脱炭素化支援機構が株式会社TOWINGに対して出資を実行

脱炭素化支援機構

2025年5月29日 10時00分

　株式会社脱炭素化支援機構（代表取締役社長：田吉禎彦、英語名称：Japan Green Investment Corp. for Carbon Neutrality（JICN））は、株式会社TOWING（本社：愛知県名古屋市、代表取締役：西田宏平。以下、「TOWING」）の資金調達に対して支援決定し、出資を実行しました。

　今後は、TOWINGが実施する事業のモニタリングを通じて、同社のGHG削減に向けた取組等を確認していく予定です。

１．事業者の概要

(1)名称　株式会社TOWING

　https://towing.co.jp/

(2)本社所在地　愛知県名古屋市

(3)代表者　代表取締役　西田宏平

(4)設立年月日　2020年2月27日

(5)主な事業内容　高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の製造・販売、農地導入支援

(6)事業の実施状況と今後の計画

TOWINGの高機能バイオ炭「宙炭」は、もみ殻などから作られるバイオ炭に、目的に応じて設計された土壌微生物（生きた微生物の集合体）を加えることで製造されます。「宙炭」を農地に施用することで、作物収穫に適した肥沃な土壌の早期形成や収穫量の増加といった農業面での付加価値提供に加えて、土壌への炭素の貯留を実現することができます。
TOWINGは既に国内各地において多様な作物種への導入実績を有しており、今後、国内での大型プラントの建設や、海外における導入拡大を進めていきます。

２．支援決定に係る政策的意義

(1)温室効果ガス排出削減・吸収等の観点

　農業分野は世界の主要なGHG排出源であり、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、政府の「地球温暖化対策計画」や農林水産省策定の「みどりの食料システム戦略」でも、農地の微生物に分解されにくいバイオ炭にすることで土壌に炭素をより多く貯留できる吸収源となり、地球温暖化対策の一つとして位置付けられています。

もみ殻や鶏糞といった地域の未利用バイオマスを炭化することで、分解されにくいバイオ炭となり、土壌に炭素をより多くかつ長く貯留できるようになります。
「宙炭」は、付加した微生物の働きによって作物収穫に適した土壌のpH状態を維持できることから、量の上限なく土壌に施用することができ、通常のバイオ炭を施用する場合と比較して多くの炭素固定が期待できます。
「宙炭」の利用により、国内における地球温暖化対策のための排出削減・吸収量認証制度（J-クレジット制度）（方法論AG-004バイオ炭の農地施用）に基づいてJ-クレジットを創出することができ、その無効化（償却）により日本の温室効果ガスインベントリ※に計上される吸収量の増大に資するものです。

　※温室効果ガスインベントリ：国が１年間に排出・吸収する温室効果ガスの量を取りまとめたデータ

(2)経済と環境の好循環の観点

　TOWINGの「宙炭」が普及することで、以下の点で環境に配慮した持続性の高い農業や地域経済への貢献が期待できます。

地域の未利用バイオマスを「宙炭」の原材料として活用することで、地域から排出される廃棄物を資源としてアップサイクルすることが可能です。
多孔質のバイオ炭に微生物叢を加えた「宙炭」の農地施用により良質な土壌が早期形成されることで、化学肥料の使用量の低減による持続性の高い農業に貢献し、さらには作物の収量増加も期待できるため、収益性向上に貢献します。
「宙炭」に使用する微生物叢については、「宙炭」が使用される各地域に従来存在する微生物を組み合わせて製造されており、生態系への影響にも配慮されています。

　JICNは、引き続き、様々なステークホルダーと連携しながら、脱炭素に資する多種多様な事業に対する資金供給を行い、また、ノウハウや情報、人財を普及・輩出し、多様な主体がもつアイデアや技術をつなぐことで、豊かで持続可能な未来づくりに貢献してまいります。

【参考1】事業・投資スキーム概要