三谷産業グループのアクティブファーマ、医薬品原薬製造において効率性・安全性・環境調和性に優れた『連続フロー法』を確立
三谷産業株式会社(本社:石川県金沢市/代表取締役社長:三谷 忠照、以下 三谷産業)のグループ会社であるアクティブファーマ株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:寺田 一彦、以下 アクティブファーマ)は、2020年より東京大学 大学院 理学系研究科 小林修教授の有機合成化学研究室(以下 小林研究室)と、耐久性が高く分離回収が容易な不均一系触媒(固体状態のまま化学反応を促進する触媒)による『連続フロー法』の商業化について共同研究を進めてきました。このたび、連続フロー法により製造した前立腺肥大治療薬の原薬(タムスロシン塩酸塩)において、日本薬局方※1の規定する品質基準への適合が確認できたことをお知らせします。
今後アクティブファーマは、連続フロー法による前立腺肥大治療薬の原薬製造の商業化を進めますが、不均一系触媒による連続フロー法の商業化実現は世界初の事例※2となります。その他の原薬に関しても連続フロー法による製造を検討してまいります。
※1 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書
※2 小林修教授による
ポイント
化合物合成手法における利点と課題
化合物の合成にあたり、その手法は『バッチ法』と『フロー法』に大別されます(次頁上図)。バッチ法は、化学反応に必要な全ての原料をフラスコ容器や反応釜に投入し生成物を取り出す手法です。バッチ法を用いて複雑な化合物を合成する場合、生成物に更に別の原料を反応させる工程を重ねるため、最終製品を取り出すまでには大量の原料を必要とします。それゆえに大量の副生物(廃棄物)を排出するだけでなくその廃棄には膨大なエネルギーも必要とします。また、製造には多くのスペースを必要とするほか、製造工程において危険性の高い物質を扱う場合の安全性の確保にも課題があります。
フロー法は、触媒を用いた反応装置の内部を一方向に流通させることで化学反応に必要な原料等の投入と同時に生成物を取り出す手法です。フロー法は副生物の排出が少なくその廃棄に必要となるエネルギーも少なく済むことや、合成に多くのスペースを必要としないこと、それゆえに合成工程において危険性の高い物質を扱う場合でも事故を抑制できる効果があります。ただし、フロー法はバッチ法とは異なり、複雑な化合物の合成には適さないと考えられてきました。
『連続フロー法』について
2015年に東京大学 大学院 理学系研究科の小林修教授らの研究グループは、『連続フロー法』を構築し、医薬品有効成分を高収率かつ高選択収率で合成することに成功しました。連続フロー法は、不均一系触媒を用いた反応装置をいくつも連結し個々の反応を組み合わせることで、フロー法の利点を残しつつ複雑な化合物を合成できる手法です(下図)。
『連続フロー法』の確立
医薬品原薬の開発・製造を行うアクティブファーマは、連続フロー法が従来の合成手法よりも効率性・安全性・環境調和性において優位性があると認識し、自社における原薬の製造手法として連続フロー法を商業化するため、2020年5月より小林研究室に参画しました。
前立腺肥大症の排尿障害改善剤をテーマとし、連続フロー法を活用し原薬を製造する共同研究を進めた結果、製造した原薬が日本薬局方の規定する品質基準に適合することが確認できました。この成果は、連続フロー法を実用化し、環境負荷を低減しつつ、効率面や安全面において利点を保ちながら、一定の品質を担保した前立腺肥大治療薬の原薬の製造方法を確立したことを意味しています。
アクティブファーマは今後、連続フロー法による原薬製造の商業化に向けて必要な設備を整えてまいります。2023年度には、期待される品質に適合する製品を恒常的に製造できることを証明し、その結果をもとに原薬等登録原簿の登録※を行う予定です。商業化を実現しますと世界初の事例となります。
※ 国内又は外国の原薬等製造業者が原薬等の製造方法・製造管理・品質管理等に係る審査に必要な情報を事前に登録することで、製剤の承認申請者等に対し審査に必要な情報のうち知的財産(ノウハウ)に関わる情報を開示することなく、承認審査に供するもの
