有機フッ素化合物(PFAS)による地下水・土壌汚染浄化技術の開発
超強力酸化触媒による分解に成功
株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区、代表取締役社長:奥村太加典、以下「奥村組」)と、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学(名古屋市千種区、総長:杉山直、以下「名古屋大学」)は、人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物(以下、「PFAS」)を、超強力酸化触媒を用いて浄化する技術を開発し、2024年7月19日に特許を出願しました(特願2024-116259)。
なお、本件開発については、2023年9月に名古屋大学と共同研究契約を締結しています。
【背景】
多くの産業分野で利用されているPFASは「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれ、自然界でほぼ分解されず、人体や環境中に長く残る特性を持っています。PFASの一種であるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)やPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFHxS(ペルフルオロヘキサン酸)は、人体への悪影響が明らかとなっていることから、国際的には「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)で、日本国内では「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)で製造・輸入・使用等が制限されています。
河川水や地下水、土壌においては、現在のところPFASの環境基準値が定められていませんが、国内での検出事例が報道されるなど汚染問題が顕在化していることから、PFAS浄化技術の開発が進められています。現状では、活性炭などの吸着剤にPFASを吸着させて環境中から除去する方法が用いられていますが、PFASを吸着できる量に限りがあることに加え、吸着剤の処分も問題になっています。こうした状況を踏まえ、当社はより効果的なPFAS浄化技術の開発が必要と考えていました。
【概要】
本技術は、名古屋大学物質科学国際研究センター/大学院理学研究科の山田泰之准教授・大学院理学研究科の田中健太郎教授のグループが開発した超強力酸化触媒「金属錯体担持カーボン触媒※1」を用いてPFASを酸化分解するものです。これまでに山田准教授らは、二階建て型構造を持つ金属錯体触媒をカーボンに担持※2することでその酸化活性が大きく高められることを見出し、天然ガスの主成分であるメタンなど、難反応性の有機物の酸化反応に利用してきました(特許7303556)。
今回同大学研究グループでは、奥村組との共同研究によりカーボン触媒のさらなる高活性化に成功し、水溶液中で様々なPFAS類が酸化分解可能であることを確認しました。さらに本技術を用いれば、汚染された河川水から99%以上のPFOAを吸着により除去しつつ、同時にその一部を分解できることがわかりました。
※1 金属錯体担持カーボン触媒:触媒活性を持つ金属錯体化合物をカーボン(炭素)に付着させたもの。
※2 担持:土台となる物質の上に他の物質を付着させること。
【今後の展望】
今後は、触媒にさらなる改良を加えるとともに、本技術をPFASによる汚染された地下水・土壌の浄化工事等に適用し、環境修復・保全の観点から社会に貢献していきます。
【会社・大学概要】
会社名:株式会社 奥村組(https://www.okumuragumi.co.jp/)
本 社:大阪府大阪市阿倍野区松崎町二丁目2番2号
代表取締役社長:奥村 太加典
事業内容:建設工事の設計および施工、建設コンサルタント業務、都市再開発事業、不動産事業ほか
大学名:国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学(https://www.nagoya-u.ac.jp/)
所在地:愛知県名古屋市千種区不老町1番
総 長:杉山 直
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社奥村組
技術本部 技術戦略部 環境ソリューション室
環境技術グループ(大阪)
清水 祐也(しみず ゆうや)
TEL:06-6625-3465
FAX:06-6621-9315
E-mail:yuya.shimizu@okumuragumi.jp
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