「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」のとりまとめ報告書を発表
― サステナブル分野の統合評価の現状と課題、今後に向けた提言 ―
【背景・経緯】
パリ協定を契機に加速化している企業のサステナビリティ経営の動きの中で、特にカーボンニュートラル・ネイチャーポジティブ・サーキュラーエコノミーの3つの分野について、関心の高まりと各分野での取り組みの進展が見られます。一方で、サステナビリティに関するテーマはこの3つの分野に留まらず多様化しており、また、各分野は相互に関係し分野間でのシナジーやトレードオフ関係を有しています。
サステナブルな社会の構築に向けては、各分野の取り組みを進めるだけではなくサステナブル分野を統合的に考えていくことの重要性が、これまでも官・学を中心とする関係者から指摘されてきましたが、企業の今後の取り組みの参考となる具体的な整理は、必ずしも十分にはなされていませんでした。
各分野におけるシナジーやトレードオフ関係を考慮すると、今後、各企業には、社会課題の解決と自社の企業価値の向上を両立させることに加え、個別のサステナブル分野の取り組みだけではなくサステナブル分野を統合的に考えた評価が行われることが求められます。
みずほリサーチ&テクノロジーズは、経済・社会全体に、サステナブル分野の統合的評価の重要性を広く発信するとともに、企業のサステナブル分野の統合的評価に向けた具体的な取り組みの一助とすべく、国立環境研究所(田崎智宏 資源循環社会システム研究室室長ら)のご協力の下、有識者および多くの民間企業とともに、サステナブル分野の統合的な検討に向けた議論を実施してきました。
【報告書の概要】
本報告書では、①統合的評価の必要性と課題、②トレードオフ/シナジーの事例および統合的評価手法等の事例、③今後の取り組みに向けたステップと必要なことについて整理しました。主なポイントは以下の通りです。
・統合的評価の必要性と課題
国内の環境政策動向、ESGおよび情報開示の動向、国内外の複合環境危機の研究動向などをみると、あらゆる観点から、サステナブル分野の統合的評価と取り組みは、企業にとって既に必要な状況となってきていることがわかります。かかる状況を踏まえ、サステナブル分野の統合的評価・取り組みを具体的に進める上でハードルとなる事項を分類化しました。
・トレードオフ/シナジーの事例および統合的評価手法等の事例
トレードオフ/シナジーのイメージについて整理しました。なお、状況により異なるシナジーやトレードオフが生じるため、企業が統合的評価を考える際は、地域性や実施手法等を踏まえて検討をする必要があります。報告書では、統合的評価を考える参考情報として「企業の統合的評価の動き」「既存の統合的評価手法」などを示しています。
・今後の取り組みに向けたステップと必要なこと
評価結果を取り組みにつなげていくため、サステナブル分野におけるシナジー/トレードオフへの対応をパターン別に整理しました。
・各主体へ期待すること
グローバルな複合環境危機に直面する中では、各主体が単独で対応できることには限界があります。そこで、各主体(国際社会、政府、大学・研究機関、事業者、投資家・認証機関、市民・マスメディア)に向けた、本勉強会からの13のメッセージをとりまとめました。
本勉強会の詳細については、とりまとめ報告書をご覧ください。
「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」とりまとめ報告書
https://www.mizuho-rt.co.jp/company/release/2024/pdf/r08-sustaina-ases.pdf
【勉強会参加メンバー一覧】(五十音順)
なお、本勉強会は、自由闊達な議論のため、民間企業からの参加者については、各企業を代表した意見ではなく、個人としての意見を前提に実施いたしました。
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