DataLabs、国土交通省の中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)に採択。(交付額上限3.3億円)インフラ構造物の全自動モデル化技術を確立し維持管理効率化を国内外での実装へ
弊社のコア技術である、点群データの自動モデリング技術を活用し、国内外においてインフラ構造物の維持管理における3Dモデルの社会実装及び標準化を進めて参ります。
本事業応募の背景
現在日本の建設業はインフラの老朽化に伴い修繕需要が高まる一方で、現場においては時間外労働の上限規制で人手不足が懸念される2024年問題など担い手不足により、需給が逼迫している状況に置かれています。
日本以外の先進諸国およびASEAN諸国等においても、老朽インフラの保全は重要度を増しております。慢性的な人手不足や必要工数の増加によるコスト増への対処は、世界的な共通課題となっています。
建設サイクルのうち調査・設計では国交省が推進するBIM/CIM の取組みが進んでいますが、実際の工事や既設構造物の維持管理においては、3D モデルを活用した生産性の向上は道半ばな状況です。取組みが進まない原因としては、維持管理フェーズを念頭においた3D モデルの活用方法が標準化されていないこと。加えて、現況の構造物を3D モデル化することに多大なる時間と費用を要すること等が挙げられます。
本プロジェクトの目標
DataLabsは現在、民間インフラオーナー様と共同で、弊社の3D配筋検査ツール「Modely(モデリー)」を用い、配筋検査を皮切りに、施工フェーズから維持管理実務にデータを受け渡していく技術実証や要件定義に取り組んでおります。
加えて、本プロジェクトにおいては、弊社顧問を務める大阪大学大学院工学研究科の矢吹信喜教授と連携し大阪大学とコンソーシアムを組成。矢吹教授は国交省BIM/CIM推進委員会委員長を務められ、2023年度からのBIM/CIM原則適用化など、国家基準策定を推進されてきた実績がございます。本プロジェクトにおいては、矢吹教授から適切な助言を受けながら、国・自治体の構造物の維持管理のスタンダードとなるモデルを整備し、その社会実装を通して建設業における生産性の大幅な向上を目指して参ります。
※Modelyについて
https://www.datalabs.jp/modely
本プロジェクトの概要
前述の通り、インフラの維持管理については、構造物の老朽化が加速度的に進む一方、膨大な書類・設計図・写真のやりとりや実際の現地訪問を伴う状態確認や情報管理が行われています。このような背景のもと、3Dモデルを介した情報管理・共有により効率化を進めることが求められています。本事業においては、全自動で3Dモデルを生成することのみならず、構造物の維持管理の実務運用を想定した要件定義及び標準モデルの確立を下記のステップで進めて参ります。
①維持管理に活用できる3D モデルの要件定義
付与すべき属性情報を構造物(道路・河川)毎に定義し、ifc 形式でモデル化することで維持管理の実務に適応可能か検証します。定義にあたっては、汎用性を担保するため、BIM/CIMに関係する要領や民間の各インフラ運営会社等の仕様等も踏まえ、各構造物の所管部署または土木研究所の協力を仰ぎながら設定していくことを想定しております。国土交通省や各自治体、民間のインフラオーナー等が維持管理するうえで求められるモデルの精度や前後の工程を考慮した要件定義を実施いたします。
②点群から全自動で3D モデルを生成する技術の確立
現状の弊社の自動3Dモデル化技術では、精緻なメッシュモデルを全自動で作成することが可能です。本プロジェクトにおいては、エッジのある完全面体のソリッドモデルを作成するための要素技術の開発・確立を2024年度を目途に完了いたします。①の工程と併せて、性能検証・改良を加えインフラ構造物の点群取得~全自動モデル化~属性情報の付与できる技術・システムを確立いたします。
③製品版のリリース
インフラ維持管理実務を担うプレーヤーも巻き込んだ業務フローやマニュアルの整備を検討。モデル化に向けた精度向上やシステム実装を進め、 2027年度中には国・自治体・民間が標準的に扱えるマニュアルとして「デジタルツインを用いたインフラ維持管理の実施要領(案)」を策定し、製品版のシステムをリリースいたします。
プロジェクト後の展望
本プロジェクトにおいては、技術開発と並行して民間のインフラオーナーや自治体への展開も実施。その上でプロジェクト後には下記の要領で3Dモデルの標準化推進・社会実装に貢献して参ります。
1.「デジタルツインを用いたインフラ維持管理の実施要領(案)」策定
本プロジェクトで開発したシステムやノウハウ等をベースに「デジタルツインを用いたインフラ維持管理の実施要領(案)」を策定します。このような指針を示すことで土木領域におけるデジタルツインに係る市場の勃興を促し、新しいユースケースやアプリケーションの創出の機会を生み出すことを目指します。
2.海外展開
インフラ老朽化は日本のみならず先進国の共通課題となっています。既に、弊社では、総合商社との協業等を通じて、シンガポールやタイといった東南アジアにおける旺盛な建設需要と、同地でBIM/CIM の取組みが推進されていることを確認。海外各国における具体的な活用事例を踏まえた要件定義を行ったうえで、日本発のデジタルツインを用いたインフラ維持管理を海外市場にも展開していくことを想定しております。
SBIR制度について
スタートアップ等による先端技術の研究開発を促進・社会実装し、日本のイノベーション創出を促進するための制度で、その革新的な新技術の技術成熟度(TRL※2)を原則としてレベル 5 以上から、社会実装が可能となるレベル 7 まで引き上げる計画であることが要件となっています。
(※2) TRL: Technology Readiness Level NASA によって作られた特定の技術の成熟度レベルを評価するために使用される指標であり、本事業では原則当該指標により技術成熟度を判断します。
<参考> https://www.nasa.gov/wp-content/uploads/2017/12/458490main_trl_definitions.pdf
会社概要:DataLabs株式会社
点群データの自動3Dモデル化(BIM/CIM化)技術を基に、あらゆる建設業務を効率化するクラウドシステムの提供を行う。
設立:2020年7月
代表取締役:田尻 大介
所在地:〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町8-6
リリースに関するお問い合わせ
広報担当 山田 薫
kaoru.yamada@datalabs.jp
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