場をデザインすると、関係が動き出す。「LOUNGE WiTH 372」がコミュニティハブとして示した地域課題解決の新手法。
「相談する場所」から「関わりが生まれる場所」へ。元銀行有人スペースを活用した東京都稲城市「LOUNGE WiTH 372」の300日の実践。

一般社団法人KAiGO PRiDE(東京都渋谷区、代表:マンジョット・ベディ)は、東京都稲城市における地域包括支援センターの取り組みにおいて、同法人が空間およびコミュニケーションのデザインに参画することで実現したコミュニティハブ拠点「LOUNGE WiTH 372」(以下、WiTH)が、2026年5月19日に稼働開始から300日を迎えることをお知らせします。
300日間の運営を通じて、本拠点は単なる施設ではなく、「地域で支え合うしくみのハブ」として機能し始めており、利用者の声や具体的な行動変容が生まれています。地域包括支援における課題は全国にある中で、その解決の糸口となる新しい手法として注目されています。
■ 背景|構造的課題に対する新しいアプローチ
全国に中学校と同じほどの数があるといわれる地域包括支援センターは、高齢社会において重要な役割を担う一方で構造的課題を抱えていると言われています。稲城市においても「専門性が必要ない一般的な相談が約4割を占める」「専門職が本来業務に集中できない」「相談行動自体に利用者側の心理的ハードルがある」といった課題がありました。
この課題に対し、本プロジェクトでは「相談を受ける場所」から「関係性が生まれる場所」へという発想転換からコンセプト設計をスタートし、実際の運営開始から300日を迎えようとしています。
■ KAiGO PRiDEの役割|地域課題を“関係性のデザイン”で解決する
KAiGO PRiDEは本プロジェクトにおいて、
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全体プロデュース
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地域コミュニケーションデザイン
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クリエイティブ全般の監修と制作
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空間デザイン
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地域連携イベントのプロデュース
を通じて、「人が自発的に関わりたくなる構造」を設計しました。
重要なのは、施設をつくることではなく、関係性が生まれ続ける仕組みをつくることです。
日本全国には、活用されていない空きスペースや、孤立が課題となっている地域、支援が届きにくい構造が数多く存在しています。本取り組みは、そうした課題に対し、
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大規模投資に依存しない
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既存資源を活用する
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関係性を再編集する
というアプローチで実現されており、他地域においても展開可能なモデルとなっています。
単なる空間づくりではなく、地域の関係性そのものを再設計することで、持続的に機能するコミュニティのあり方を示しています。
■ 7つの観点から見た300日のアウトカム
本施設では、「場の価値」を可視化するために、7つの観点で変化を捉えています。
A. 日々の小さなストーリー(早期相談・予防の実現)
日常の中で、小さな出来事をきっかけに相談や関係が生まれています。
例:小学生が「道でお金を拾った」と相談に来て、スタッフと一緒に交番へ届けるなど、雑談の延長から相談につながる動きが自然に発生。
これにより、相談のハードルが下がり、早期対応・予防につながる導線が機能しています。
B. 人が見える関係性(住民主体・関係の可視化)
「誰がいる場所か」が見えることで、安心して関われる環境が生まれています。
例:「顔を見に来た」と立ち寄る利用者や、参加者が講座の主催者へと変化するなど、住民が“支えられる側”から“関わる側”へ転換。
結果として、地域内での役割分担が自然に進んでいます。
C. 多世代・多属性の交差(孤立対策・関係人口の創出)
異なる世代や背景を持つ人々が、同じ空間で日常的に交わっています。
例:小学生・高齢者・高校生・外国籍の方が同時に滞在する風景が常態化。
特定のイベントに依存しない“日常的なつながり”が生まれ、孤立の予防に寄与しています。
D. 学び・体験による変化(社会的処方・行動変容)
体験を通じて、個人の行動や意識に変化が生まれています。
例:利用者が講座を開催したり、イベントを企画するなど、「参加」から「主体的活動」へ移行。
制度支援に加え、役割・つながり・生きがいが生まれる“社会的処方”が機能しています。
E. 空間そのものの価値(相談の分散・負担軽減)
目的がなくても滞在できる空間として、日常利用が定着しています。
例:「散歩のついでに立ち寄る」「誰かに会える」といった利用が増加。
一般的な相談や不安がこの場で受け止められることで、地域包括支援センターへの相談集中が緩和され、専門職の負担軽減につながっています。
F. 地域との接続(既存資源活用・協働モデル)
地域の活動や関係性が、この場所を起点に広がっています。
例:地域主体の食堂やイベント、団体活動が継続的に実施されるなど、行政・地域・民間の協働が進展。
銀行跡地など既存資源を活用しながら、再現可能なモデルとして機能しています。
G. 利用実績と構造的成果(再現性・政策実装)
稼働から300日で、月700人以上の来場が継続的に見られています。
単なる来場者数にとどまらず、
・相談の早期化
・役割の再分担
・住民参加の増加
といった構造的な変化が確認されています。
■ 300日間の成果|“場”が“関係性”を生み始めている
WiTHは、稼働から300日の間に
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月間700人以上の来場
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多世代・多属性の自然な混在
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日常の中での相談・助け合いの発生
といった変化を生み出しています。また、SNSを含むオンライン上でのつながりや現場観察を通じて、この場所が「安心して交差できる場」として機能していることが確認されています。
以下は小学生から90代までの来場者172名によるアンケート結果です。
LOUNGE WiTH 372 来場者満足度調査
①満足度「WiTHでの時間は満足しましたか」ポジティブ回答比率 90%
(とても満足 / 満足 / 普通 / 不満 /かなり不満)
②再来意向「WiTHにまた来たいですか」ポジティブ回答比率 94%
(とてもそう思う / そう思う / どちらでもない / そう思わない / まったくそう思わない)
③推薦意向「WiTHをほかの人におすすめしたいですか」ポジティブ回答比率 93%
(とてもそう思う / そう思う / どちらでもない / そう思わない / まったくそう思わない)
【来場者 172名への直接アンケートより 集計期間:2026/4/14-4/22】

