ウガンダでは黒土とビールを顔に、エチオピアは牛ふんで掃除~各国でユニークな新年行事
2019年も残すところ、あとわずか。水・衛生専門の国際NGOウォーターエイドが活動している各国から、ユニークな新年行事の情報が届いています。
黒土とソルガムきび、ビールを混ぜ合わせたものを塗られるオトゥング・メリーさん(WaterAid/James Kiyimba)
ウガンダ北東部のカラモジャ地域は、開発が遅れ、不衛生な環境も要因となって、トラコーマがまん延し、失明してしまう住民も多くいました。ウォーターエイドは水の供給やトイレの使用拡大、衛生習慣の普及などに取り組み、トラコーマを減らすための活動に取り組みました。
カラモジャ地域に暮らすカラモジョン族は、新年の儀式のなかで、豊作を祈り、黒土とソルガムきび、ビールを混ぜ合わせ、これを女性の顔に塗ります。黒土は肥沃な黒い土黒い雨雲の象徴でもあります。
オトゥング・メリーさん(40歳)は「食べるものがなくて苦しむのはいやです。村の住民たちの希望は、自分たちの畑から多くの収穫があることです。私の新年の抱負は、一生懸命働いて、収穫を上げることです。そうすれば家族が食べ物に困ることはなくなります」と話します。
牛ふんで掃除をするセネデさん(WaterAid/Frehiwot Gebrewold)
エチオピア北部アムハラ州のジャビテナン郡に住むセネデさんは「牛ふんは簡単に手に入れることができ、家をきれいに保ちます。床のほこりを掃いた後に使い、家がほこりっぽくなるのを防ぎます」といい、「新年が私たちの国に平和と繁栄をもたらすことを願っています」と話しています。
セネデさんの住む地域の住民の多くは牧畜に従事していますが、水・衛生の状況は悪く、下痢や感染症に悩む人が多くいます。ウォーターエイドは現地のパートナー団体とともに水・衛生環境の改善を進めています。
愛と尊敬を受け、鶏を受け取るジュリエットさん(WaterAid/Ernest Randriarimalala)
悪い行いを洗い流し、新年の幸福を祈る「聖なる入浴」中のホーン・リンさん(WaterAid/Mom Vat)
ご健在だった祖父母と一緒に、大阪・堺市の多治速比売神社(たじはやひめじんじゃ)を参拝したときの奥井さん(右)(WaterAid Japan/Toshiyuki Okui)
「私は海外のコミュニティ開発にもかかわっていますが、水くみが子供、特に女の子の役割というところが多いです。井戸や水道の整備という問題もありますが、子供や女の子だけが水くみをするのではなく、コミュニティがどう支えるか、それは社会の問題と捉えて取り組んでいきたいと考えています」
世界では10人に1人が家の近くで清潔な水を使うことができず、4人に1人は適切なトイレを使えません。800人もの子供たちが毎日、汚れた水に関連する病気のために毎日死亡し、さらに多くの子供たちが頻繁に病気にかかっています。女性と女の子は毎日何時間もかけて水くみに行くため、学校や仕事に十分な時間をかけられません。
新年を控え、ウォーターエイドは、厳しい状況にある世界各地のコミュニティで清潔な水と適切なトイレへのアクセスが改善され、より多くの人々が心から新しい年の到来を祝うことができることを願って活動を続けています。
新年は祝福の季節であり、世界中の人々は新年の幸福を願って伝統行事を遂行しています。清潔な水や適切なトイレを使えない何百万人もの人々は、来たるべき年に他の人々と同じように健康で教育を受け、経済的に安定した生活を望んでいますが、それは約束されているわけではありません。
2020年を迎えると、持続可能な開発目標が目標とする2030年まで残り10年となります。世界は「安全な水とトイレを世界中に」などの目標に合意しています。ウォーターエイドは、この目標の達成に向け、さらに力を入れていきます。
ウォーターエイドとは
2030年までにすべての人が安全な水とトイレを利用できる世界を目指し、貧困下で生活する人びとの水と衛生状況改善に専門的に取り組む国際NGOです。1981年にロンドンで設立され、2019年現在、34か国で水・衛生支援を実施しています。2013年、日本法人を設立しました。
https://www.wateraid.org/jp/
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