腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)の新規パイプライン化決定のお知らせ
腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)の新規パイプライン化決定のお知らせ
2023年6月28日付の「子宮頸がんを対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法に関する慶應義塾大学医学部産婦人科学教室との共同研究契約に関するお知らせ」でお知らせしたとおり、当社は、慶應義塾大学医学部産婦人科学教室と「先進医療B(進行子宮頸癌に対する骨髄非破壊的前処置および低用量IL-2を用いた短期培養抗腫瘍リンパ球輸注療法の第II層臨床試験)における、腫瘍浸潤リンパ球(TIL, Tumor Infiltrating Lymphocyte))の製造法の技術移転」に関する共同研究契約を締結し、現在、共同研究を進めております。
共同研究と並行して、学術的調査を進める中で、TIL療法は進行悪性黒色腫及び進行子宮頸がんで優れた治療効果を示す可能性が高いことがわかってまいりました。
慶應義塾大学医学部産婦人科学教室、及び国際医療福祉大学が実施する「子宮頸がんを対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)」の先進医療(慶應義塾大学医学部プレスリリース:https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2021/1/6/28-77294/)では、当社が同臨床試験の細胞加工を実施する予定ですが、その後は、細胞加工だけでなく、移転されたTILの培養技術を用いて、当社の新規パイプラインとしてTILの事業化を進める方針を決定いたしましたので、お知らせいたします。
現在、当社では、①脊髄小脳変性症を対象とした幹細胞製品ステムカイマルと②ALSを対象としたiPS神経グリア細胞の研究開発を実施しておりますが、2023年12月5日付の「第三者割当による第16回新株予約権(行使価額修正条項及び行使許可条項付)の発行に関するお知らせ」で記載いたしましたとおり、ステムカイマルの国内第II相臨床試験結果を終え、承認申請が視野に入ってくる中、当社では新たな長期的な収益の柱の構築に向けて、積極的に新規パイプラインの導入に注力すべきタイミングであると考えており、案件の検討を行ってまいりました。
今後は、③子宮頸がんを対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)を3つ目のパイプラインに加え、事業化を進めてまいります。
なお、本件による2024年3月期連結業績予想への影響はありませんが、中長期的な業績向上に資するものと考えております。
TIL療法
腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)は、患者本人のがん組織に含まれる腫瘍浸潤リンパ球(TIL)と呼ばれる免疫細胞を採取して体外で大量に培養し、患者にTILを戻す養子免疫療法の一種です。TIL療法は米国を中心に、1980年代より主に進行悪性黒色腫に対して実施され、治療効果が報告されてきました。悪性黒色腫に対するTIL療法の成績は、腫瘍が縮小した患者(奏効率)が約7割で、病変が完全に消失する割合(完全奏効)は約2割とされ、さらに、完全奏効の患者では少数の例外を除き再発しないことが知られています。再発子宮頸がんでも9例の報告があり2例の完全奏効が報告され、5年以上再発していません(J Clin Oncol, 2015. 33: 1543-5)。米国では子宮頸がんに対するTIL療法の企業治験も始まっています。
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