新進写真家発掘のためのフォトコンテスト「ZOOMS JAPAN 2025」グランプリが決定!グランプリは村上賀子さん、準グランプリは竹腰隼人さん
受賞作品は「CP+(シーピープラス)2025」(2/27~3/2)にて特別展示
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一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)[代表理事会長:池上博敬、所在地:東京都港区]が主催するカメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+」は、日本の写真家の国際的な活躍を応援するフォトコンテスト「ZOOMS JAPAN 2025(ズームス・ジャパン)」の受賞作品として、グランプリは村上賀子さんの「Known Unknown」、準グランプリは竹腰隼人さんの「寂として」を選出しました。
受賞作品は2月27日から3月2日までパシフィコ横浜で開催する「CP+2025」の会場で展示。2025年10月にパリで開催される写真映像機器ショー「Salon de la Photo(サロン・ドゥ・ラ・フォト)」の会場でも展示されます。また、受賞者は「Salon de la Photo」開催期間中、現地パリに招待され、フランス写真界関係者と交流をはかる予定です。
「ZOOMS JAPAN 2025」開催概要
CP+は、フランスのフォトコンテスト「Les Zooms (主催 Salon de la Photo)」 に賛同し、日本の写真家の世界進出を応援するため、2015年からZOOMS JAPANを開催しています。
本年は応募総数331作品の中から、フランス写真界の第一線で活躍する審査員による厳正な審査の結果、受賞作品が決定しました。
■審査員:Simon Edwards(サイモン・エドワーズ) 審査統括責任者/
Salon de la Photoアートディレクター
Cyrielle Gendron(シリエル・ジェンドロン) 『PHOTO』編集長
Gwénaëlle Fliti(グェナエル・フリティ) 『Fisheye』編集長/ジャーナリスト/
フォトエディター
Gérald Vidamment(ジェラルド・ヴィダムマン)ジャーナリスト/作家/写真家/
企業家/
『Compétence Photo』編集長
Stéphane Brasca(ステファン・ブラスカ) 『de l'air』創刊者兼ディレクター
Damien Roué(ダミアン・ルエ) 『PHOTOTREND』編集長
Léonor Matet(レオノール・マテ) 「Polka」図像学者
Thibaut Godet(ティボー・ゴデ) 『Réponses Photo』編集長
順不同
■受賞作品:(応募者名 / 作品テーマ)
<グランプリ>
村上 賀子 / 「Known Unknown」
<準グランプリ>
竹腰 隼人 / 「寂として」
■主 催:CP+実行委員会
■後 援:文化庁
■協 力:Salon de la PHOTO
■ZOOMS JAPAN 2025 URL:https://cpplus.jp/zoomsjapan/
【Les ZoomsとSalon de la Photoについて】
「Les Zooms」は、半世紀の歴史を持つフランスの写真映像機器ショー「Salon de la Photo」が、新たな才能を発掘するために毎年⾏っているフォトコンテストです。各受賞作品は「Salon de la Photo」の会場で展⽰され、フランス写真界の注⽬を集めています。
CP+は「Salon de la Photo」と協同して、「Les Zooms」の受賞作品をCP+会場で展⽰し、⽇仏両国の受賞者の交流を図るなど⽇仏写真⽂化交流の促進に努めています。
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グランプリ・準グランプリ 受賞作品 紹介
<グランプリ> 村上賀子さん / 「Known Unknown」
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【受賞者プロフィール】