■ 稲城市職員コメント|本取り組みの意義と今後の展望
長年稲城市の地域福祉に向き合い続け、WiTHの誕生に尽力された行政側担当者として、稲城市役所担当者からの思いをご紹介します。

髙波 仁子 氏
稲城市役所高齢福祉課地域支援係長
保健師
地域住民の力は、私たちの想像をはるかに超えています。人はこんなにも可能性を持っているのかと驚かされます。さらに心を打たれるのは、関わる人たちが誇りを持ち、輝く表情を見せていることです。その笑顔のまま多世代が自然につながり、温かな交流が日常になり始めています。単身世帯や核家族の多いニュータウンで、地域全体が拡大ファミリーのようにつながっていく、知り合い+αの関係性の未来が見えてきました。居場所と役割のあるこの場から地縁をこえた新しいきずなが広がっています。地域の未来は、成長中。可能性は無限大です。
■KAiGO PRiDE代表コメント|関係性をデザインするというアプローチ

マンジョット・ベディ
一般社団法人KAiGO PRiDE 代表理事
クリエイティブ・ディレクター
KAiGO PRiDEではこれまで、介護や福祉の現場を通じて、「人はどう生きるのか」「どう関わり合うのか」という問いに向き合ってきました。今回のプロジェクトも、施設をつくることが目的ではありません。人と人の関係が、自然に生まれ続ける環境をどう設計するか。その一点からスタートしています。
これまで約30年、さまざまなブランドや価値を社会に届けてきましたが、今回デザインしたのは“形”ではなく“構造”です。完成された答えを提示するのではなく、人が関わる余白をつくり、小さなきっかけから関係が育っていくプロセスそのものを設計しました。そのために、「一つの顔を持たない場」をつくっています。介護や福祉のためだけの場所ではなく、学びたい人、話したい人、ただ過ごしたい人、それぞれが自分の目的でいられる場所です。使い方を規定するのではなく、複数の過ごし方が共存する構造をつくることが重要でした。ただし、自由にすれば関係が生まれるわけではありません。どんな人がどんな場面で関わるのかを具体的に描き、最初から巻き込む。使う前から“自分ごと”になるプロセスを設計しています。空間は「クリエイティブ・ラウンジ」として設計しました。リラックスと刺激が共存し、少し前向きな気持ちで帰れる場所。学び、交流、創造が同時に成立する環境を意図的につくっています。特に重視したのは、ソーシャルとマインドの設計です。身体的な健康のための場は多くありますが、人とつながることや、気持ちを整えるための場はまだ少ない。色彩やアート、距離感の設計によって、会話が生まれ、気分が動くきっかけをつくっています。また、誰もが自分の居場所を見つけられるよう、空間は細かくゾーニングしています。にぎやかな場所と静かな場所、その選択肢があることで、人は初めて関わることができるからです。いまの日本では、「いざという時に助けてくれる人がいない」という不安が広がっています。しかし、そうした関係は日常の中でしか生まれません。顔を合わせ、言葉を交わし、小さな関係を積み重ねる。そのための場が必要です。ここで起きているのは、特別なことではありません。人が本来持っている力が引き出されている状態です。私たちは、その力が立ち上がる“条件”をデザインしました。これが、これからのコミュニティハブの一つのかたちだと考えています。
■ 今後に向けて
今後は地域の方や利用者により一層安心して過ごしていただくために、施設内に常駐するコミュニティーマネージャーを中心とした各種イベントの実施や、SNSを活用した情報発信を推進していきます。
また、WiTHは7月23日にオープン1周年を迎え、その前後には様々イベントが予定されています。
詳しくは公式HPをご覧ください。
■事業概要
本事業は、東京都の補助事業を活用し、アースサポート株式会社が実施主体となって稲城市と連携し進める官民共創の地域プロジェクトです。地域包括支援センターこうようだいの移転を契機に、地域包括ケアの深化と地域貢献を目的として、情報拠点の整備と機能強化を行います。
高齢化が進む稲城市向陽台地区において、デジタル環境の整備やアプリ開発、eスポーツ、多世代交流の場づくりを通じて、住民が役割とつながりを持ち、心身の状態にかかわらず地域で活躍するプレイヤーの仕組みを構築。市民発の助け合いをデジタルで後押しし、孤立予防やQOL向上を目指します。
また、「KAiGO PRiDE」の事例を参考に、地域で働く人に光を当てることで人材育成を図り、深まるハイパー高齢社会に備えた持続可能な地域包括支援の新しいモデルを構築します。
■コミュニティマネージャーによる活動サマリー
WiTHに常駐し、来場者の窓口として、利用者同士や地域とのつながりを結ぶスタッフであるコミュニティマネージャー(CM)による300日間の活動サマリーをPDFで紹介します。
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【どのような来場者がどのように使用しているか】
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【地域としての活動で特筆すべきこと】
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【個人としての活動で特筆すべきこと】
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【新たな“つながり”が生まれたシーン】
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【”変化”を感じた来場者コメント】
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【CMがいただいて特に嬉しかった来場者コメント】
の項目を通して、実際に利用者や地域に生まれた活動や変化をご覧いただけます。
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