『連続フロー法』の環境負荷低減効果
バッチ法と連続フロー法それぞれで化合物を10キログラム製造する場合、アクティブファーマの試算では、製造に要したエネルギーから排出されるCO2は約4.5トンから約1.7トン(削減率62%)まで、また副生物の廃棄にあたり排出されるCO2は約2.8トンから約1.5トン(削減率47%)まで削減でき、環境負荷の低減に大きく貢献します。
触媒に関する世界最高水準の知見を有する小林研究室と、長年にわたり高品質な医薬品原薬を製造してきたアクティブファーマは、前立腺肥大症の排尿障害改善剤のテーマ以外にもより難易度の高い反応に関し連続フロー法による製造の可能性を模索するべく共同研究を進めています。効率性・安全性・環境調和性に優れたより良い製造方法を実用化し、医薬品原薬製造の商業化に取り組んでまいります。
(補足情報)
【アクティブファーマについて】https://www.activepharma.co.jp/
東京に本社、富山県富山市八尾町に事業所・生産工場を保有しています。社会の要請に応じて原薬の開発に積極的に取り組み、また高品質を第一に考え、お客様にとってなくてはならないパートナーを目指し事業展開しています。社名は、いち早く皆様に認知いただけるように、原薬(API:Active Pharmaceutical Ingredient)に由来しています。
【三谷産業グループについて】https://www.mitani.co.jp/
石川県金沢市で創業して94年、ベトナムで創業して28年の複合商社です。北陸、首都圏、ベトナムを拠点に、化学品/情報システム/樹脂・エレクトロニクス/空調設備工事/住宅設備機器/エネルギーの6セグメントで事業を展開しています。商社でありながら、時にメーカーとして、また時にコンサルタントとして、お客さまにとっての最適を追求するとともに、「創業90年を越えるベンチャー企業」として更なる進化へと挑戦しています。
2022年3月期:連結売上高 84,427百万円/連結従業員数 3,805名
<お客様からのお問い合わせ先>
アクティブファーマ株式会社 管理部(担当:東)
TEL: 03-3514-6050
※1 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書
※2 小林修教授による
ポイント
- 化合物の合成にはバッチ法とフロー法があり、フロー法はバッチ法に比べ効率性・安全性・環境調和性において優位性があります。連続フロー法はバッチ法に比べCO2排出量を削減でき、環境負荷低減に大きく貢献します。
- アクティブファーマは小林研究室に参画し、連続フロー法により製造した前立腺肥大治療薬の原薬が、日本薬局方の品質基準への適合を確認しました。
- アクティブファーマは必要な設備を整えたうえで、連続フロー法による前立腺肥大治療薬の原薬製造の商業化を進めます。商業化を実現しますと世界初の事例となります。
化合物合成手法における利点と課題
化合物の合成にあたり、その手法は『バッチ法』と『フロー法』に大別されます(次頁上図)。バッチ法は、化学反応に必要な全ての原料をフラスコ容器や反応釜に投入し生成物を取り出す手法です。バッチ法を用いて複雑な化合物を合成する場合、生成物に更に別の原料を反応させる工程を重ねるため、最終製品を取り出すまでには大量の原料を必要とします。それゆえに大量の副生物(廃棄物)を排出するだけでなくその廃棄には膨大なエネルギーも必要とします。また、製造には多くのスペースを必要とするほか、製造工程において危険性の高い物質を扱う場合の安全性の確保にも課題があります。
フロー法は、触媒を用いた反応装置の内部を一方向に流通させることで化学反応に必要な原料等の投入と同時に生成物を取り出す手法です。フロー法は副生物の排出が少なくその廃棄に必要となるエネルギーも少なく済むことや、合成に多くのスペースを必要としないこと、それゆえに合成工程において危険性の高い物質を扱う場合でも事故を抑制できる効果があります。ただし、フロー法はバッチ法とは異なり、複雑な化合物の合成には適さないと考えられてきました。