1986年、宮城県仙台市生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程修了。コンセプチュアル・フォトのパイオニアとして知られる写真家・山崎博氏に師事。記憶やアイデンティティーを社会的出来事や生活環境と相関的に捉えながら、可視と不可視のイメージを交錯させる写真プロジェクトに取り組む。
主な個展に「Anonymous Danes」(2024)、「Known Unknown」(2024/2022/2021)。
主な受賞歴に第23回三木淳賞(2022)。写真集に『Known Unknown』(2024、ふげん社)。
【受賞者のコメント】
グランプリに選出いただき、まことにありがとうございます。審査員のみなさま、モデルとして協力してくれた友人たち、そしてこの作品に関わってくださったすべての方々に深く感謝申し上げます。この受賞を励みに、今後も制作に邁進してまいります。CP+2025およびSalon de la Photoで、みなさまに作品をご鑑賞いただけることを心より楽しみにしております。
【審査員のコメント】
このシリーズでアーティストは、女性たちの日常の空間に入り込み、その姿を捉えている。
フォーマルなポートレートでありながら、被写体の顔は写されず、誰なのかは分からない。作品は匿名性と自己の概念を浮かび上がらせることを目的としている。本来、感情は顔の表情で表現されることが多いが、本作では体の動きや仕草がその役割を果たしている。
写真は洗練され、構図も美しく整えられているが、どこか神秘的で、抑えられた感情が漂い、観る者の興味を引きつける。
フォトグラファーは、この緊張感を巧みに演出し、匿名の女性たちの生活を探ることで、「ポートレート写真とは何か」という問いを投げかける、力強い作品を生み出している。
Simon Edwards(サイモン・エドワーズ) 審査統括責任者/Salon de la Photoアートディレクター
私たちが知らないと分かっていることと、見ていながら見えていないものの間で—
村上賀子は、肖像芸術という古くからの表現を見事に再構築してみせる。
「それぞれの部屋」で撮影された36人の顔のない女性たち。
彼女たちは、日常という現実に絡め取られた女性の身体を通して、ありふれた日常の言葉を語っている。
何よりも、過剰な表象にあふれるこの時代に、作家は「自己像」という概念そのものに問いを投げかける。
彼女たちは一体誰を表しているのか?それは、撮影者自身であり、彼女たちを見つめるすべての人なのかもしれない。
Cyrielle Gendron(シリエル・ジェンドロン) 『PHOTO』編集長
村上賀子の「Known Unknown」シリーズに触れると、まずその親密で繊細な空気感に引き込まれる。
隠された顔が生み出すのは、強く心を惹きつける謎。人物の表情ではなく、仕草や衣服、さらには家具までもが手がかりとなり、観る者の想像を掻き立てる。控えめでありながら意味深い演出は、日本文化の持つ抑制と奥深さを映し出している。このシリーズは、私たちが「他者を知っている」と思い込んでいること、そして決して手の届かないものについて問いかけてくる。どの写真も、満たされつつも新たな好奇心を呼び起こし、「本当の美しさとは、目に見えず、言葉にもならないものなのかもしれない」—そんな余韻を残してくれる。
Damien Roué(ダミアン・ルエ) 『PHOTOTREND』編集長
長所と短所を併せ持つ人物の性格を、顔を見せずに表現することは可能だろうか?また、被写体の存在なしに、この状態をどのように捉えることができるのか?村上賀子はこの2つの問いに、才能と正確さと繊細さで答えている。私は特に、女性の身体の動きが周囲の環境と調和しているワイドショットを高く評価した。ここでは光が決定的な役割を果たし、あらゆるディテール、あらゆるものがシーンに貢献している。村上賀子の写真には自然さと穏やかな音楽性がある。
Gérald Vidamment(ジェラルド・ヴィダムマン) ジャーナリスト/作家/写真家/企業家
『Compétence Photo』編集長
正直なところ、このアプローチには少し戸惑いを感じた。すでに公の場から十分に排除されている女性たちの顔を、なぜ彼女たち自身のプライベートな空間の中でも隠してしまうのか?私の考えでは、それはかえって匿名性を強めてしまうように思える。本来、家庭とは彼女たちが最も「自分らしく」いられる場所のはず。だからこそ、私はその側面をもっと見たかった。
