋未来七段ら棋士や専門家が参加しました。
本検証を通じ、東急㈱グループは学校外における「探究学習」「プログラミング教育」の補完としての可能性を探り、日本将棋連盟は教育分野での将棋活用の有効性を確認。SAPIX小学部も、思考力育成の新たなアプローチとしての将棋の価値を評価しました。
※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)


4.子育て・学生応援「東急スクラムプロジェクト」
東急㈱グループの多岐にわたるノウハウやアセットを活用し、子育て関連施設やサービスのさらなる強化・連携に取り組むことで、東急線沿線の子育て世帯や学生におけるサービス向上や家計応援を実現する取り組み。「交通利用」、「まなび」、「お出かけ」、「暮らし」、 「文化・体験」といったさまざまなシーンで、子育て世帯や学生の支援を推進することで、より住み続けたくなる沿線の実現を目指します。
(参考)ホームページ https://www.tokyu.co.jp/kodomoscrum/
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