スリープテックの世界的ブランドResmed(レスメド)、「治療抵抗性高血圧」への新たなアプローチ 睡眠時無呼吸症候群が引き起こす高血圧についてシンポジウムを開催
第47回日本高血圧学会総会

睡眠時無呼吸症候群(SAS)や慢性呼吸器疾患(COPD等)の医療機器を製造販売するレスメド株式会社(所在地:東京都千代田区)は、10月17日(金)にKABUTO ONEで行われた第47回日本高血圧学会総会にて、「睡眠時無呼吸と高血圧」と題したシンポジウムを開催いたしました。
本シンポジウムでは、日本の高血圧管理において喫緊の課題である、基本的な高血圧の治療をしても血圧が下がらない「治療抵抗性高血圧[1]」と睡眠時無呼吸症候群の関連性に焦点を当て、6年ぶりに改訂された『高血圧管理・治療ガイドライン2025』や夜間の高血圧について臨床の現場で活躍する医師たちが講演しました。
[1] 治療抵抗性高血圧:利尿剤を含む3剤以上の降圧薬を投与中にも関わらず、診療時血圧が140/90mmHg未満にコントロールできない場合
睡眠時無呼吸と高血圧の密接な関係
睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関連は深く、睡眠時無呼吸症候群による高血圧症の発症リスクは、無呼吸や低呼吸がない方の約1.4~2.9倍になるというデータが報告されています。さらに、日本には高血圧患者が約4,300万人[2]、うち3100万人がコントロール不良(収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上)と推定されております[3]。そして本邦の高血圧患者の約10%はCPAP治療を要する中等症以上の睡眠時無呼吸症候群であると日本高血圧学会の苅尾理事長は述べています[4]。
しかしながら、CPAP治療を受けている患者数は88万人にとどまり[5]、多くの高血圧患者が「睡眠時無呼吸で高血圧が引き起こされている」と気づかず、適切な治療を受けていないという現実があります。
[2] Japanese society of hypertension, Hypertension Treatment Guideline 2019. Lifesciense: 4, 2019
[3] Hisamatsu T, et al. Epidemiology of hypertension in Japan: beyond the new 2019 Japanese guidelines. Hypertens Res. 2020; 43:1344-51. PMID:32636526
[4] 苅尾 七臣 J Cardiol Jpn Ed Vol. 7 No. 1 2012; 32-37
[5] 厚生労働省「令和6年社会医療診療行為別統計」厚生労働省:e-Stat, 社会医療診療行為別統計(旧:社会医療診療行為別調査)/社会医療診療行為別統計/令和6年審査分, 診療行為の状況 医科診療第19表 医科診療(総数) 実施件数・回数・点数, 診療行為(細分類), 一般医療-後期医療・年齢階級別, 在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算 CPAP使用, 総数-回数 2765行、G列 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450048&tstat=000001029602&cycle=7&tclass1=000001205520&tclass2=000001205580&tclass3=000001205581&stat_infid=000040065227&cycle_facet=tclass1%3Atclass2%3Atclass3&tclass4val=0
JSH2025ガイドラインと夜間高血圧の最新エビデンス
シンポジウムは、座長の苅尾七臣理事長によって高血圧と睡眠の深い関連を再確認することから始まりました。
高血圧や心血管疾患の予防において睡眠は重要な要素の一つです。特に睡眠時の無呼吸は、基本的な治療を施しても血圧が下がらない「治療抵抗性高血圧」や「コントロール不良高血圧」の原因になると、苅尾理事長は主張しました。2025年に改定がなされた『高血圧管理・治療ガイドライン2025』においても、睡眠時無呼吸症候群が夜間高血圧や早朝高血圧と密接に関係していると言及しています。
また、苅尾理事長は、睡眠中の血圧(夜間血圧)が家庭でモニタリングできる機器が登場していることを鑑み、24時間血圧管理の可能性を示唆しました。高血圧分野のホットワードとなり得る「夜間高血圧」と睡眠時無呼吸の関連を理解することで、今まで見過ごされがちだった真の原因を突き止め、適切な治療に繋げることが可能となります。
睡眠時無呼吸とCPAP治療
続いて睡眠時無呼吸の研究に力を入れている葛西隆敏准教授が、CPAP(持続的気道陽圧)を用いた治療抵抗性高血圧の治療について紹介しました。
睡眠時無呼吸症候群のなかでも閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に上気道が狭くなることによって呼吸が困難になり、酸素レベルの低下と高血圧を引き起こします。また、治療抵抗性高血圧の患者さんの83%は閉塞性睡眠時無呼吸症候群であったという研究報告も示されています。高血圧は心房細動(不整脈)や脳卒中に繋がる場合もあり、適切な治療が求められます。
数多くある治療法の中で第一に考えられるのがCPAP治療だと葛西准教授は説明しています。CPAPによる血圧低下に個人差はありますが、CPAPを1晩で4時間以上使用すると早朝血圧の低下効果が大きいことが、ガイドラインで示されています。睡眠の質が改善することでQOLの向上にも繋がると、葛西准教授は強調しました。
隠れた睡眠時無呼吸をいかに見抜くか
最後に、上海市高血圧研究所で所長を務める王継光教授が、高血圧患者が閉塞性睡眠時無呼吸症候群であることを特定する手法について紹介しました。初期の検査としてSTOP-BANG質問票を実施することが推奨されますが、ウェアラブルデバイスも代替手段として有効であると王教授は示唆しました。また、CPAP治療は生活習慣の改善と併せて行われるべきであり、職種を横断した連携が必要であると締めくくりました。
夜間高血圧の解消に向けて

本シンポジウムを通じて、睡眠時無呼吸が高血圧の発症や治療抵抗性に深く関与しており、特に夜間高血圧や血圧変動の増大を通じて心血管疾患リスクを高めることが再認識されました。CPAP治療は睡眠時無呼吸症候群の有効な治療法であり、治療抵抗性高血圧の患者群において血圧を改善させる効果がメタ解析でも確認されています。
座長を務めた苅尾理事長は、睡眠や夜間血圧、睡眠時無呼吸の管理を高血圧ケアに統合することが、臓器保護と長期的な予後改善に不可欠であると強調しました。夜間高血圧の測定が家庭でも可能となった今だからこそ、普段の診療活動においても無呼吸を見逃さず、24時間の高血圧管理を徹底することが重要であると締めくくりました。
シンポジウム概要「睡眠時無呼吸と高血圧 ~最新のガイドラインとエビデンス~」
座長:苅尾 七臣 / 自治医科大学 循環器内科学 教授
王 継光 / 上海交通大学 医学部附属 瑞金医院 教授
■JSH2025ガイドラインと夜間高血圧の最新エビデンス
苅尾 七臣 / 自治医科大学 循環器内科学 教授
■睡眠時無呼吸症候群と高血圧の最新トピックス
葛西 隆敏 / 順天堂大学大学院 医学研究科 循環器内科学 先任准教授
■China Hypertension Center and Sleep Apnea
王 継光 / 上海交通大学 医学部附属 瑞金医院 教授

レスメドについて
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在宅ケアを通じたより良い睡眠と呼吸で、すべての人々が潜在能力を最大限に発揮できる世界を思い描いています。当社が睡眠の健康をどのように再定義しているかについては、Resmed.comで詳細をご覧いただき、@Resmedをフォローしてください。
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