これ以上はありえない豪華キャストに絶賛の声!!ロンドンで熱狂を巻き起こしたネトレプコとカウフマンのオペラ《運命の力》公開!
オペラ『運命の力』を初心者でもわかりやすく解説します
3月21日の初日、英国ロイヤル・オペラのロビーは異様な熱気に包まれていた。今やキャリアの頂点にあるオペラ界の2大スター、ソプラノのアンナ・ネトレプコとテノールのヨナス・カウフマンがヴェルディの《運命の力》で共演するのだ。ロンドンで二人が一緒に歌うのは11年前の《椿姫》以来。一人でもソールド・アウト必至のスターが、最高の演目で共演とあって、チケットの争奪戦は熾烈を極めた。
日本でも5月24日より公開となったこのオペラ。4時間を超える大作だが、公演のキャンセルが多くていつもファンをやきもきさせているヨナス・カウフマンが、映画館では〝必ず見られる”機会とあって映画館に足を運んだ観客たちからは「大スターの歌声と演技を堪能」「この美しい音に4時間も包まれていられるなんて」と絶賛の声がネット上でも相次いだ。
そんなベルディのオペラ『運命の力』を初心者でもわかりやすく、クラシック音楽専門TVチャンネル「クラシカ・ジャパン」編成の石川了氏が解説する。
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石川了(クラシック音楽専門TVチャンネル「クラシカ・ジャパン」編成)
<歌唱・容姿・演技の三拍子揃ったスーパースターが奇跡の競演!
現代最高のソプラノ、アンナ・ネトレプコ&“キング・オブ・テノール”ヨナス・カウフマンが贈る2019年オペラ界最大の話題作『運命の力』>
【誰もが耳にしたことがある旋律】
ヴェルディの歌劇「運命の力」といえば、とにかく序曲が有名だ。オーケストラのコンサートでは単独で取り上げられることも多く、吹奏楽にも編曲されている。テレビ番組のBGMで使われることも。あの冒頭の“タラララ、タラララ、タラララ~ラララ”という旋律は、誰もが耳にしたことがあるに違いない。
ただ、オペラ全幕にお目にかかることは滅多にない。ヴェルディ中期から後期に至る過渡期の作品のせいか、「リゴレット」「椿姫」「イル・トロヴァトーレ」といった中期の傑作や「アイーダ」以降の後期作品に比べると、確かに存在感が薄い。尺も長く、話の展開も冗長な部分もある。主役級には力強いドラマティックな声が求められるため、歌える歌手が少ないことも理由だろう。
しかし、そんなデメリットを全く感じさせない、むしろもっと歌手たちを観て聴いていたい!と思わせるのが、この英国ロイヤル・オペラ公演。人気実力ともに現代最高のソプラノ、アンナ・ネトレプコと、甘いマスクの“キング・オブ・テノール”ヨナス・カウフマンが、主役のレオノーラとドン・アルヴァーロを歌っているのだ。
この美男美女の二人は、意外にオペラでの共演が少ない。クラシカ・ジャパンでは彼らが出演した2011年ベルリンでの野外ガラを放送しているが、あくまでこれはコンサート。2014年バイエルン州立歌劇場『マノン・レスコー』では本番直前にネトレプコが降板。筆者は、2008年1月の英国ロイヤル・オペラ『椿姫』で、ネトレプコとカウフマンの共演を観ており、今回はおそらくロンドンではそれ以来の快挙だろう。よくぞ二人ともキャンセルせずに共演が実現しました!
【カウフマンの独壇場&魅了するネトレプコ!】
物語の舞台は、18世紀半ばのセビリアとオーストリア継承戦争の戦場となっているイタリア。レオノーラの父カラトラーヴァ侯爵は、彼女の恋人ドン・アルヴァーロにインカの血が入っていることを理由に二人の結婚を認めない。レオノーラとドン・アルヴァーロが駆け落ちしようとしているところに、銃が暴発して侯爵が死に、彼女の兄ドン・カルロは家族の不名誉を晴らすべく復讐の旅に出るが、決闘でドン・アルヴァーロに殺され、隠遁していたレオノーラは瀕死の兄に殺され、ドン・アルヴァーロは自らの不幸な運命を呪う。
この映像では、何といってもカウフマンのドン・アルヴァーロが必見だ。テノールなのにちょっと暗めの声色がドン・アルヴァーロの悲しい運命を象徴しているかのよう。そこに、情熱的な歌唱と輝かしい高音、そして苦悩に満ちた表情が加わり、まさにカウフマンの独壇場だ。やはり彼は苦悩する男がよく似合う。
ネトレプコも“歌う女優”の本領発揮。彼女が凄いのは、本番までに体型や外見をきっちり調整してくるところ。もちろん表情や立ち振る舞いも美しく、声も力強く、歌の安定感も抜群だ。筆者が個人的に好きなのは、彼女の死に際の演技とカーテンコール。今回のレオノーラもさりげなくリアルに軽いショックを観客に与える死に方をしながら、その数十秒後のカーテンコールで満面の笑みで歓声に応える無邪気なネトレプコに、多くの観客は魅了されてしまうのではないだろうか。
ドン・カルロにルドヴィク・テジエ、グァルディアーノ神父はフェルッチョ・フルラネット、狂言廻し的なメリトーネ修道士にはアレッサンドロ・コルベッリなど、脇役に至るまで万全の配役。考えてみると、このオペラは全体的に男性的な色合いが強く、その中でレオノーラが紅一点という構成なので、合唱含め、男声が充実しているとオペラ全体が締まる。特に、ドン・アルヴァーロとドン・カルロは、二人の出会いから2度の決闘まで絡むシーンが多く、カウフマンとテジエの迫真の演技と歌唱が見どころだ。
