ウクライナ戦争の影響がアフリカ大陸全体に及ぶ中、開発の成果を守るために重要となる日本とアフリカの関係
東京、5月27日 - 国連開発計画(UNDP)総裁補兼アフリカ地域局長のアフナ・エザコンワは5日間にわたり日本に滞在し、日本の政府や開発機関、民間セクター、市民社会、若者のグループと、より強力で革新的な連携について協議を行いました。
その締めくくりとしてエザコンワは、ウクライナにおける戦争がアフリカ大陸における新たな経済危機を引き起こす中、日本政府および民間セクターがアフリカ諸国に対して果たすことができる役割について強調しました。
「アフリカの開発について、これほど大きな挑戦や圧力を経験したことはありません。新型コロナウイルスの大流行の影響からすでに甚大な影響を受けていたアフリカ諸国が、ウクライナにおける戦争による新たな経済危機に対応するためには、多国間協力を強化し、日本の政府機関や民間企業を含む強力なパートナーシップが必要不可欠です」とエザコンワは述べました。「新たな危機は、食糧や燃料の価格高騰、貿易の混乱、マクロ経済の不安定化などといった直接的な影響があり、特にすでに脆弱な地域において、暴力的な抗議行動や政治権力の違憲な移譲を誘発する危機にも間接的につながるでしょう」と述べました。
エザコンワは、アフリカがロシアとウクライナからの食糧輸入に大きく依存していることを考えると、紛争の長期化はアフリカの食糧安全保障に深刻な影響を与え、アフリカが過去数十年間に達成した開発の成果と進歩を損ねるリスクがあると強調しました。
2020年、アフリカ諸国はロシアから40億米ドル相当の農産物を輸入しましたが、その90%は小麦でした。ロシアとウクライナは、世界の小麦生産の30%、世界のひまわり油生産の80%を占めています。
新型コロナウイルスの大流行とウクライナにおける戦争勃発による複合的な影響が生じる以前は、世界経済において最も好調な国のうち何ヵ国かはアフリカであったのに対し、現在ではアフリカの輸出の伸びは以前の予測の半分に縮小すると予想されていると指摘しました。「戦争がなければ8.3%だった輸出の成長率が、2022年には4.1%になると予測しています。アフリカの企業はエネルギー価格上昇のコストを負担することになり、深刻な困難に陥る可能性があります。また、燃料価格の上昇は、製造業者の輸送コストを上昇させます」と述べています。
さらに、戦争の影響はアフリカを深刻な債務苦に追い込み、各国が債務履行を果たす可能性を低くし、すでに不足している予算源は、必要とされる開発目標への資金調達とは対照的に、債務の支払いに流用されることになる可能性があります。
「アフリカ経済への悪影響を緩和するための強力な対策が必要です。例えば、近代化を通じた農業生産性の加速は大きな優先事項です。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は、アフリカの低い生産性を引き上げ、工業化を加速し、大陸への投資を促進するためのプラットフォームを提供します。デジタル技術を活用し、自由で公正な競争を促進することも、アフリカ経済を活性化する基盤となるでしょう」とエザコンワは述べています。
さらに、日本を含む国際社会は、開発金融を見直しアフリカを前進させるための優先項目を支援することができると付け加えました。SDGsの達成に向け、年間2.5兆ドルの不足資金を埋めるための国際社会のコミットメントが不可欠です。
「特に、ブルーカーボン市場やグリーンファイナンスの仕組みを通じて、アフリカの資源を利活用することによって、アフリカ諸国でレジリエンスを構築するためには、連携が不可欠です。その他の重要な分野としては、気候リスクに応じた投資、環境的に持続可能なプロジェクト、持続可能なエネルギー投資などがあります」とエザコンワは述べました。
エザコンワの訪日は、2022年8月27日~28日にチュニジアで開催予定の第8回アフリカ開発会議(TICAD)に向けた新たな節目となります。本年3月には、TICAD閣僚会議が開催され、首脳レベルの会議に向けた準備として、アフリカ大陸が直面する主要な開発課題のいくつかが特定されました。
TICADは1993年に開始され、官民のグローバルなパートナーシップを促進することを主要な目的の一つとしています。UNDPはTICAD共催者として、アフリカ開発の概念や地域的な文脈に関する専門的知見を提供し、開発の方向性を示すなどTICADを支援してきました。さらに、アフリカでの広大なネットワークを活用して多機関の調整やパートナーシップの促進、持続可能な開発のためのアドボカシーを実施するなどTICADプロセスの運営を支援してきました。
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