CALL4、本人の意思を無視して日本国籍を一方的にはく奪する「国籍法11条1項は違憲」訴訟のサポートを開始
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000106
背景
世界の約8割の国は複数国籍を認めているにも関わらず、日本では国籍法11条1項(※2)により、外国籍を取得すると意思確認をされずに、自動的に日本国籍をはく奪されてしまいます。国際化が進んだ社会で、自身の意思と関係なく国籍をはく奪されることはもう終わりにしたいと、米国の弁護士近藤ユリさんをはじめとする原告らは立ち上がりました。
※1 日本国内における「公共訴訟支援に特化したウェブ支援プラットフォーム」として、2019年9月に弁護士による見解など自社調査した結果
※2 日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
訴訟1:原告 近藤ユリ氏
日本人の両親のもと日本で生まれ育った近藤ユリさんは、アメリカの大学院に進学後、アメリカで弁護士となりアメリカで暮らしていました。ユリさんは、長くアメリカで暮らすうちに選挙権を行使したいと考えるようになり、また税制上不利にならないためにも、アメリカ国籍の取得を希望するようになりました。その当時のユリさんには、日本国籍を失ってもよいという考えはなく、アメリカ国籍を取得することで日本国籍を喪失することになるとは思ってもいませんでした。
コロナ禍で日本への入出国に際して、ユリさんは、日本国籍喪失の問題に直面しました。入国制限が厳格化する中で、いったん日本を出てしまうと、次にいつ日本に入国できるかわからないという状況におかれ、ユリさんは、日本への入国制限を避けるため、日本にとどまることを選びました。しかし、国籍法11条1項が存在しなければ、ユリさんがこのような選択を迫られることはありませんでした。
訴訟2:原告Aさん(仮名)
日本国籍だったAさんは、日本で国際結婚カップルの特別養子となりました。英国国籍の父の養子として英国で登録され、英国国籍を取得。その際に国籍法11条1項により、日本国籍を奪われた未成年の子どもです。現在、Aさんと父は英国国籍のみであり、母は日本国籍のみとなっています。 本訴訟では、国籍法11条1項の違憲性のほか、11条1項を未成年にも適用すべきか、また原告がそもそも外国国籍を志望取得したといえるのかなどが争われています。
上記原告ら以外にも国籍法11条1項により、外国籍を取得する際に自動的に日本国籍をはく奪されてしまった人たちが世界中にたくさんいます。日本国籍がないため日本への入国や長期滞在が難しくなり、親の介護のために帰国しても十分な期間滞在ができなかった人たち、親の死に目に会うことができなかった人たちがたくさんいます。 原告らは、自分たちだけではなく他のたくさんの人たちの声も代弁し、国際化が進んだ社会で、自分たちの意思と無関係に日本から排斥される人たちがでてくるのはもう終わりにしたいと考えています。
クラウドファンディング及び支援ページ概要
以下のケースページより支援が可能です。
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000106
※クレジットカードで簡単に寄付することができます。
※寄付にあたって会員登録は不要です。
資金の使途
・外国法調査費用、翻訳費用
・研究者、専門家の意見書作成、出廷費用
・弁護士交通費、通信費、コピー代など
・期日報告集会会場使用料
※上記費用に計上した上でお金が余った場合には、弁護士費用に充てさせていただきたいと思います。
担当弁護士のメッセージ
近藤 博徳 東京弁護士会 TOKYO大樹法律事務所
かつて、私にとって国籍は、空気ほどの存在感も感じることのないものでした。
国籍法11条1項の裁判に関わるようになって、もう9年も経ちます。この間、日本国内にいながら日本国籍を失った方、海外に住んでいて日本国籍を失った方、国籍を失ったことを知らずに日本に帰国して不法滞在外国人となってしまった方、また海外に住んでいるが日本国籍を失いたくないために現地に帰化できず困難に直面している方、多くのお話を聞き、ケースを見てきました。
いま、私は、ヒリヒリする生傷のようなリアルさで国籍を実感している人が、世界中にいることを知っています。彼ら・彼女らの重荷が、少しでも軽くなり、その住む土地で自らを思う存分実現できるようになること、そしてかつての私のような人たちに、国籍の問題がもたらしているリアルな痛みを知ってもらうこと、を期待して、裁判に取り組んでいます。
仲 晃生 京都弁護士会 椎名法律事務所
訴訟1の原告近藤ユリさんとは、2018年に提訴した国籍はく奪条項違憲訴訟の報告集会で知り合いました。その後、ユリさんから、コロナ禍で起きている悲劇的な状況を日本国内で暮らす人たちに知ってもらうためにも訴訟を提起したいという相談を受け、受任しました。
この訴訟で重要な点はいくつもありますが、私個人としては、第1に、日本国民が海外で居住国の国籍を取得して生活の安定や活躍の場の拡大を目指すことを応援するための訴訟であるということ、第2に、今の憲法をどうやって解釈すべきなのか、今の憲法の下で裁判所はどういう役割を課されており国民と政府の関係をどう考えるのか、憲法は日本国籍を本人の意思に反して奪い民主政治の過程から日本国民を追放することを許容しているのかなど、今の憲法の下での国民と国家の関係をどう考えるかということ、これら2点が、結論を左右する核心であると考えています。
訴状では、国籍はく奪条項違憲訴訟で練り上げてきた主張をさらにわかりやすく整理して、この問題意識も盛り込んでみました。国の反論と読み比べて、考察いただければ幸いです。
担当弁護士の紹介
・近藤博徳 東京弁護士会 TOKYO大樹法律事務所
・椎名基晴 京都弁護士会 椎名法律事務所
・仲晃生 京都弁護士会 椎名法律事務所
・仲尾育哉 大阪弁護士会 C&L法律事務所
・山西信裕 福岡県弁護士会 冨山・松尾・山西法律事務所
「CALL4」について
「CALL4」は2019年9月のサービス開始以降、公共訴訟を支援するクラウドファンディングと、訴訟の背景にある課題や原告の人生を伝えるコンテンツの提供を行っています。活動を通じて、より多くの人たちが司法で起きていることを知り、関心を持ち、そしてさまざまな形で参画することができる仕組み作りに尽力しています。
同性婚訴訟、性風俗事業者に対する持続化給付金不支給を問う「セックスワークisワーク訴訟」、最高裁で史上11件目の法令違憲判決が出された在外国民審査訴訟、入管施設内における暴行事件など、多くの訴訟について、訴訟概要やその問題背景についてのコンテンツ発信を行なっています。
運営団体「認定特定非営利活動法人CALL4」について
認定特定非営利活動法人CALL4は、公共訴訟を支援するウェブプラットフォーム「CALL4」の運営のために設立された営利を目的としない法人で、代表を務める弁護士谷口太規の他、多様な専門性を有するプロボノメンバーによって活動が担われています。
詳細は以下よりご確認ください。
CALL4は今後も、クラウドファンディングをはじめとするケースサポートを通じて、司法をより身近に感じていただけるよう日々活動してまいります。
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