コリニア、横須賀市と「業務目的に応じたナレッジ文書整備と文書検索アルゴリズムの最適化に着目したRAG高度化」を実証。業務知識とAI技術で問い合わせ業務への本格実装へ
生成AI活用によるDXを推進するコリニア株式会社(東京都千代田区、代表取締役:小倉朗)は、神奈川県横須賀市(市長:上地克明)と共同で実施した「庁内問合せ業務におけるRAG(Retrieval Augmented Generation)高度化実証実験」において、AI回答精度の飛躍的向上を達成し、業務での本格活用に向けた重要な成果を得たことを発表します。
本実験では、RAGシステムの性能向上には「検索アルゴリズムの質」だけでなく「参照させる文書の質」が決定的に重要であることを実証。コリニアの持つ、検索アルゴリズムを最適化するエンジニアリングスキルと、生成AI活用に求められる業務内容の理解に基づく参照文書整備のノウハウ、それらの専門性を相互に作用させることで、実用レベルの精度を実現しました。
RAGが出力する回答の品質向上には、“検索最適化×文書整備”を両輪で行うのが肝

背景:横須賀市の生成AI活用に向けた先進的取り組み
横須賀市は、現場業務における生成AIの活用を積極的に推進するとともに、全国の自治体や企業における実践的な利活用を支援する取り組みを展開しています。コリニアは、以前より横須賀市デジタル・ガバメント推進室と、実務に根ざした生成AI活用のあり方について継続的に検討を行っており、本年2月には、横須賀市主催の「横須賀生成AI合宿」にて、Difyを活用したワークショップの講師を務めました。
こうした連携の中で、生成AIの活用手法のひとつとしてRAG(Retrieval-Augmented Generation)の実務導入についても検討を進め、GPTsやDifyといった既存のローコードツールを用いて、契約締結業務における問い合わせ対応への適用を試みました。しかし、実務で求められる複雑な問い合わせに対して、十分な回答品質を確保することが難しいという課題が浮き彫りとなりました。
RAGの実務導入に伴うこうした課題を明確化し、現場で実践可能な解決策を提示することは、横須賀市自身の業務効率化にとどまらず、全国の自治体における生成AI活用の促進にもつながると考え、その解決に向けた具体的な検証と技術的な検討を進めることとなりました。
コリニアのアプローチ:「文書の質」と「検索の質」に着目したRAG精度向上策
RAGの実用性を高めるためには、「文書の質」と「検索の質」を高めることが重要だと捉え、コリニアは情報整備と検索設計の両面から精度向上に取り組みました。
庁内に点在する規程やマニュアルを再構成し、AIが理解しやすい形で整理・最適化。文脈が保たれた状態で意味のある単位に再編することで、ノイズを抑えた高精度な検索を可能にしました。さらに、業務と文書特性に応じた検索の設計を工夫し、質問の背景を踏まえた情報抽出が行えるよう調整を加えました。
こうした取り組みにより、契約締結業務に寄せられる複雑な問い合わせの大半に対して、実務でそのまま活用できる水準の回答を生成できるようになりました。アルゴリズムの特性を踏まえた上で、文章整備の方向性を決め、それら両面からのアプローチを実行しきることで、RAGが特定業務における高度な知識を要する問い合わせ対応にも対応可能であることを示す成果となっています。
横須賀市の自治体AIマガジンにて、本取組の詳細についてご紹介を頂いておりますので、以下よりご確認ください。
「AIで業務知識を取り出す。横須賀市のRAGへの挑戦 ~令和6年度実証結果報告~」
>>記事はこちら
今後の展望:横須賀市との本格実装に向けて
今回の実証で得られた成果を踏まえ、横須賀市とコリニアは、RAGを活用したAI業務支援システムの実装に向けた検討を継続してまいります。特に、これまで個別対応として行ってきた文書整備の手法を体系化し、より多くの現場で再現可能な仕組みへと発展させることを目指します。
あわせて、十分に整理された文書が揃っていない現場においてもRAGの導入を可能とするため、文書特性や構造の可視化を起点とした整備支援ツールや運用支援の仕組みについても、横須賀市と共同で検討を進めていきます。
RAGについて
RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせる技術です。この技術を用いることで、ユーザーの質問に対して独自の情報を引用し、自治体や企業などの独自のルールに対応した回答が生成されやすくなります。
コリニア株式会社について
コリニアは、企業の事業変革を実現するため最適なソリューションの実装を行っています。 生成AI活用の分野では、実務的な理解を深めることでビジネス要件を定義し、業務課題にフィットしたモデルを構築します。また、様々な用途で生成AIを活用し、クライアントニーズに合わせた業務支援ツールから分析支援BIツールの開発提供に至るまで、様々な場面に対応しております。 今後も生成AIをはじめとする最新テクノロジーを活用し、企業の課題解決に向けたソリューションを、企業と共に伴走しながら実装していきます。
■コリニア株式会社 会社概要
住所:〒102-0074 東京都千代田区九段南1丁目6番5号 九段会館テラス1階ビジネスエアポート内
設立:2018年4月
代表者:代表取締役 小倉 朗
事業内容:ビジネスエンジニアリング事業(業務改善、新規事業開発、デジタルトランスフォーメーション)
■横須賀市 自治体概要
住所:〒238-0004 神奈川県横須賀市小川町11
代表者:市長 上地 克明
担当課:経営企画部 デジタル・ガバメント推進室
URL:https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/top.html
■本件に関するお問い合わせ先
コリニア株式会社 Email:info@clnr.inc
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