【声明】ガザ・国際司法裁判所の仮保全命令を受けて

2024年1月29日(月)、ヒューマンライツ・ナウは、国際司法裁判所(ICJ)の仮保全措置命令を受けて声明を公表しました。

HRN

2023年12月29日に南アフリカが、イスラエルを国際司法裁判所に提訴し、その中で暫定措置を要請しました。本件に関し、2024年1月27日、ICJは、南アフリカの要請を踏まえ、暫定措置命令を発出しました。

本声明では、ICJによる仮保全措置命令を歓迎するとともにこの命令がなぜ重要なのか3つの点を示しています。

また、同措置を踏まえ、国連安全保障理事会と国連総会に、そして国際社会に、ジェノサイド行為の防止と処罰および人道的支援の保証を実現するための即時停戦をへ向けた具体的行動を求めています。
そして日本政府に対しては、ICJ の命令を受け、即時停戦を実現しジェノサイドを防止するよう、真剣な外交努力を強く求めています。

以下、声明全文(日本語)です。

声明のダウンロードはこちら:

日本語:https://hrn.or.jp/wpHN/wp-content/uploads/2024/01/61c6a675ac33f2cddc2990f493df238c.pdf

英語:https://hrn.or.jp/wpHN/wp-content/uploads/2024/01/5ce9446abd2ee1a31f3c1f30d5c3fbb0.pdf

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ヒューマンライツ・ナウは国際司法裁判所の仮保全措置命令を歓迎するとともに 同措置を踏まえ日本政府と国際社会に対し即時停戦へ向けた具体的行動を求める 


2024年1月27日、国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルに対して集団殺害犯罪(ジェノサイド)を防ぐための仮保全措置を命じました[1]1。ヒューマンライツ・ナウはこの命令を歓迎します。


この命令は以下の点で極めて重要です。


(1) パレスチナの人々がジェノサイド条約上の保護対象であると公式に認められたこと

(2) 現在ガザで進んでいる事態が回復不能の損害が生じる危険と緊急性を要することが認 められたこと

(3) その上で、ジェノサイドに該当する諸行為に対する措置をイスラエルに命じたこと。

より具体的には、ジェノサイドに該当しうる行為: (a) 集団構成員を殺すこと、(b) 集団構成員に対して重大な肉体的又は精神的な危害を加えること、(c) 全部又は一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること、(d) 集団内における出生を防止することを意図する措置を課すること、(e) 集団の児童を他の集団に強制的に移すことにつき、特に(a)から(d)を明示して、イスラエル政府にその防止、軍がそうした行為を行わないよう措置を取ること、ジェノサイド扇動の防止と処罰を求めたこと。


ヒューマンライツ・ナウは、イスラエルに対し、この命令を重く受け止め、命令を確実に履行すること、とりわけパレスチナの人々に対する殺害、傷害等の禁止された行為を直ちに停止し、人道支援が履行されるよう必要な措置を講じることを求めます。同時に、イスラエルに軍事支援をしている各国政府に対し、全ての軍事支援を停止するよう求めます。


南アフリカが ICJ への訴えの中で求めた即時停戦は命令に含まれませんでしたが、(3)の実現さらに命令に含まれている人道的援助の保証を実現するためには、即時停戦は不可欠の条件です。


ヒューマンライツ・ナウは、ICJ の決定を踏まえ、国連安全保障理事会と国連総会に、そして国際社会に、ジェノサイド行為の防止と処罰および人道的支援の保証を実現するための即時停戦を求めるよう呼びかけます。


日本政府はジェノサイド条約を批准していないものの、ICJ を主要な司法機関とする国際連合の加盟国として、また「国際社会における法の支配を重視する」2と明言した国家として、この決定の実現に向けて尽力する責任を負います。ヒューマンライツ・ナウは日本政府に対し、ICJ の命令を受け、即時停戦を実現しジェノサイドを防止するよう、真剣な外交努力を強く求めます。


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 1 Application of the Convention on the Prevention and Punishment of the Crime of Genocide in the Gaza Strip (South Africa v. Israel),Order(26 January 2024)


2 https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/pageit_000001_00242.html

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会社概要

URL
https://hrn.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都新宿区
電話番号
-
代表者名
新倉 修
上場
未上場
資本金
-
設立
2008年04月