「第2回 AJCCAカンファレンス 2025 in 東京」開催

日ASEAN、AI時代のサイバー脅威に対し官民連携での技術開発と協力体制を確認

JNSA

去る2025年10月10日(金)、特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会 (JNSA)は、東京大学の弥生講堂一条ホールにて、「第2回 AJCCAカンファレンス 2025 in 東京」を開催しました。2023年にAJCCAが設立して以来2度目となる本カンファレンスは、「AI駆動のサイバーセキュリティと強靭なサプライチェーンによる未来の確保」をテーマに掲げ、日本およびASEAN各国の政府関係者、民間企業、学術機関の代表者が一堂に会しました。カンファレンスでは、ますます高度化・複雑化するサイバー攻撃への対応が喫緊の課題であることを共有し、参加者は、ASEAN諸国と日本が協力し、官民一体となってサイバー防御力と技術開発を強化していく方針を確認しました。

各国当局者とAJCCA幹部によるパネルディスカッション

■ 脅威の現状と官民連携の必要性

開会にあたり、日本政府内閣サイバー官の飯田陽一氏が基調講演を行いました。飯田氏は、ASEANと日本が世界の中でも最も多くのサイバー攻撃を受けている地域である現状を指摘し、名古屋港やアサヒグループホールディングスがランサムウェア攻撃を受けるなど、経済活動全体に広範な影響を及ぼす事案が相次いでいる状況を示しました。

また、ASEANと日本は世界で最も成長著しいデジタルマーケットである一方、その活力ゆえに悪意ある攻撃者の標的にもなっているとし、サイバー脅威への対処には一国単独、または官民いずれか一方の取り組みでは限界があることを強調。地域全体での連携と協調的な対応の必要性を訴えました。

■ AJCCAが提唱する「3つの柱」

AJCCA会長であるRudi Lumanto氏は基調講演で、サイバーレジリエンスの基盤として「Collaboration(連携)」「Capacity(能力)」「Connectivity(接続性)」という3つの連動する柱に基づくビジョンを概説しました。 Lumanto氏は、Kaseya VSAランサムウェア攻撃やAIによるディープフェイク詐欺を例に挙げ 、以下のように強調しました。

Collaboration: 単なる情報交換を超え、すべての関係者が共に向上するための「相乗効果のあるプログラムと共有戦略」を意味する。

Capacity: AIを活用し、膨大なログデータの処理、異常検知、脅威予測、対応の自動化を可能にすることで、より速く、より適応力の高い能力を構築する。

Connectivity: サプライチェーン全体のセキュリティ確保を意味する。Kaseya事件が示したように、単一の脆弱性が数百の組織に影響し得るため、あらゆるリンクでの信頼確保が不可欠である。

■産業分野のサイバー防御強化とASEAN連携を発表

経済産業省の大臣官房審議官(商務情報政策局担当)である奥家敏和氏は、サイバー攻撃の多様化とAI時代の新たな脅威に対応する日本の取り組みを紹介しました。KADOKAWA社へのランサムウェア攻撃など近年の重大事例を挙げ、早期検知と体制強化の重要性を強調。特に、Society 5.0に対応した「サイバー・フィジカル・セキュリティ・フレームワーク(CPSF)」や、ソフトウェア管理のための「SBOM(ソフトウェア部品表)」の国際協調推進などを報告しました。また、中小企業への支援や半導体産業向けのセキュリティ指針の策定、さらにASEAN諸国との連携強化を通じて、官民が一体となり、安全で強靭なデジタル社会の実現を目指す方針を示しました。

■ 各国が目指す「共同開発」と「将来への備え」

各国当局者とAJCCA幹部によるパネルディスカッションでは、加盟国間の協力と官民連携の具体化について活発な議論が交わされました。

マレーシア国家サイバーセキュリティ局(NACSA)の最高責任者であるメガット氏は、一国のみで技術を育成するには時間が限られている現状を指摘し、日ASEANを“ひとつの国”と見立てるほどの強固な協力関係の構築に意欲を示しました。

タイ国家サイバーセキュリティ局(NCSA)の局長であるアモン氏は、ランサムウェア対策が依然として高価な欧米製製品に依存している現状を課題として挙げ、日本およびASEAN各国の企業と連携し、より手頃で実効性の高い防御システムの共同開発を目指す考えを示しました。

シンガポール・サイバーセキュリティ庁(CSA)のオン氏は、今後出現が予想される新たな脅威への先読みと対策の重要性を指摘し、AIの悪用を想定した防御策や次世代暗号技術である量子暗号の研究推進の必要性を強調しました。さらに、官民の区別を超えた協働体制こそが高度な技術開発を促進するとの見解を示し、官民連携の重要性を改めて訴えました。

■ AJCCAサイバーレジリエンス賞(ACRA)授賞式

カンファレンス同日の夜には、ロイヤルパークホテルにて「AJCCAサイバーレジリエンス賞(ACRA)」の授賞式を含むレセプションが開催されました 。ACRAは、アジア、特に日本とASEAN諸国において、自国のサイバーセキュリティおよびサイバー・レジリエンスの向上に顕著な功績を残し、さらにASEANおよび日本を含む地域全体の発展にも多大な貢献した個人を称える賞です 。

[ACRA受賞者]

Mr. Muhammad Azizul Amir bin POKPADPS Awg Hj Hasrin - Brunei

Mr. Ren Phary - Cambodia

Mr. Muhammad Nuh Al-Azhar – Indonesia

下村 正洋 氏 – Japan

Mr. Sengxay Xayachack – Lao PDR

Ir. Dr. Megat Zuhairy bin Megat Tajuddin - Malaysia

Dr. Marlon I. Tayag – Phillipines

Prof. Alex Siow – Singapore

Dr. Kumpol Sontanarat - Thailand

Mr. Vu Ngoc Son - Vietnam

篠田 陽一 氏 – Japan (ACRAスペシャルアワード)

本カンファレンスは、AJCCAが日ASEAN間の信頼、協力、そしてデジタルの未来における集団的防衛のための重要な地域プラットフォームであることを再確認する場となりました 。AJCCAは今後も、AIやサプライチェーンといった新たな課題に対し、官民連携と国際協力を通じて、地域のサイバーレジリエンス強化を強力に推進してまいります。

【お問合せ先】

2nd AJCCA Conference in Tokyo 事務局

〒105-0004 東京都港区新橋五丁目7番12号 

特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)内

メール ajcca2025@jnsa.org

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会社概要

URL
https://www.jnsa.org/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都港区新橋5丁目7番12号
電話番号
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代表者名
会長 江﨑 浩
上場
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資本金
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設立
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