【マエストロのパワー炸裂!ヴェルディへの熱い想い 】
この公演のもう一人の主役が、オーケストラを指揮するアントニオ・パッパーノ。彼の血がたぎるような音楽作りがダイナミックで、愛と友情、名誉、復讐、戦争、宗教を描いたヴェルディの音楽に計り知れないエネルギーを与えている。パッパーノのピアノを弾きながらの音楽解説も、今回はいつも以上にパワーが炸裂しているので、マエストロの熱きヴェルディへの想いをガッチリと受け止めてみよう。
オペラを大河ドラマと考えると、歌唱・容姿・演技の三拍子揃ったスーパースターは、オペラを圧倒的に面白くしていると思う。やはり見た目は重要だ。今回はネトレプコとカウフマンが、この全く救いのない悲劇を映画的な興奮に誘ってくれたと言えよう。
因みに、ネトレプコとカウフマンの次の共演予定は、2021年ザルツブルク・イースター音楽祭「トゥーランドット」だとか。指揮はクリスティアン・ティ-レマン。これも実現したら凄いことになりそうだ。
【作曲】ジュゼッペ・ヴェルディ
【演出】クリストフ・ロイ
【指揮】アントニオ・パッパーノ
【出演】アンナ・ネトレプコ(レオノーラ)
ヨナス・カウフマン(ドン・アルヴァーロ)
ルドヴィク・テジエ(ドン・カルロ)
〈あらすじ〉
18世紀中葉のスペインとイタリア。貴族の名家に生まれたレオノーラはインカ帝国の血を引くドン・アルヴァーロと恋仲だが、二人が駆け落ちしようとした夜にレオノーラの父侯爵に計画が発覚し、ドン・アルヴァーロが攻撃する意図がないことを示すために床に投げた銃が暴発して侯爵の命を奪ってしまう。恋人達は離れ離れに。親の仇であるドン・アルヴァーロを執念深く追うレオノーラの兄ドン・カルロ。レオノーラは修道院の扉を叩き、山中の庵に身を隠して一人で神に祈る生活を選ぶ。運命は最後に愛し合う二人をもう一度めぐり合わせてくれるのだが…
5月24日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか、全国公開
配給:東宝東和
公式HP:http://tohotowa.co.jp/roh/movie/?n=la-forza-del-destino
日本でも5月24日より公開となったこのオペラ。4時間を超える大作だが、公演のキャンセルが多くていつもファンをやきもきさせているヨナス・カウフマンが、映画館では〝必ず見られる”機会とあって映画館に足を運んだ観客たちからは「大スターの歌声と演技を堪能」「この美しい音に4時間も包まれていられるなんて」と絶賛の声がネット上でも相次いだ。
そんなベルディのオペラ『運命の力』を初心者でもわかりやすく、クラシック音楽専門TVチャンネル「クラシカ・ジャパン」編成の石川了氏が解説する。
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石川了(クラシック音楽専門TVチャンネル「クラシカ・ジャパン」編成)
<歌唱・容姿・演技の三拍子揃ったスーパースターが奇跡の競演!
現代最高のソプラノ、アンナ・ネトレプコ&“キング・オブ・テノール”ヨナス・カウフマンが贈る2019年オペラ界最大の話題作『運命の力』>
【誰もが耳にしたことがある旋律】
ヴェルディの歌劇「運命の力」といえば、とにかく序曲が有名だ。オーケストラのコンサートでは単独で取り上げられることも多く、吹奏楽にも編曲されている。テレビ番組のBGMで使われることも。あの冒頭の“タラララ、タラララ、タラララ~ラララ”という旋律は、誰もが耳にしたことがあるに違いない。
ただ、オペラ全幕にお目にかかることは滅多にない。ヴェルディ中期から後期に至る過渡期の作品のせいか、「リゴレット」「椿姫」「イル・トロヴァトーレ」といった中期の傑作や「アイーダ」以降の後期作品に比べると、確かに存在感が薄い。尺も長く、話の展開も冗長な部分もある。主役級には力強いドラマティックな声が求められるため、歌える歌手が少ないことも理由だろう。
しかし、そんなデメリットを全く感じさせない、むしろもっと歌手たちを観て聴いていたい!と思わせるのが、この英国ロイヤル・オペラ公演。人気実力ともに現代最高のソプラノ、アンナ・ネトレプコと、甘いマスクの“キング・オブ・テノール”ヨナス・カウフマンが、主役のレオノーラとドン・アルヴァーロを歌っているのだ。
この美男美女の二人は、意外にオペラでの共演が少ない。クラシカ・ジャパンでは彼らが出演した2011年ベルリンでの野外ガラを放送しているが、あくまでこれはコンサート。2014年バイエルン州立歌劇場『マノン・レスコー』では本番直前にネトレプコが降板。筆者は、2008年1月の英国ロイヤル・オペラ『椿姫』で、ネトレプコとカウフマンの共演を観ており、今回はおそらくロンドンではそれ以来の快挙だろう。よくぞ二人ともキャンセルせずに共演が実現しました!
