インパクト評価レポート:支援を受けたNPO職員の9割が「活動にポジティブな影響」
子育てママがメンターとして伴走。支援の現場を支える職員に寄り添う新しい人材育成の形『NPOメンタリングプログラム』

認定NPO法人サービスグラント(東京都渋谷区、代表理事:岡本祥公子・槇野吉晃)は、2024年度、内閣府の孤独・孤立対策推進交付金を受け、「孤独・孤立対策とした居場所づくり、緩やかなつながりづくり」などを行う12団体18組を『NPOメンタリングプログラム』で支援。5月の「孤独・孤立対策強化月間」に合わせ、本プログラムのインパクト評価レポートを公開しました。
『NPOメンタリングプログラム』は、子育て中のママたちが「メンター」として、NPO・地域団体等の代表やスタッフに伴走する取り組みです。日本における「プロボノ」の草分けとして国内最多のコーディネート実績を持つ認定NPO法人サービスグラントが、本プログラムを開発・運営しています。
※プロボノ=経験やスキルを活かすボランティア活動
【インパクト評価概要】
1.初期アウトカム
•対象者:2024年度参加者 12団体18組23名
•実施方法:プログラム実施前後のアンケート 及び 実施後のインタビュー調査
•アンケート実施
①NPOメンタリングプログラム実施前:実施日程 2024年10月29日~11月10日/回答数 17名
②NPOメンタリングプログラム実施後:実施日程 2025年2月1日~3月5日/回答数 21名
•インタビュー実施:実施日程 2025年3月21日/実施人数 1名
※インタビュー記事:支援先団体の声 一般社団法人ドゥーラシップジャパン
https://mamabono.org/support/dantai_voice/dulashipjapan/
2. 中期アウトカム
•対象者:2022・2023年度参加者 5団体10名
•実施方法:アンケート 及び 実施後のインタビュー調査
•アンケート実施:実施日程 2024年10月29日~11月10日/回答数 6名
•インタビュー実施:実施日程 2025年2月18日/実施人数 1名
※インタビュー記事:支援先団体の声 一般社団法人 チョイふる
https://mamabono.org/support/dantai_voice/choice-ful/

9割が「活動にポジティブな影響」と回答。3000人を超える受益者に好影響
2024年度『NPOメンタリングプログラム』で支援を受けたNPO等の代表・職員の全体的な満足度は100%。「他の人や他団体に勧めたいと思う」も100%の回答となりました。
支援を受けたことによる今後の活動への影響は、90%が「ポジティブな影響を与える」と回答。団体が活動の対象としている支援を必要とする人(受益者)への対応にポジティブな影響を与えましたか? という質問には、85%が「ポジティブな影響を与える」と回答しました。支援の結果、ポジティブな影響を与えた受益者は3002人※に上ることがわかりました。
※回答に10点満点中7点以上を付け、受益者数を回答したプログラム参加者13名が記載した人数を合算
具体的には、「受益者に新たな機会を設けた」「壁打ちの中でアイデアが発展し、新たな人たちを巻き込んでいくことになった」「新たに企業からの協賛を得られた」などのアクションにつながりました。

支援の前後で「自己認識」「仕事への安心感」に大きな変化
支援前後の参加者の状態を比較すると、「自己の強みや能力が認識できている度合い」が最もポジティブな変化が大きく、次いで「仕事における安心感の度合い」「現在の職務への満足の度合い」「同僚との関係への満足の度合い」も大きな変化が見られます。これは、自身の強みや、活動の意義を第三者に言語化してもらい再認識できた、整理できたことによるものと考えられます。各項目が相乗効果で活動への前向きな影響を及ぼしていることがうかがえます。

また、中期アウトカムとして、2022/2023年度のプログラム参加者の100%が、支援を受けたことが「NPOの活動にポジティブな影響を与えた」と回答しました。
【取り組みの背景】
NPOの社会的役割が拡大する中、職員への支援体制が課題に
新型コロナウイルス感染拡大の影響等で孤独・孤立の問題が一層深刻化したことを受け、2024年4月に孤独・孤立対策推進法が制定されました。NPOには、行政や企業の手が行き届かない領域での迅速な対応や、コミュニティの維持・強化における重要な役割が求められており、活動の重要性はますます高まっています。しかし、2023年度の内閣府の調査(*1)によると、NPOが抱える課題として「人材の確保・教育」が第1位となっています。
サービスグラントは2005年の活動開始以来、NPO等の非営利組織に2,000件を超えるプロボノ支援を提供してきましたが、特に少人数で活動しているNPOにおいて、相談できる相手・機会が少ないためにスタッフが疲弊したり、キャリアを描けずに離職したりしてしまうケースを目にしてきました。企業では、上司との面談や社外メンターを活用する取組みが拡充される一方、非営利組織ではそういった機会を十分に確保する余裕がなく、支援者支援の必要性が高まっています。
増加する支援ニーズに向き合うNPO側からは、もっと質の高い支援を届けたい、もっと多くの人を支援したいと思っていても、それがままならないという現状に、悩みを抱えているという声も多く聞こえています。
《出典》
*1:内閣府 令和5年度 特定非営利活動法人に関する実態調査
【NPOメンタリングプログラムとは】
他者支援に専念するNPO職員に必要な「聴いてもらう場」を提供

NPO等のスタッフや代表の孤独感やバーンアウトを防ぎ、団体運営の基盤強化につなげることを目指し、『NPOメンタリングプログラム』を2022年から開始しました。このプログラムでは、子育て中の女性たちがボランティアで外部メンターとなり、月2回、3カ月間にわたって伴走。団体スタッフの業務やキャリアの悩みを聴き、課題を整理しながら次の一歩を共に考えることで、モチベーションの維持・向上を図り、受益者へのポジティブな対応と継続的な活動の実現を支援してきました。
聴く力で社会貢献するママ自身の孤独・孤立解消も実現
子育て中の女性たちがメンターを担当することで、子育て中の女性の孤独・孤立解消にも貢献しています。仕事のスキルや子育てで培った聴く力を活かすだけでなく、子育てと仕事の限られた役割による閉塞感を、誰かの役に立つことで打開する機会にもなっています。また、NPO職員との対話を通じて、社会課題解決への熱意や現場の実態に触れることで、メンター自身の社会感度を高める学びの場ともなります。
認定NPO法人サービスグラントについて
認定NPO法人サービスグラントは、日本における「プロボノ」のフロンティアとして2005年より活動を開始。"社会課題を前に、誰もが行動を起こし、違いや可能性を活かしあいながら協働できる社会"を目指し、主に、社会人の経験やスキルを活かした「プロボノ」によって非営利組織が抱える課題の解決を目指す、プロジェクト型支援のコーディネート等に取り組んできました。2025年2月現在、サービスグラントの登録者は延べ約9500人、実施プロジェクト数は約2000件となりました。これらの実績を通じて、多様な主体が境界を越えて協働する社会のしくみを探求しています。
【本リリースに関する報道お問い合わせ先】
認定NPO法人サービスグラント(NPOメンタリングプログラム担当 栗原・津田)
TEL: 03-6419-4021
e-mail: mamabono@servicegrant.or.jp
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