また、表現や技法の面でも、やや単純に感じられた。もう少し踏み込んだ探求があれば、より深みのある作品になったのではないだろうか。
Gwénaëlle Fliti(グェナエル・フリティ) 『Fisheye』編集長/ジャーナリスト/フォトエディター
村上賀子は、家庭で日常を送る女性たちを顔を見せずに描くことで、彼女たちのありふれた生活の中に自らを溶け込ませている。まるで家具の一部のように—そこに存在しながらも目立たず、観察者でありながら覗き見ではない。それは、鏡や装飾品がそうであるように、ただ静かに、しかし確かにその場にいる存在なのだ。
Stéphane Brasca(ステファン・ブラスカ) 『de l'air』創刊者兼ディレクター
村上賀子は、シンプルでありながら力強いスタイルで、日本の女性たちの家庭という親密な空間に入り込む。
彼女たちの日常的な動作は、それぞれの立場を物語るかのように、生活のリズムの中で繊細な舞を繰り広げる。
匿名性を巧みに操ることで、顔が見えないからこそ身体はより雄弁になり、彼女たちの心の内がより鮮明に浮かび上がる。
村上が描くのは、現代的でありながら時代を超えたポートレートの数々。
そしてその背後には、社会的な状況—それも普遍的なもの—すなわち、女性の立ち位置が静かに映し出されている。
Léonor Matet(レオノール・マテ) 「Polka」図像学者
<準グランプリ> 竹腰隼人 / 「寂として」
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【受賞者プロフィール】
1987年愛知県出身。
障害の発覚により自身の価値を問う日々の中、自然の美しさに触れ「生の循環の内には、落ち葉一枚にも意味がある。」と気付き、自分を許すことができた。
そして記憶と記録の美に魅せられ、主観を体現することを決意。
写真を通して「今日は良い日だ」を演出したい。
誰かの、何かの足しになるように。
【受賞者のコメント】
この度の選出をとても光栄に思っております。
頂戴致しました機会を先へ繋げるべく一層励んでまいります。
「私」という主観作、心象風景ではありますが、是非「アナタ」を足して観覧を楽しんでいただければと思っております。
今回企画に携わる全ての皆様へ、そして僕の写真に何かを感じ受け取ってくださった皆様に心を込めて、胸いっぱいの「ありがとう」を。
【審査員のコメント】
本作は、「記憶の再解釈」をテーマにしている。私たちは出来事や被写体のイメージを捉えることができるが、その瞬間の記憶は、当時抱いた感情と結びつき、必ずしも写し取ったままのものとは限らない。
竹腰は、現代の技術を用いてこれらの瞬間をネガのような繊細で幻想的な風景へと変換し、現実を再現するのではなく、むしろ感情を引き出すことを試みている。アーティストにとって唯一確かな現実とは、「写真を撮ったその瞬間に何かを感じた」という事実であり、彼がその場の目撃者であったということだ。
こうして生み出されたイメージは、より静かで内省的な次元を帯び、記憶や、私たちの目やカメラが捉えるものを通して、「存在とは何か」「私たちは世界の中でどのような位置にいるのか」といった問いを投げかけている。
Simon Edwards(サイモン・エドワーズ) 審査統括責任者/Salon de la Photoアートディレクター
自称“森の写真家”である竹腰隼人にとって、写真とは記憶を刻みつける手段である。
彼にとって「記憶を探すこと」は、現実のあらゆる原則に問いを投げかけることにほかならない。
こうして彼の作品を形作る風景は、光に満ちた抽象的な絵画のように立ち現れる。デジタル全盛の時代において、竹腰はあえて伝統的な手法を選び、和紙にプリントすることで、現実ではなく自身の感覚を写し取る。
彼の風景の中にあるのは、作家が思い描いた記憶だけ—それ以外のものは存在しない。
Cyrielle Gendron(シリエル・ジェンドロン) 『PHOTO』編集長
私たちは、竹腰隼人のシリーズに深く心を動かされた。彼はポジとネガを反転させることで、現実に挑み、生命の本質を浮かび上がらせる。それぞれの作品が放つ夢幻的な雰囲気の中には、反転した表面の奥に潜む強い存在感がほのかに感じられる。デジタル加工が当たり前になった現代において、竹腰の作品は「私たちは本当に見えているのか?」と問いかけてくる。そして、唯一確かなものは「感じること」なのだと、そっと思い出させてくれる。
