水害等の防災・減災での実証も進む地球観測データの取得頻度と速度の向上へ
日本宇宙ベンチャーが宇宙で繋がるネットワークの強化に向け、技術を検証へ
宇宙における高速光通信ネットワークを構築中のワープスペース(代表取締役CEO:常間地悟)と、衛星データ解析によるソリューション提供および小型SAR衛星の開発・運用、そしてSARデータ提供を行うSynspective(シンスペクティブ、代表取締役CEO:新井元行)は、光通信網を利用した際のデータ取得頻度や速度をソフトウェア上で解析を行う技術検証を進めることに合意したことをご案内いたします。
■本連携の背景
ロケット開発、惑星探査、宇宙旅行、宇宙インターネット、そして宇宙ビックデータ。これまで夢とされていた”宇宙産業”は、現在約40兆円の市場規模と言われ、将来2040年には約120兆円*を突破すると言われている急成長分野です。そんな宇宙産業の市場が拡大してきた大きな理由は技術躍進にあります。
私たちは日々インターネットを介して様々な情報に触れることができます。これは通信網が強固なものとなり、日々膨大かつ新鮮な情報が収集可能となり、多くの人がその情報をもとに意思決定ができるようになりました。宇宙でもこの通信網の強化が情報取得において重要な役割を担うことは間違いありません。
衛星間での通信速度を早め、また頻度を高めることで、衛星が取得したデータを地上へと送るサイクルを通じ
より鮮度の高い多量のデータを地上に提供することが可能となります。これら多様で大量のデータは、日々のモニタリングによる観察情報だけでなく、世界中で激甚化・頻発化する水害や森林火災などの自然災害などにおいて、災害発生からの救済活動や、災害によって被る被害を最小限におさえる減災のためのデータとしても有効になると考えられ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などでも実証が進められています。 *出典:Haver Analytics Morgan Stanley Research
■各社の概要と方針
ワープスペースは2024年から2025年にかけ、ユーザーが30分以内に衛星データを取得することができる高速光通信網を構築する予定です。
Synspectiveは、2026年前後には30機の小型SAR衛星コンステレーションの構築を目指しており、すでに2機の運用から地球の地形・構造物などが得られるSAR衛星による衛星データの提供と、その他外部の多様なデータを機械学習を用いて必要な情報を抽出、目的に合わせて整理し、顧客の課題に対するソリューションを提供しています。
両社では、高速光通信網を活用した際のデータ取得量や頻度を検証し、有用な検証結果が得られれば、観測衛星に光通信用の端末を載せるための技術検証を進めていく方針です。
■Synspective 取締役 / 衛星システム開発部 ゼネラルマネージャー 小畑俊裕氏
「パソコンがインターネットに接続されない時のストレスは皆様も感じると思います。インターネットが整備されたことで、飛躍的に大量・新鮮な情報が収集可能となり、人々がより正確に判断できるようになりました。弊社はこれと同じことを、宇宙の分野で起こそうとしています。Synspectiveは、データ提供とソリューション提供の2つのサービスを展開するため、天候・日夜問わず全地球の変化が観測可能な衛星を多数宇宙に配備する企業です。遠く宇宙で得られた情報を顧客へと繋ぐネットワークを整備することで、社会を「学習する世界」へと進化させる弊社の取組みに貢献いただける、ワープスペース様のサービスに期待します。」
■WARPSPACE 最高執行責任者 兼 ゼネラルマネージャー 東宏光
「私たちは光通信の技術を使い、宇宙で観測できる様々なデータをこれまでにない速度で、大量に地上へと伝送するネットワークを開発し、社会をよりよくするための様々な解決手段を形作るための土台を構築しています。Synspecitve様は、同じ日本の企業であり、同じ世界観を共有している会社です。そんな同社と連携できることは大変光栄なことです。Synspecitve様がより多くの衛星データを活用できるようにし、より住みやすい社会を共に実現していけるよう、私たちも最大限尽力してまいります。」
すべての画像