「グリーン水素発電システム:G-HES(Green Hydrogen Energy System)」 BLUE FRONT SHIBAURAに導入
東京大学先端科学技術研究センターとのカーボンニュートラル技術拠点活動の社会実装
野村不動産株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:松尾 大作、以下「野村不動産」)は、東京大学先端科学技術研究センター(所在地:東京都目黒区/所長:杉山 正和、以下「東大先端研」)との「カーボンニュートラル技術拠点に関する連携」※1活動の一環として、「BLUE FRONT SHIBAURA」(以下「本プロジェクト」)の外構部分であるGREEN WALKにおいて、株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区/執行役社長兼CEO:小島 啓二、以下「日立」)設計施工の『グリーン水素発電システム:G-HES(Green Hydrogen Energy System)』(以下「本システム」)を構築・導入したことをお知らせします。
なお、本プロジェクトは、野村不動産と東日本旅客鉄道株式会社が共同で推進する国家戦略特別区域計画の特定事業で、浜松町ビルディング(東芝ビルディング:東京都港区芝浦1-1-1)の建替事業です。

1.活動の背景と目指すもの
「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて、CO2の削減が大きく期待できる水素エネルギーの活用は、未来に向けた高いポテンシャルを持っています。国内のCO2総排出量のうち、約50%が都市の社会経済活動に由来して排出されており、都市におけるCO2削減問題の解決策を提示することは、日本全体におけるCO2削減の取り組みの中で重要な課題となっています。また、都市の低炭素化の促進に関する法律(略称:エコまち法)においては、都市での低炭素化・エネルギー利用の合理化の普及に向けた「緑・エネルギーの面的管理・利用」が促進されており、都市部におけるカーボンニュートラルに対する取組と貢献には大きな期待が持たれています。
本プロジェクトでの産学連携活動「カーボンニュートラル技術拠点」では、東大先端研・河野龍興教授及び先進的な技術を有する民間事業者と共に、都市部におけるカーボンニュートラルの実現をめざして、2021年より活動中です。今般、東大先端研・河野研究室で開発中の「再生可能エネルギーを利用した水素エネルギーシステム」の技術を活用し、太陽光発電からの電力を100%利用して製造したグリーン水素により発電を行うエネルギーシステム(G-HES)を構築・導入しました。
東京の都心エリアに、このような完全自立型のグリーンな再エネ水素エネルギーシステムを導入した社会的意義は非常に大きいと認識しており、水素エネルギーを利用することができる新たな都市型モデルとして、今後の普及拡大が期待されます。
2.本システムによって実現される価値
本システムの導入により、再生可能エネルギーを活用した水素EMS(Energy Management system)の構築を通して、都市部における地産地消型の再生可能エネルギーの活用を実現します。また、より多くの方々にグリーン水素の利活用シーンに触れていただく機会を創出し、加えて災害時のレジリエンス強化という都市部の固有課題へ対応します。これらの活動を通して、都市部におけるカーボンニュートラルの社会実装へ取り組みます。
具体的には、本プロジェクトの敷地内において、100%太陽光発電由来の電気により作られたグリーン水素で、外構照明や水景施設用ポンプ、共用コンセントへCO2フリーなグリーン電力を供給します。緑あふれる「BLUE FRONT SHIBAURA」という都心の立地で、来訪者が水素を生活にとって身近なエネルギーであると感じ、環境について考えるきっかけになることを期待しています。さらに、本システムは、系統電力から独立した完全自立型のエネルギーシステムであることから、災害時においても自立運転可能であり、帰宅困難者に対する携帯電話の充電などに活用できます。

3.本システムの概要
本システムは、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を「つくる」「ためる」「つかう」3つの機能で構成されています。最大の特徴は、電気エネルギーを水素エネルギーに変えて高い安全性・長期の持続性を確保して蓄えられること、電力系統に依存しない自立運転可能な電源システムであることです。本システムは水素製造装置(アニオン交換膜(AEM)型※2)9.6kW、水素吸蔵合金タンク100Nm3、燃料電池(プロトン交換膜(PEM)型※3)5kW、蓄電池で構成されています。
また都心の限られたスペースに水素を貯める必要が有るため、小型で液体水素よりも容積が小さく水素を貯めることができる水素吸蔵合金タンクを採用しました。水素吸蔵合金は水素を安全に貯蔵・放出することが可能な合金で、水素を貯蔵した状態でも爆発しない、燃えないという安全な材料(非危険物)です。充電・放電して繰り返し使えるニッケル水素電池(主にハイブリッド自動車に搭載)には、この水素吸蔵合金が使われています。
なお、本システムの導入については、環境省が推進する令和5年度「脱炭素社会構築に向けた再エネ等由来水素活用推進事業」に採択されています。

4.今後の展望
今後も、野村不動産と日立は本プロジェクトでの実証フィールドを通して、都市部におけるカーボンニュートラルに貢献する先端技術の導入及びソリューションの社会実装を推進していきます。
また、野村不動産は、本プロジェクトを通した都市部におけるカーボンニュートラル実現を通して、気候変動の緩和に向けて産学連携での共創活動を進めていきます。
※1「カーボンニュートラル技術拠点に関する連携」について
(報道発表資料:https://www.nomura-re-hd.co.jp/cfiles/news/n2021112601929.pdf)
※2 アニオン交換膜(AEM)型:Anion Exchange Membrane の略で、マイナスイオンを透過させる高分子膜を利用する方式
※3 プロトン交換膜(PEM)型:Proton Exchange Membraneの略で、プロトンを透過させる高分子膜を利用する方式
■「BLUE FRONT SHIBAURA」について(野村不動産)
野村不動産株式会社と、東日本旅客鉄道株式会社が共同で推進する国家戦略特別区域計画の特定事業。浜松町ビルディング(東芝ビルディング:東京都港区芝浦 1-1-1)の建替事業として、ツインタワーの建設を予定(竣工時期:TOWER S:2025年2月、TOWER N:2030年度予定)。区域面積約4.7ha、高さ約230m、延床面積約55万㎡の、オフィス・ホテル・商業店舗・住宅を含む、約10年間に及ぶ大規模複合開発です。本プロジェクトでは、気候変動に対する緩和策として最新の省エネ・省CO₂技術と、「自社施設等での創電」による再生可能エネルギーと、「カーボンニュートラル都市ガス」の導入等により、大規模複合開発における街区全体でのCO₂排出量実質ゼロを実現予定です。加えて、気候変動への適応策として、これからの街づくりに欠かせない、水害等の災害にも耐えられる性能を備え、都市機能の維持に取り組んでいきます。
※2025/3/5 報道発表資料:「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S竣工
https://www.nomura-re.co.jp/creleases/n2025030401582.pdf

■野村不動産グループについて
野村不動産グループは、国内および海外において、住宅事業、都市開発事業、資産運用事業、仲介・CRE 事業、運営管理事業などを展開する不動産デベロッパーです。持ち株会社である野村不動産ホールディングス傘下の20社を超えるグループ会社が、不動産のデベロップメント分野 からサービス・マネジメント分野まで幅広い事業を通じて、住まい、働き、集い、憩う人々それぞれの暮らしに対する「個 に寄り添う姿勢」を大切にしながら、持続的な価値創造を行っています。
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」という3セクターの事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。3セクターの2023年度(2024年3月期)売上収益は8兆5,643億円、2024年3月末時点で連結子会社は573社、全世界で約27万人の従業員を擁しています。
詳しくは、株式会社日立製作所のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。
■お問い合わせ先
株式会社日立製作所 水・環境ビジネスユニット お問い合わせフォーム
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/water/jp/water_environment/form.jsp
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