温室効果ガス（GHG）削減に向け、民間酪農牧場で乳用牛の消化管由来メタン測定試験を開始します。

　　株式会社ファームノートホールディングス（本社：北海道帯広市、代表取締役 小林晋也　以下、ファームノートHD）は、株式会社エス・ディー・エス バイオテック（本社：東京都千代田区、代表取締役社長 阿部徹　以下、エス・ディー・エス バイオテック）、出光興産株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役社長 木藤俊一　以下、出光興産）と、サステナブルな酪農畜産経営を実現するために三社共同試験を開始したことをお知らせします。

　ファームノートHDグループ内、株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム（本社：北海道標津郡中標津町、代表取締役 平勇人　以下ファームノートDP）は、管理搾乳頭数670頭、全飼養頭数1,450頭の酪農経営牧場です。このファームノートDPで飼養する搾乳牛に、機能性飼料「カシューナッツ殻液含有飼料」を給与し、給与前後での個体ごとのメタン排出量の削減効果を測定する試験を開始しました。ファームノートDPが各個体の搾乳データや、排出されるメタン及び二酸化炭素の測定データなどを提供し、カシューナッツ殻液(*)含有飼料の供給とメタンガス測定データの解析をエス・ディー・エス バイオテックが担当します。

　(*)第63回農業資材審議会飼料分科会で牛メタン削減効果のある飼料添加物に指定することが了承され、農林水産大臣に答申された。

　

　反芻動物である牛は、第一胃（ルーメン）で食べた草や飼料をルーメン内微生物が消化（発酵）する際にメタンガスを生成し、主にゲップとして排出します。メタン（CH₄）は二酸化炭素（CO₂）と並び、重要な温室効果ガス（以下、GHG）の一つであり、その温暖化係数はCO₂の約25倍とされています。世界全体の反芻動物由来のメタン排出量は年間2.7ギガトンのCO₂換算（GtCO₂e）とされ、人為的なメタン排出量の約30％を占めます。つまり、牛などの家畜からのメタン排出の地球温暖化への関与は大きいといえます。

　牛からのメタン排出を削減していく上で、飼料の改良は大きな意味を持ちます。消化管由来のメタン生成を抑制する方法として、「カシューナッツ殻液含有飼料」の給与は期待ができると考えられます。また排出量の測定と管理を行うことで、効果的な対策を実施する基礎とすることができます。今回の実証試験では、「カシューナッツ殻液含有飼料」給与前後でのメタン排出量の比較を行います。試験牧場ではない、民間の酪農牧場で実際の搾乳牛の個体ごとのメタン削減量を測定することは、カーボンニュートラル実現に向けた飼養管理確立の上で、画期的なものと考えられます。

　ファームノートDPは中標津に第一牧場をおき、働く「人」と「牛」そして「環境」に配慮した酪農生産のDX化（デジタルトランスフォーメーション化）を推進しています。これまでも特殊なふん尿処理によるGHGの削減（固形分の利活用）など環境負荷軽減に取り組んできました。今回の共同試験もその一環であり、ファームノートHDグループは今後も環境負荷軽減に貢献する企業やプロダクトとのコラボレーションを通じて、サステナブルな酪農スタイルの確立を目指します。