始まりから11年。独自の取り組みが各地へ。子どもが介護・福祉の仕事を体験する「キッザケア」。9月27日に尼崎で開催

介護士・看護師・管理栄養士・リハビリ士(リハビリ職)の仕事を体験。働いた分だけ受け取るイベント内の通貨で、お菓子や自家農園の野菜を買って帰ります。参加費無料の地域貢献活動です。

社会福祉法人あかね

介助する側になる前に、まず自分が乗ってみます

介護人材の不足に、子どもへの福祉職業体験という入口から取り組む社会福祉法人あかね(兵庫県尼崎市/理事長 松本 真希子)は、小学1〜4年生が介護施設で実際に働く職業体験「キッザケア」を、2026年9月27日(日)に介護医療サービスリゾート アマルネス・ガーデン(兵庫県尼崎市西長洲町2-35-1)で開催します。2015年に始めて今年で11年目、後援は尼崎市です。

なぜ、子どもに働いてもらうのか

介護の現場では、働く人が足りていません。厚生労働省の推計では、2026年度に必要な介護職員は約240万人。2022年度の約215万人から、約25万人を増やさなければならない計算です。2040年度には約272万人が必要とされています(厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」2024年7月12日公表)。

その一方で、子どもたちが福祉の仕事を知る機会は、ほとんどありません。学研教育総合研究所「小学生白書Web版 2025年11月調査『小学生の日常生活・学習に関する調査』によると、小学生が将来つきたい職業は1位がネット配信者、2位がパティシエ、3位が警察官。上位3位までに介護や福祉の仕事は入っていません。核家族化が進み、高齢の方と日常的に接する機会そのものが少なくなりました。介護施設がどんな場所で、そこで働く人が何をしているのかに触れないまま、大人になっていきます。なりたいかどうかを考える以前の段階にある、というのが私たちの実感です。

だから私たちは、話して聞かせるのではなく、実際に働いてもらうことにしました。

白衣を着た子どもが、ご利用者様の血圧を測ります。道具も、相手も本物です

始まりから11年。各地へ

2015年に尼崎で始まったこの取り組みは、これまでに長崎県、石川県、三重県、佐賀県で行われてきました。いずれも県が主催する事業です。対象も、小学生だけのところ、中学生まで含むところ、高校生が教える側にまわるところと、地域によって形が違います。愛知県でも、実施に向けた動きが始まっています。

どの地域でも、子どもたちは無料で参加しています。石川県の実行委員会の案内では、キッザケアを「社会福祉法人あかねが2015年にスタートした社会貢献イベント」と紹介いただいています。ありがたく受け止めています。

働いて受け取った専用通貨「キュア」で、お菓子や自家農園の野菜を買って帰ります。売店に立つのも学生ボランティアです

教えるのは、専門職と、年齢の近い学生たちです

当日の運営には、学生ボランティアが加わります。15歳から19歳。高校生、大学生、専門学校生、短期大学生で、専攻は社会福祉、看護、調理、保育と、いずれもこれから福祉や医療の現場に進む可能性のある人たちです。

役割は分かれています。仕事の中身を説明するのは、普段その職種で働いている職員。子どもたちを体験ブースへ案内し、そばで見守るのは学生です。年齢の近い人から声をかけられるほうが、子どもは構えずに聞ける。この役割分担は、11年のあいだに固まってきました。

学生は売店の販売スタッフも務めます。小学生にとっては福祉の仕事を知る入口ですが、学生にとっては現場に触れる機会でもあります。

開催前の打ち合わせ。当日は職員とボランティアで一日をつくります

はじまりの場所の、11年目

会場のアマルネス・ガーデンは特別養護老人ホーム、デイケア、デイサービス、クリニックを備えた複合施設です。イベントのあいだもご利用者様の暮らしは普段どおり続いています。子どもたちはスタッフと同じ制服に着替え、専門職から直接レクチャーを受けながら、本物の設備と道具を使って働きます。

ひとつの仕事を終えるごとに、イベント内の通貨「キュア」を受け取ります。働いた分だけ増えていくので、子どもたちは次の仕事に向かいます。すべての体験を終えたあとは、そのキュアでお菓子・パン・自家農園の野菜を買って帰ります。働いて、対価を得て、それを使う。社会の仕組みをひととおり経験してもらうための設計です。第1回の2015年から変えていません。

介護士 ― からだの不自由な高齢の方の生活全般をサポートする仕事です。食事の配膳、コミュニケーション、車いすの介助、手浴(手を洗う介助)を体験します。

押す人の手が止まると、乗っている人は不安になります

看護師 ― 高齢の方の体調管理をする仕事です。血圧や体温の測定、シリンジ(注射器)の使い方などを体験します。

看護師の仕事を教えるのは、普段この施設で働いている職員です

管理栄養士 ― 高齢の方の食事の栄養バランスを考え、食事をつくる仕事です。献立づくりの講義のあと、食べやすい固さを考えながらバナナパンケーキを実際に調理します。

焼き上がったパンケーキは、そのままご利用者様に召し上がっていただきます

リハビリ士(リハビリ職) ― 筋力が衰えてきた高齢の方の身体を整え、サポートする仕事です。

体を動かす前と後で、前屈の柔らかさがどれだけ変わるかを測ります

なお、子どもたちが体験するのは、この4職種のうち3職種です。

プログラムは毎年、一から設計し直しています

4職種のチームが7月にそれぞれ立ち上がり、通常勤務のあいまに会議を重ねてきました。何が決まって、何がまだ決まっていないのかを、開催前にご紹介します。

管理栄養士チーム ― バナナは、手で潰します

子どもたちがつくるおやつは、バナナパンケーキです。悩んだのはバナナの固さでした。熟したバナナのほうが潰しやすいけれど、傷むのも早い。暑い時期に前日か前々日に買うことを前提に検討を重ね、普通のバナナを子どもたちが手で潰す形に決まりました。すり棒やマッシャーを使うと生地が厚くなり、焼くのに時間がかかることも分かったためです。生地を混ぜるのは泡立て器ではなくゴムベラで、さっくりと。

