FRDジャパンの第三者割当増資を引き受け
~ 持続可能な陸上養殖の産業化に取り組み、食料自給率の向上に貢献 ~
また、FRDは別途複数の金融機関とブルーサステナブルファイナンス※1の枠組みを活用した融資契約を締結しました。増資・融資により調達する資金は、本年7月を目途に着工する予定のサーモントラウトの陸上養殖商業プラント(千葉県富津市、年間生産量3,500トン規模)の建設や運転資金等に充当される予定です。
このたびの出資は、当社と三井物産が2022年2月に締結した戦略的提携※2に伴う取り組みの一環として三井物産を親会社に持つFRDに対して行うものであり、当社の出資額は50億円となります。
漁業においては、地球温暖化や赤潮被害等による天然魚の漁獲量減少に加え、漁業従事者の減少・高齢化が課題となっています。また、世界的な人口増加や生活水準の向上を背景に、良質な動物性タンパク源である水産物の需要は年々増加し、輸入魚の価格高騰や供給不安定化も進んでおり、食料安全保障の観点からも養殖ニーズが高まっています。一方、国内では海面養殖の適地が限られ、とりわけ年間30万トン規模の消費量があるサーモン類は供給余力に限界を迎える中、気候変動等の外的要因の影響を受けにくく、安定生産が可能で海洋汚染の懸念も少ない陸上養殖の産業化が世界的に注目されています。
こうした中、当社グループは陸上養殖に不可欠な酸素、水処理材、エネルギー、人工海水などに加え、遠隔監視・鮮度保持・食品分析などの技術を有しており、これらを組み合わせた飼育ノウハウ、消耗品の安定供給、養殖プラントの設計から設備の運転、メンテナンスまで一貫したパッケージで展開する「陸上養殖プラットフォーム」提供事業に参入。2023年5月30日、北海道東神楽町の「杜のサーモンプラント・東神楽」において、寒冷地に適した飼育環境下でのサーモン養殖を開始し、長野県松本市に建設中で2024年夏完成予定の「地球の恵みファーム・松本」では、井戸水を利用した半閉鎖型のスマート陸上養殖プラントにて、サーモンやバナメイエビの試験養殖による付帯設備開発・消耗品開発、高効率養殖を行います。
このように初期投資額を抑えた小規模・半閉鎖循環型スマート陸上養殖プラントの開発により、地産地消モデルとして日本各地への展開を目指していくとともに、このたびのFRDへの出資・協業を通じて、陸上養殖プラントにおける飼育効率の最適化や、当社からの酸素などの供給を進めていきます。
今後はFRD、三井物産とともに、持続可能な水産物生産手段の確立と、今後も美味しい魚が手軽に食べられる世界の実現を目指し、陸上養殖の産業化に取り組み、食料自給率の向上に貢献していきます。
※1:環境・社会課題等を解決し持続可能な社会の構築に資するサステナビリティファイナンスのうち、特に海洋環境や海洋資源等の保全に貢献する事業の資金調達のために実行されるファイナンスのこと
※2:2022年2月24日付のニュースリリース「エア・ウォーターと三井物産、産業ガス事業を中心としたグローバルでの協業に向けた戦略的提携に合意(https://www.awi.co.jp/ja/news/release/release7824120373811625042.html)」ご参照
<FRDジャパンについて>
FRDは、独自に開発した閉鎖循環式陸上養殖システムにより、サーモントラウトを養殖・販売しています。2018年より運営している実証実験プラント(埼玉県さいたま市・千葉県木更津市)では、これまで20世代以上の魚を養殖し、独自の閉鎖循環システムによって理想的な水質環境を維持することで、海に依存しないサーモントラウトの安定生産を実証しました。天然海水に依存せず、バクテリアを利用した高い水循環率を実現する水処理技術と、豊富な養殖経験に裏打ちされた養殖オペレーションの組み合わせを強みとして、これまで事業性に課題のあった陸上養殖の産業化を実現し、今回の商業プラントを皮切りに、日本を含むアジア圏を中心に大規模プラントを複数展開していくことを目指します。
<商業プラントの概要>
所在地 | 千葉県富津市 |
生産魚種 | サーモントラウト |
生産量 | 年間3,500トン規模 |
着工時期 | 2023年7月(予定)(開発工事着工) |
竣工時期 | 2026年(予定) |
販売開始時期 | 2027年(予定) |
<FRDの概要>
名称 | 株式会社FRDジャパン |
所在地 | 埼玉県さいたま市岩槻区 |
設立年 | 2013年12月 |
代表者 | 辻󠄀 洋一、十河 哲朗 |
事業内容 | 閉鎖循環式陸上養殖事業 |
<写真>
<(ご参考)当社グループ 陸上養殖事業 関連商材の一例>
・様々な魚種に適応した中小規模・半閉鎖循環型スマート陸上養殖プラントの設計・施工
・酸素供給および発生装置や付帯設備の設計・施工
・LPガスや天然ガスなどのエネルギーや人工海水などの消耗品の安定供給体制
・農業・食品部門で培った栽培管理・鮮度保持・分析技術の活用
・全道各地に拠点を有する営業・物流ネットワーク機能
・水処理プラント設備の開発・設計、資源循環型のエネルギー供給装置の開発 など
詳細はニュースリリースをご覧ください。
https://www.awi.co.jp/ja/business/news/news-7669308039249012912.html
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