層別化された健康な日本人の平均的な腸内細菌叢に関する論文が、Bioscience of Microbiota, Food and Health誌に掲載されました
株式会社サイキンソー(本社:東京都渋谷区、代表取締役:沢井 悠、以下サイキンソー)は、神戸大学大学院医学系研究科内科学講座循環器内学分野の吉田尚史研究員、山下智也准教授との共同研究により、層別化された健康な日本人集団の平均的な腸内細菌叢を確立しました。
本研究の成果は、2021年12月7日付けで『Bioscience of Microbiota, Food and Health』に掲載されました。
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/bmfh/advpub/0/advpub_2021-056/_article)
本研究の成果は、2021年12月7日付けで『Bioscience of Microbiota, Food and Health』に掲載されました。
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/bmfh/advpub/0/advpub_2021-056/_article)
Average gut flora in healthy Japanese subjects stratified by age and body mass index
(和訳:年齢および肥満度によって層別化された健康な日本人の平均的な腸内細菌叢)
腸内細菌叢はヒトの健康維持だけでなく、炎症性腸疾患、肝硬変など多くの疾患の発症に極めて重要な役割を担っていることが示されています。現在までに、多くの臨床研究において、健常者と特定の疾患をもつ患者との間の腸内細菌叢の比較検討がなされてきました。
このような比較検討のためにも、昨年サイキンソーは日本人における腸内細菌指標の基準値範囲を確立しました。(参照:https://doi.org/10.12938/bmfh.2020-038)
本研究では高齢群を解析対象に加え、サイキンソーは神戸大学大学院医学系研究科内科学講座循環器内学分野の吉田研究員、山下准教授との共同研究により、年齢と肥満度(BMI)で層別化*1した健康な日本人集団の平均的な腸内細菌叢を確立しました。
【方法】
今回の研究では、サイキンソーが実施している研究プロジェクト「Mykinsoコホート研究」に2017年1月から2020年4月までに参加した日本人10,063人の便サンプルのうち、生活習慣や症状に関するアンケート回答内容に基づき健康な日本人のみに絞り込んだ6,101人を分析しました。具体的には、便からDNAを抽出し細菌固有の配列を網羅的に解析することで、腸内細菌組成比を算出しました。得られた腸内細菌組成データに対して相関ネットワーク解析などの統計解析を行い、年齢、BMIと腸内細菌叢との関係を調べました。
【結果】
年齢およびBMIによる層別化により、上位10属のうち、Bacteroides、Bifidobacterium、Anaerostipes、Blautia、Dorea、Fusicatenibacter、Lachnoclostridium、Parabacteroides の存在量は、高齢群において若年・中年群に比べ有意に少ないなど、各層の特徴を特定することができました。
また、層別化データに対して相関ネットワーク解析*2を行い、以下に示すような年齢とBMIで層別化して微生物間相互作用を推定した相関ネットワーク図を得ることができました。
今回の研究により、年齢とBMIで層別化された健康な日本人の平均的な腸内細菌叢の特徴を明らかにすることができました。このことは、腸内細菌叢を介した治療や体質改善などの観点から、極めて重要な意味を持つと考えられます。今後は、ネットワーク解析によって微生物間の相互作用が顕著であることが明らかになった高齢のやせや肥満に特に注目し、高齢者菌叢の安定性、不安定性を指標化し、病態のバイオマーカー、治療ターゲットについても研究を進めていく予定です。
・吉田尚史研究員 コメント
「本邦における平均的な腸内細菌叢を明らかとするだけでなく、相関ネットワーク解析により、腸内細菌―腸内細菌間の相互作用の一端を明らかとできました。この事は、腸内細菌叢に対する介入により疾患を治療するような、新たな治療法の実現に向けた大きな一歩と思います。」
・山下智也准教授 コメント
「今回の研究で、健康日本人の平均的な腸内細菌叢を明らかにすることができました。
続けて「若年・中年群における肥満」「高齢群におけるやせ」と腸内細菌の関連を検討し、生活習慣病やフレイルなど高齢者特有の問題解決につながる研究への発展が期待できます。」
サイキンソーは今後もMykinsoコホートを拡大しながら腸内細菌叢と健康の関わりについて研究し、腸内フローラ検査などのサービスを通じて、一人ひとりがより健康的な生活を送るための情報を発信してまいります。
【用語説明】
*1 層別化とはある特徴に注目してデータをグループに分けることです。今回の研究では、年齢は若年(20≦年齢<40)、中年(40≦年齢<65)、高齢(65≦年齢)の3群、BMIではやせ( BMI<18.5 kg/m2)、正常(18.5 kg/m2≦BMI<25 kg/m2)、肥満(25 kg/m2≦BMI)の3群に層別化を行いました。
*2 相関ネットワーク図では、ある菌種のペアに強い関連があるほど円の中に線が引かれて密になり、関連がない場合は疎となります。図に示すように各層によって関連に差があり、異なる微生物間相互作用を特定することができました。
【謝辞】
本研究はサイキンソーが実施している研究プロジェクト「Mykinsoコホート研究」の一環として実施いたしました。ご参加いただいた皆様に深く感謝いたします。
以下のポジションにご興味をお持ちの方は、是非採用ページよりお問い合わせください。
・実験技術者(ラボテクニシャン)
・ラボマネージャー/責任者
・研究プロジェクトマネージャー
・データエンジニア
・WEBエンジニア
・オペレーションサクセス