『連続フロー法』について
2015年に東京大学 大学院 理学系研究科の小林修教授らの研究グループは、『連続フロー法』を構築し、医薬品有効成分を高収率かつ高選択収率で合成することに成功しました。連続フロー法は、不均一系触媒を用いた反応装置をいくつも連結し個々の反応を組み合わせることで、フロー法の利点を残しつつ複雑な化合物を合成できる手法です(下図)。
『連続フロー法』の確立
医薬品原薬の開発・製造を行うアクティブファーマは、連続フロー法が従来の合成手法よりも効率性・安全性・環境調和性において優位性があると認識し、自社における原薬の製造手法として連続フロー法を商業化するため、2020年5月より小林研究室に参画しました。
前立腺肥大症の排尿障害改善剤をテーマとし、連続フロー法を活用し原薬を製造する共同研究を進めた結果、製造した原薬が日本薬局方の規定する品質基準に適合することが確認できました。この成果は、連続フロー法を実用化し、環境負荷を低減しつつ、効率面や安全面において利点を保ちながら、一定の品質を担保した前立腺肥大治療薬の原薬の製造方法を確立したことを意味しています。
アクティブファーマは今後、連続フロー法による原薬製造の商業化に向けて必要な設備を整えてまいります。2023年度には、期待される品質に適合する製品を恒常的に製造できることを証明し、その結果をもとに原薬等登録原簿の登録※を行う予定です。商業化を実現しますと世界初の事例となります。
※ 国内又は外国の原薬等製造業者が原薬等の製造方法・製造管理・品質管理等に係る審査に必要な情報を事前に登録することで、製剤の承認申請者等に対し審査に必要な情報のうち知的財産(ノウハウ)に関わる情報を開示することなく、承認審査に供するもの
『連続フロー法』の環境負荷低減効果
バッチ法と連続フロー法それぞれで化合物を10キログラム製造する場合、アクティブファーマの試算では、製造に要したエネルギーから排出されるCO2は約4.5トンから約1.7トン(削減率62%)まで、また副生物の廃棄にあたり排出されるCO2は約2.8トンから約1.5トン(削減率47%)まで削減でき、環境負荷の低減に大きく貢献します。
触媒に関する世界最高水準の知見を有する小林研究室と、長年にわたり高品質な医薬品原薬を製造してきたアクティブファーマは、前立腺肥大症の排尿障害改善剤のテーマ以外にもより難易度の高い反応に関し連続フロー法による製造の可能性を模索するべく共同研究を進めています。効率性・安全性・環境調和性に優れたより良い製造方法を実用化し、医薬品原薬製造の商業化に取り組んでまいります。
(補足情報)
【アクティブファーマについて】https://www.activepharma.co.jp/
アクティブファーマは、2009年6月に設立した医薬品原薬の開発・製造・販売会社です。
東京に本社、富山県富山市八尾町に事業所・生産工場を保有しています。社会の要請に応じて原薬の開発に積極的に取り組み、また高品質を第一に考え、お客様にとってなくてはならないパートナーを目指し事業展開しています。社名は、いち早く皆様に認知いただけるように、原薬(API:Active Pharmaceutical Ingredient)に由来しています。
【三谷産業グループについて】https://www.mitani.co.jp/
石川県金沢市で創業して94年、ベトナムで創業して28年の複合商社です。北陸、首都圏、ベトナムを拠点に、化学品/情報システム/樹脂・エレクトロニクス/空調設備工事/住宅設備機器/エネルギーの6セグメントで事業を展開しています。商社でありながら、時にメーカーとして、また時にコンサルタントとして、お客さまにとっての最適を追求するとともに、「創業90年を越えるベンチャー企業」として更なる進化へと挑戦しています。
2022年3月期:連結売上高 84,427百万円/連結従業員数 3,805名
<お客様からのお問い合わせ先>
アクティブファーマ株式会社 管理部(担当:東)
TEL: 03-3514-6050
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