近赤外線(IRA)によるヒト表皮細胞の増殖抑制作用とそのメカニズム解明についての研究成果を光生物学専門誌で発表

 

・ 表皮の光老化メカニズムにおいて、近赤外線(IRA)の影響に関する報告はこれまでほとんどなかった
・ 近赤外線(IRA)がヒト表皮細胞の増殖を抑制することを初めて見出し、その分子メカニズムを明らかにした
・ 近赤外線(IRA)を防ぐことが表皮細胞の増殖活性を保ち、健やかで若々しい肌を保つために重要な表皮ターンオーバーを維持することに繋がると期待される
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、近赤外線(IRA)によるヒト表皮細胞の増殖抑制作用とそのメカニズム解明についての研究成果を、“Infrared-A Irradiation-induced Inhibition of Human Keratinocyte Proliferation and Potential Mechanisms”として、光生物学領域の専門誌「Photochemistry and Photobiology」の電子版(3月2日)にて発表しました。

皮膚の表皮は常に新しい細胞に入れ替わっており、これは「表皮ターンオーバー」とよばれています。表皮ターンオーバーの周期は、加齢やその他の要因により、表皮細胞の増殖活性が低下することで乱れます。太陽光により進行する光老化(図1)もその要因のひとつとして知られていましたが、メカニズムの詳細については明らかにされていませんでした。
大塚製薬は、健やかな肌には表皮ターンオーバーの維持が重要であると考え、太陽光がおよぼす表皮細胞の増殖活性への影響について研究を進めてきました。その中で、真皮の光老化を促進すると考えられてきた近赤外線(IRA)に着目したところ、細胞周期の制御に中心的な役割を担っている細胞内シグナル分子*1である mTOR*2 complex 1(以下、mTORC1*3)の活性を阻害することで、表皮細胞の増殖活性を低下させることを発見しました。さらに、近赤外線(IRA)がmTORC1活性を阻害する分子メカニズムには、少なくとも2つの経路が存在することが明らかとなりました(図2)。また、ヒト皮膚モデルに近赤外線(IRA)を照射したところ、表皮細胞の増殖活性を抑制する結果が得られました(図3)。

以上のことから、太陽光に含まれる近赤外線(IRA)を防ぐことが表皮細胞の増殖活性を保ち、健やかで若々しい肌を保つために重要な表皮ターンオーバーを維持することに繋がると期待されます。これらの成果は、さらなる光老化メカニズムの解明に寄与するものであると考えています。
(研究成果詳細はこちらから確認ください:https://doi.org/10.1111/php.13248

大塚製薬は、今後も Otsuka-people creating new products for better health worldwide の企業理念のもと、人々の健康維持・増進に貢献してまいります。

図1 太陽光が原因となる“光老化”と皮膚への影響
【近赤外線】
皮下組織にまで届き、太陽光の中で最も肌の奥深くにまで浸透する性質を持っています。紫外線と比較すると、光老化への影響については研究が進んでいませんでしたが、近年では、コラーゲンやエラスチンを産生する線維芽細胞に対して影響を与えることでシワやたるみにつながることが指摘されています。今後、近赤外線の光老化への関与が明らかになるにつれ、紫外線だけでなく、近赤外線への対策がますます求められていくと考えられます。
【紫外線A波(UVA)】
真皮まで届き、肌のハリを保つために重要なコラーゲンやエラスチンを壊してしまいます。また、これらを作り出している線維芽細胞に対しても損傷を与えます。そのため、肌を内側から支える真皮の力が弱くなり、シワやたるみにつながると考えられています。
【紫外線B波(UVB)】
表皮でほとんどが吸収され、細胞の損傷や炎症を起こすことで火傷のように赤くなったり(サンバーン)、メラニン色素が沈着してシミやソバカスの原因になったりします。また、
                       エネルギーが強いため過剰に浴びることで皮膚がんの原因にも
                       なると考えられています。

図2 近赤外線(IRA)が表皮細胞のmTORC1の活性を阻害する2つの異なる分子メカニズム

 

メカニズム1: 近赤外線(IRA)が、表皮細胞内に「ストレス顆粒*4」を形成することで、mTORC1の活性を阻害することを明らかにしました。
メカニズム2: 近赤外線(IRA)が、mTORC1の上流にある「Akt*5」という細胞内シグナル分子の活性を低下させることで、mTORC1の活性を阻害することを明らかにしました。

*1 細胞内シグナル分子:細胞外の増殖因子、ホルモン、神経伝達物質などによる刺激を細胞内に伝達する分子である。
*2 mTOR:mammalian target of rapamycinの略。細胞内シグナル分子のひとつである。
*3 mTORC1:mTORを核とした細胞内シグナル分子複合体である。成長因子、アミノ酸、エネルギーの状態に応じて、細胞の増殖、タンパク質合成、代謝などの調節に中心的な役割を果たす。
*4 ストレス顆粒:ストレス刺激(低酸素、熱ショック、ウイルス感染、砒素など)に応答して形成される細胞質内構造体であり、細胞が持つ“ストレス適応機構”のひとつとして知られている。
*5 Akt:細胞内シグナル分子のひとつである。細胞外からの様々な刺激を受けることで、mTORC1の活性化調節を行う。

図3 近赤外線(IRA)による表皮細胞層厚さへの影響



 
表皮細胞の増殖活性が抑制されたことにより、表皮細胞層の菲薄化が認められました。





■大塚製薬のコスメディクス = 健粧品について
大塚製薬は、世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造するという「Otsuka-people creating new products for better health worldwide」の企業理念のもと、人々の健康を身体全体で考えるトータルヘルスケアカンパニーとして、疾病の治癒から日々の健康増進までを目指した「医療関連事業」と「ニュートラシューティカルズ関連事業*1」の両輪で事業展開を行っています。そのなかで、体重の約16%を占め、最大の器官である皮膚に着目し、「肌の健康」を考える「健粧品(コスメディクス)*2」という概念のもと、独自の発想と技術をもって、スキンケア製品の研究開発を続けています。
コスメディクスの研究開発は、1990年、琵琶湖のほとりにある大津スキンケア研究所で始まりました。人間の身体の内側だけではなく、その身体を覆っている「皮膚」も健康にしたいという研究者たちは、体内に存在する「AMP*3」という成分に着目。その熱い想いが実を結びついに「エナジーシグナルAMP*4」を生みだします。医薬部外品として初めての効能効果*5を取得したその新しい薬用有効成分は、インナーシグナルシリーズの主な製品に配合され、2005年に発売されました。現在は、通信販売専用品として全14品目を販売しています。
また、2008年に発売した「UL・OS(ウル・オス)」には保湿成分AMP*6を配合しました。ミドルエイジ層の男性向けに開発したウル・オスは、肌へのダメージの原因となる汚れ、乾燥、紫外線に着目し「洗う」「うるおす」「高める」「守る」のサイクルで、頭から足の先までのケアができるスキンケアブランドとしてアイテムを拡充し、現在10種類14品目のラインアップとなりました。

大津スキンケア研究所大津スキンケア研究所

 

*1 ニュートラシューティカルズ:nutrition(栄養)+pharmaceuticals(医薬品)
*2 健粧品(Cosmedics): cosmetics(化粧品) + medicine(医薬品)
*3 アデノシン一リン酸
*4 アデノシン一リン酸二ナトリウム OT
*5 メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ
*6 アデノシンリン酸






















 

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