【カウフマンの独壇場&魅了するネトレプコ!】
物語の舞台は、18世紀半ばのセビリアとオーストリア継承戦争の戦場となっているイタリア。レオノーラの父カラトラーヴァ侯爵は、彼女の恋人ドン・アルヴァーロにインカの血が入っていることを理由に二人の結婚を認めない。レオノーラとドン・アルヴァーロが駆け落ちしようとしているところに、銃が暴発して侯爵が死に、彼女の兄ドン・カルロは家族の不名誉を晴らすべく復讐の旅に出るが、決闘でドン・アルヴァーロに殺され、隠遁していたレオノーラは瀕死の兄に殺され、ドン・アルヴァーロは自らの不幸な運命を呪う。
この映像では、何といってもカウフマンのドン・アルヴァーロが必見だ。テノールなのにちょっと暗めの声色がドン・アルヴァーロの悲しい運命を象徴しているかのよう。そこに、情熱的な歌唱と輝かしい高音、そして苦悩に満ちた表情が加わり、まさにカウフマンの独壇場だ。やはり彼は苦悩する男がよく似合う。
ネトレプコも“歌う女優”の本領発揮。彼女が凄いのは、本番までに体型や外見をきっちり調整してくるところ。もちろん表情や立ち振る舞いも美しく、声も力強く、歌の安定感も抜群だ。筆者が個人的に好きなのは、彼女の死に際の演技とカーテンコール。今回のレオノーラもさりげなくリアルに軽いショックを観客に与える死に方をしながら、その数十秒後のカーテンコールで満面の笑みで歓声に応える無邪気なネトレプコに、多くの観客は魅了されてしまうのではないだろうか。
ドン・カルロにルドヴィク・テジエ、グァルディアーノ神父はフェルッチョ・フルラネット、狂言廻し的なメリトーネ修道士にはアレッサンドロ・コルベッリなど、脇役に至るまで万全の配役。考えてみると、このオペラは全体的に男性的な色合いが強く、その中でレオノーラが紅一点という構成なので、合唱含め、男声が充実しているとオペラ全体が締まる。特に、ドン・アルヴァーロとドン・カルロは、二人の出会いから2度の決闘まで絡むシーンが多く、カウフマンとテジエの迫真の演技と歌唱が見どころだ。
【マエストロのパワー炸裂!ヴェルディへの熱い想い 】
この公演のもう一人の主役が、オーケストラを指揮するアントニオ・パッパーノ。彼の血がたぎるような音楽作りがダイナミックで、愛と友情、名誉、復讐、戦争、宗教を描いたヴェルディの音楽に計り知れないエネルギーを与えている。パッパーノのピアノを弾きながらの音楽解説も、今回はいつも以上にパワーが炸裂しているので、マエストロの熱きヴェルディへの想いをガッチリと受け止めてみよう。
オペラを大河ドラマと考えると、歌唱・容姿・演技の三拍子揃ったスーパースターは、オペラを圧倒的に面白くしていると思う。やはり見た目は重要だ。今回はネトレプコとカウフマンが、この全く救いのない悲劇を映画的な興奮に誘ってくれたと言えよう。
因みに、ネトレプコとカウフマンの次の共演予定は、2021年ザルツブルク・イースター音楽祭「トゥーランドット」だとか。指揮はクリスティアン・ティ-レマン。これも実現したら凄いことになりそうだ。
【作曲】ジュゼッペ・ヴェルディ
【演出】クリストフ・ロイ
【指揮】アントニオ・パッパーノ
【出演】アンナ・ネトレプコ(レオノーラ)
ヨナス・カウフマン(ドン・アルヴァーロ)
ルドヴィク・テジエ(ドン・カルロ)
〈あらすじ〉
18世紀中葉のスペインとイタリア。貴族の名家に生まれたレオノーラはインカ帝国の血を引くドン・アルヴァーロと恋仲だが、二人が駆け落ちしようとした夜にレオノーラの父侯爵に計画が発覚し、ドン・アルヴァーロが攻撃する意図がないことを示すために床に投げた銃が暴発して侯爵の命を奪ってしまう。恋人達は離れ離れに。親の仇であるドン・アルヴァーロを執念深く追うレオノーラの兄ドン・カルロ。レオノーラは修道院の扉を叩き、山中の庵に身を隠して一人で神に祈る生活を選ぶ。運命は最後に愛し合う二人をもう一度めぐり合わせてくれるのだが…
5月24日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか、全国公開
配給:東宝東和
公式HP:http://tohotowa.co.jp/roh/movie/?n=la-forza-del-destino
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