採用ページ:https://cykinso.co.jp/recruit
■株式会社サイキンソー 会社概要
「細菌叢で人々を健康に」を企業理念として、腸内フローラをはじめとする人体の常在細菌叢をデータサイエンスの力で解き明かし、ヘルスケアに貢献することを目指す企業です。
会社設立:2014年11月19日
所在地:東京都渋谷区代々木1-36-1 オダカビル2階
代表取締役:沢井 悠
主な共同研究先:大阪大学微生物病研究所
URL:https://cykinso.co.jp/
- 論文概要
Average gut flora in healthy Japanese subjects stratified by age and body mass index
(和訳:年齢および肥満度によって層別化された健康な日本人の平均的な腸内細菌叢)
- 研究概要
腸内細菌叢はヒトの健康維持だけでなく、炎症性腸疾患、肝硬変など多くの疾患の発症に極めて重要な役割を担っていることが示されています。現在までに、多くの臨床研究において、健常者と特定の疾患をもつ患者との間の腸内細菌叢の比較検討がなされてきました。
このような比較検討のためにも、昨年サイキンソーは日本人における腸内細菌指標の基準値範囲を確立しました。(参照:https://doi.org/10.12938/bmfh.2020-038)
本研究では高齢群を解析対象に加え、サイキンソーは神戸大学大学院医学系研究科内科学講座循環器内学分野の吉田研究員、山下准教授との共同研究により、年齢と肥満度(BMI)で層別化*1した健康な日本人集団の平均的な腸内細菌叢を確立しました。
【方法】
今回の研究では、サイキンソーが実施している研究プロジェクト「Mykinsoコホート研究」に2017年1月から2020年4月までに参加した日本人10,063人の便サンプルのうち、生活習慣や症状に関するアンケート回答内容に基づき健康な日本人のみに絞り込んだ6,101人を分析しました。具体的には、便からDNAを抽出し細菌固有の配列を網羅的に解析することで、腸内細菌組成比を算出しました。得られた腸内細菌組成データに対して相関ネットワーク解析などの統計解析を行い、年齢、BMIと腸内細菌叢との関係を調べました。
【結果】
年齢およびBMIによる層別化により、上位10属のうち、Bacteroides、Bifidobacterium、Anaerostipes、Blautia、Dorea、Fusicatenibacter、Lachnoclostridium、Parabacteroides の存在量は、高齢群において若年・中年群に比べ有意に少ないなど、各層の特徴を特定することができました。
また、層別化データに対して相関ネットワーク解析*2を行い、以下に示すような年齢とBMIで層別化して微生物間相互作用を推定した相関ネットワーク図を得ることができました。
【まとめ】
今回の研究により、年齢とBMIで層別化された健康な日本人の平均的な腸内細菌叢の特徴を明らかにすることができました。このことは、腸内細菌叢を介した治療や体質改善などの観点から、極めて重要な意味を持つと考えられます。今後は、ネットワーク解析によって微生物間の相互作用が顕著であることが明らかになった高齢のやせや肥満に特に注目し、高齢者菌叢の安定性、不安定性を指標化し、病態のバイオマーカー、治療ターゲットについても研究を進めていく予定です。
- 共同研究者コメント
・吉田尚史研究員 コメント
「本邦における平均的な腸内細菌叢を明らかとするだけでなく、相関ネットワーク解析により、腸内細菌―腸内細菌間の相互作用の一端を明らかとできました。この事は、腸内細菌叢に対する介入により疾患を治療するような、新たな治療法の実現に向けた大きな一歩と思います。」
・山下智也准教授 コメント
「今回の研究で、健康日本人の平均的な腸内細菌叢を明らかにすることができました。
続けて「若年・中年群における肥満」「高齢群におけるやせ」と腸内細菌の関連を検討し、生活習慣病やフレイルなど高齢者特有の問題解決につながる研究への発展が期待できます。」
サイキンソーは今後もMykinsoコホートを拡大しながら腸内細菌叢と健康の関わりについて研究し、腸内フローラ検査などのサービスを通じて、一人ひとりがより健康的な生活を送るための情報を発信してまいります。
【用語説明】
*1 層別化とはある特徴に注目してデータをグループに分けることです。今回の研究では、年齢は若年(20≦年齢<40)、中年(40≦年齢<65)、高齢(65≦年齢)の3群、BMIではやせ( BMI<18.5 kg/m2)、正常(18.5 kg/m2≦BMI<25 kg/m2)、肥満(25 kg/m2≦BMI)の3群に層別化を行いました。
*2 相関ネットワーク図では、ある菌種のペアに強い関連があるほど円の中に線が引かれて密になり、関連がない場合は疎となります。図に示すように各層によって関連に差があり、異なる微生物間相互作用を特定することができました。
【謝辞】
本研究はサイキンソーが実施している研究プロジェクト「Mykinsoコホート研究」の一環として実施いたしました。ご参加いただいた皆様に深く感謝いたします。
- 採用情報
以下のポジションにご興味をお持ちの方は、是非採用ページよりお問い合わせください。
・実験技術者(ラボテクニシャン)
・ラボマネージャー/責任者
・研究プロジェクトマネージャー
・データエンジニア
・WEBエンジニア
・オペレーションサクセス
採用ページ:https://cykinso.co.jp/recruit
■株式会社サイキンソー 会社概要
「細菌叢で人々を健康に」を企業理念として、腸内フローラをはじめとする人体の常在細菌叢をデータサイエンスの力で解き明かし、ヘルスケアに貢献することを目指す企業です。
会社設立:2014年11月19日
所在地:東京都渋谷区代々木1-36-1 オダカビル2階
代表取締役:沢井 悠
主な共同研究先:大阪大学微生物病研究所
URL:https://cykinso.co.jp/
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