二酸化炭素を20%混合した合成ガスからのFT合成燃料生成に成功
本研究により、発電所や工場などから排出されるCO2を原料に液体燃料を生成する技術を確立しました。また、大気中あるいはバイオマス由来のCO2とCO2フリー水素を原料とすることで、脱炭素社会の実現に向けカーボンニュートラルな液体燃料:灯油・SAF(ジェット燃料)・軽油などへの展開が期待できます。
従来のFT合成の多く(GTLプロセス)はメタンを主成分とする天然ガスを水蒸気と共に改質した合成ガスを原料としていましたが、CO2が反応系内に入ると合成ガスの分圧低下が起こるなどの課題があり、FT反応前段にCO2を除去するための脱炭酸ユニットが設けられていました。
当社では、CO2と水素を原料にし、逆シフト反応器(CO2から一酸化炭素(CO)を作る反応器)とFT反応器の2段での合成燃料プロセスを目指しており、今回、自社開発の新触媒を用いて、CO2を20%含む合成ガスからの液体燃料合成に成功しました。
従来GTLプロセスと当社プロセスの比較
今後は、当社のバイオマス発電設備より発生したCO2と水素あるいは当社のガス化炉から生成した合成ガスを原料にした燃料合成を目指し、反応・触媒の最適化や大型化を進めていきます。
なお、本開発は群馬県立産業技術センターの協力を得て実施しています。
今回のFT合成で得られた中間留分のクロマトグラムの例
(※1)FT(Fischer Tropsch)合成は、一酸化炭素(CO)と水素(H2)の合成ガスから液体燃料(液状炭化水素)を合成する反応で、1920年代にフィッシャー・トロプシュによって確立されました。CO2を原料としたプロセスはメタン・メタノール・DME合成など共に、「カーボンリサイクル(CO2の再資源化)」の有望技術として期待されています。
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