クッキングの前には、献立づくりの講義があります。メニューカードをお盆に並べて自分の献立をつくり、赤・黄・緑の食品群で色分けしながら、気をつけたい食べ物にチェックを入れる。カードを大きくして見やすくするか、一回り小さくして書き込めるようにするか。チーム内で意見を募り、書き込めるほうに決めました。8月にはご利用者様のおやつレクリエーションの場でも焼いてみました。当日つくったものは、そのままご利用者様に召し上がっていただきます。

介護士チーム ― 手の汚れの再現方法を、3通り試しました

手浴(手を洗う介助)の体験では、手の汚れをどう再現するかで3案を試しました。のりを塗った手に食紅と小麦粉を混ぜる方法は、発色はいいものの汚れが落ちにくく不採用。抹茶パウダーはしわに汚れが残ってよく分かる代わりに、色を変えられません。選んだのは、水性絵の具に小麦粉と水を混ぜる方法です。子どもが好きな色を選べて、汚れも見えやすいから。手のしわの奥まで洗わないと汚れが残ることが、目に見える形で伝わるようにしました。車いすで段差を昇降する体験では、跳び箱の踏み台を使う案が出ましたが、施設にあったものは横幅45cmで、車いすの幅に合いませんでした。昨年と同じくマットレスを使うかどうかを検討しています。

看護師チーム ― 注射液の「出し先」を、試作し続けています

シリンジ(注射器)を使った注射の体験を考えています。針はつけず、目盛りを見て正確な量を吸い、それを出す動作です。難しいのは、その出し先でした。スポンジに切り込みを入れて染み込ませる案は、試作したところ水を吸わず下ににじみ出てしまいました。いま試しているのは、チューブを血管に見立てて、点滴を受けている患者役に付ける形です。見た目をどう整えるか、開催直前まで試作が続きます。

リハビリ士チーム ― 体の変化を、数字で見せます

体験の前後で前屈の柔らかさを測り、その変化を体感してもらいます。数字が変わることで、リハビリという仕事が何をしているのかが分かります。

いま詰めているのは測り方です。20名を2〜3分で測るため、床にメジャーを貼って長座で測るのではなく、目盛りを書いた厚紙を貼った台に立って測る方向で検討しています。ストレッチは2人1組で先生役と生徒役に分かれ、生徒役が伸ばす方向と逆に力を入れ、先生役が支えます。そのあとは、お尻歩きとかかと歩きのチーム対抗リレーです。

この一日は、子どもたちのためだけのものではありません

体験の相手をしてくださるのは、普段この施設で暮らしておられる方々です。子どもにとっては仕事の相手であり、ご利用者様にとっては年に一度の来客です。今年は定員100名のところ、それを超えるお申し込みをいただき、受付を終了しました。普段は静かな施設が、その日一日お祭りのように賑わいます。地域と福祉施設をつなぐ機会にもなっています。

すべての体験を終えた子どもたちと、一日を支えた職員たち

開催概要

名称

キッザケア2026

日時

2026年9月27日(日)第1部 9:30〜13:00/第2部 13:30〜17:00

会場

介護医療サービスリゾート アマルネス・ガーデン

(兵庫県尼崎市西長洲町2-35-1/阪神尼崎駅より徒歩約7分)

対象

小学1〜4年生(保護者同伴)

定員

100名(第1部・第2部 各50名)
※定員を超えるお申し込みをいただき、受付を終了しました

体験職種

介護士/看護師/管理栄養士/リハビリ士のうち3職種

当日の流れ

オリエンテーション・グループ分け → 職業体験(3職種)→ お菓子・パン・野菜の購入(所要時間 約3時間30分)

参加費

無料

主催・運営

社会福祉法人あかね

後援

尼崎市

詳細

キッザケア公式サイト https://e-akane.com/kidzacare

社会福祉法人あかねについて

1995年設立。兵庫県の尼崎・猪名川・姫路の3エリアで、介護福祉施設、サービス付き高齢者向け住宅、幼保連携型認定こども園などを運営しています。職業体験「キッザケア」やこども食堂「キッザカフェ」、駅前の清掃活動など、地域とつながる取り組みを続けています。

法人名

社会福祉法人あかね

本部所在地

〒660-0883 兵庫県尼崎市神田北通1丁目2番地

(阪神本線 尼崎駅 徒歩1分)

代表者

理事長 松本 真希子

設立

1995年

職員数

1,039名(2026年4月1日時点)

公式サイト

https://e-akane.com

TEL

06-7670-2288

※「キッザケア(Kidzacare)」は社会福祉法人あかねの登録商標です(登録第6178643号)

キッザケアの会場、介護医療サービスリゾート アマルネス・ガーデン

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会社概要

社会福祉法人あかね

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URL
https://e-akane.com/
業種
医療・福祉
本社所在地
兵庫県尼崎市神田北通1-2
電話番号
06-7670-2288
代表者名
松本真希子
上場
未上場
資本金
5億1900万円
設立
1995年10月