Damien Roué(ダミアン・ルエ) 『PHOTOTREND』編集長
カメラでは、風景に対する自分の感情を翻訳するよりも、目に見える現実をそのまま書き写す方がずっと簡単だ。反転技法と入念な後処理のおかげで、竹腰隼人の写真は、彼がシャッターを切った瞬間に経験したことを私たちに感じさせることに成功している。時に暗く、時に明るく、しかし常に意図的に霞んでいる彼の写真は、私たち自身の感情に問いかける。
Gérald Vidamment(ジェラルド・ヴィダムマン) ジャーナリスト/作家/写真家/企業家
『Compétence Photo』編集長
この技法は、作品のアプローチと目的にしっかりと結びついており、単なる装飾ではない。
その点は称賛に値する。記憶、存在、確かなもの、現実と非現実—こうしたテーマを、作家は奔放な詩情をもって探求している。絵画的な表現は、私たちの思考に揺さぶりをかけ、自然へと引き込むモチーフは、日本の版画を思わせる。
非常に繊細で、心に響く作品だ。
Gwénaëlle Fliti(グェナエル・フリティ) 『Fisheye』編集長/ジャーナリスト/フォトエディター
西洋の視点から見ると、そして日本美術の愛好家としても、竹腰隼人の写真には日本の版画へのオマージュを感じずにはいられない。詩情、繊細さ、動物の存在、自然の圧倒的な気配、そして淡い色彩が作品全体に漂っている。
そこには、静かな哀愁と、絵画のように額装したくなるような抑えきれない衝動が共存しているのだ。
Stéphane Brasca(ステファン・ブラスカ) 『de l'air』創刊者兼ディレクター
竹腰隼人は、自身の人生についての考察を、芸術的アプローチを通じて表現している。
それは、写真という手法を用いた探求であり、彼の存在への問いと深く結びついている。
そしてその作品は、夢幻的で瞑想的な日本の版画の伝統に、静かに、しかし確かに寄り添っている。
Léonor Matet(レオノール・マテ) 「Polka」図像学者
「CP+ 2025」 開催概要
■名 称: CP+ (シーピープラス)2025
■開催日時: 2025年2月27日(木)~3月2日(日)4日間
一般来場者 各日入場時間
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2/27(木) |
12~18時 |
2/28(金) |
10~18時 |
3/1(土) |
10~18時 |
3/2(日) |
10~17時 |
※2月27日(木)10~12時は、VIP・プレス・アンバサダーのみ入場可能です。
■会 場:パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
オンラインイベント: CP+公式WEBサイト(https://www.cpplus.jp/)
※オンラインは3月31日までアーカイブ配信いたします。
■会場入場: 無料(事前登録制) オンラインイベントは事前登録不要
※事前登録は3月2日17時まで
■主 催 ⼀般社団法⼈カメラ映像機器⼯業会(CIPA)
■後 援: 経済産業省/観光庁/神奈川県/横浜市/横浜商⼯会議所/
⽇本貿易振興機構(JETRO)
■特別協⼒: ⽇本カメラ博物館/⽇本新聞博物館/横浜美術館
■協 ⼒: 公益社団法人応用物理学会/カメラ記者クラブ/東京写真記者協会/
日本営業写真機材協会/一般社団法人日本オプトメカトロニクス協会/
一般財団法人日本カメラ財団/一般社団法人日本光学会/
公益社団法人日本広告写真家協会/一般社団法人 日本写真映像用品工業会/
公益社団法人日本写真家協会/一般社団法人日本写真学会/協同組合日本写真館協会/
公益社団法人日本写真協会/一般社団法人日本写真文化協会/
一般社団法人日本電子回路工業会/日本フォトイメージング協会/
一般社団法人日本望遠鏡工業会/パシフィコ横浜/公益財団法人 横浜市観光協会
(50音順)
■主な出展分野:
カメラ、レンズ、写真・映像撮影関連用品、望遠鏡・双眼鏡、ディスプレイ、PC、
フォトフレーム、アルバム、プリンター、写真・映像編集加工ソフト、
写真・映像関連サービス、各種趣味・イベント関連、 携帯電話通信事業者、教育機関など
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