義肢を動作させるために使用される量子センサ

非常に小さく高速な神経信号の検知に使用されるスペクトラム社のデジタイザとAWG

Spectrum Instrumentation GmbH

スペクトラム・インスツルメンテーション社(以下、スペクトラム社)は、ドイツの学際的コンソーシアムであるQHMIが、義肢に使用する特定用途向け集積回路(ASIC)と光集積回路(PIC)の設計に超高速デジタイザ(M5i.3357)と任意波形発生器(M4x.6631)を活用していることを発表しました。

義肢装具を制御するためには、体の電気信号を検知する必要があります。現在では、体内に電極を埋め込む方法が最も一般的ですが、侵襲的であることに加え、電極が劣化したり位置がずれたりするリスクがあります。ドイツのStuttgartを拠点とするQHMIコンソーシアムは現在、量子センサを使用して、超高感度の量子磁力計を体の表面に装着し、皮膚の上から非常に小さく高速な神経信号を測定するという、これまでとはまったく違ったアプローチで開発を進めています。現段階では、科学者たちは、スペクトラム社の超高速デジタイザ(M5i.3357)と任意波形発生器(M4x.6631)を使用して信号の特性評価を行い、最終的に必要な特定用途向け集積回路(ASIC)と光集積回路(PIC)を設計しています。

新たな義肢の開発目標である、体内に埋め込む電極に代わって、皮膚に装着する量子センサ

「Cluster4Future QSens」プロジェクトの責任者であり、QHMIコンソーシアムの主導的な科学者である、Stuttgart大学のJens Anders教授・博士は、次のように述べています。

筋肉の磁気変化を非侵襲的に検出する方法は他になく、量子センサプローブの世界で最初の応用事例のひとつです。その磁気変化は10~100 pT程度と非常に微小であり、この値は地球の磁場の10万分の1です。私たちのテストでは、センサが皮膚の上から筋肉の神経信号を検知できるほど高感度であることを示しています。たとえば、前腕の筋肉がわずかに残存するような場合でも、原理上は応用できるはずです。私たちは、皮膚を傷つけることなく脳内の信号を検知するために必要なfT単位の磁気変化測定の、さらなる感度向上の実現に取り組んでいます」

カスタムICと量子センサを使用したテストPCB 写真:University Stuttgart Max Kovalenko

この技術の核となるのは、極小のダイヤモンド片で作られた光検出磁気共鳴(ODMR)デバイスです。ダイヤモンドには、いわゆる窒素-空孔センター(NVセンター)がドーピングされています。NVセンターは電子スピンを有するため、小さな棒磁石のような特性を示します。このNVセンターに緑色のレーザー光を当てると、赤色の蛍光信号を発します。適切なマイクロ波磁場を適用することで、この蛍光信号は外部の磁場に対して非常に敏感になり、極めて高精度な神経信号の測定に使用することができます。

顕微鏡を使用したテストPCBのASICチェック 写真:University Stuttgart Max Kovalenko

NVセンターのスピンを制御するために必要なマイクロ波磁場は、マイクロ波送信機により駆動される適切なコイルを使用することにより生成されます。この送信機のベースバンド信号は、任意波形発生器(AWG)を使用して生成され、キャリア信号の必要な位相と振幅の変調を提供します。これにより、励磁信号が実験の非理想性に対して影響を受けにくくなります。その結果、神経磁場の情報を伝達する蛍光信号がフォトダイオードで捕捉され、増幅、フィルタリング、デジタル化され、高度な信号処理が行われます。

フラッグシップシリーズ、デジタイザM5i.3357モデルはサンプリングレート10 GS/s、分解能12 bit。ベストセラーのAWG M4x.6631モデルは出力レート1.25 GS/s、分解能16 bit

チームがスペクトラム社のカードを選んだのには、いくつか理由があります。まず1つ目は、このような微小信号にとって不可欠な非常に高いダイナミックレンジと優れたノイズ性能を備えている点です。2つ目は、非常に高速であり、100 MHzを超える帯域幅を必要とする高度なパルス励起法に関連する高速信号を補足できる点です。3つ目は、性能に対しての価格の面で優れている点です。そして最後の4つ目は、5年保証です。故障した機器を交換するための資金調達はほぼ不可能であるため、研究の要となる部品が5年間保証されていて安心をもたらしています。

量子センサプローブの大きさは、現在マッチ箱ほどですが、将来的には約1cm3程度になり、信号処理電子機器とバッテリーを収納する大きなマッチ箱とほぼ同じサイズの制御ボックスに接続されます。マイクロエレクトロニクスとフォトニックの技術統合を活用して制御ボックスをさらに小型化し、1日使用してもバッテリーが持続するようになることを目指しています。これは、3年~4年以内に、義肢で応用できるようになると期待されています。

スペクトラム・インスツルメンテーション社(Spectrum Instrumentation)について

 1989年に創業したスペクトラム社(CEO 兼 創業者Gisela Hassler)は、モジュラー設計を利用することでデジタイザ製品および波形発生器製品をPCカード(PCIeおよびPXIe)やスタンドアローンのEthernetユニット(LXI)として幅広く生み出しています。スペクトラム社は30年間に、トップブランドの業界リーダーやほとんどすべての一流大学を含む、世界中のお客様に製品をご利用いただいています。当社はドイツのハンブルク近郊に本社を構えており、5年保証と設計エンジニアやローカルパートナーによる優れたサポートを提供しております。スペクトラム社の詳細については、https://www.spectrum-instrumentation.com をご確認ください。

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会社概要

Spectrum Instrumentation GmbH

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URL
https://spectrum-instrumentation.com/en
業種
情報通信
本社所在地
Ahrensfelder Weg 13, Grosshansdorf, Germany
電話番号
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代表者名
Gisela Hassler
上場
未上場
資本金
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設立
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