「現場の課題」から生まれた医療DX 蘇生会総合病院リハビリテーション科、院内iPhoneを活用したリハビリ評価システムを独自に構築
―評価・記録・データ活用を一体化。既存の院内iPhoneを活用し、運用開始から約半月で350件を超える評価を蓄積―

医療法人社団蘇生会 蘇生会総合病院(京都市伏見区)は、院内で運用している約50台のiPhoneを活用し、リハビリテーション評価を支援する院内Webアプリ「リハビリ評価システム」を構築し、7月からのテスト期間を経て、8月より本格導入しました。
本システムは、リハビリテーション科の生成AI・DX推進メンバーとシステム課が連携し、実際の臨床現場での使いやすさを重視して開発したものです。
評価者は、院内のiPhoneを用いて患者情報を確認し、各種リハビリテーション評価を実施できます。評価結果は院内サーバーに保存され、過去結果の確認、スタッフ間での評価進捗の共有、診療記録用テキストの作成、CSV形式でのデータ出力まで、一連の流れで行うことができます。
運用開始から約半月で350件を超える評価が蓄積されており、スタッフが日常業務の中で自発的に活用するシステムとして定着が進んでいます。
開発の背景
当院では、院内連絡や生成AIを活用した音声入力などを目的として、約50台のiPhoneを運用しています。
リハビリテーション科では、これらの端末を連絡や音声入力だけでなく、患者の身体機能や認知機能を評価する臨床端末としても活用できないか検討を進めてきました。
従来のリハビリテーション評価では、評価用紙やマニュアルを確認しながら測定を行い、得点を計算した後、結果を電子カルテへ入力する必要がありました。
また、電子カルテには合計点のみが記載され、測定秒数、複数回測定した際の各測定値、歩行補助具、左右別の結果、未実施項目の理由など、評価過程で得られた詳細な情報が十分に残らない場合もありました。
こうした課題を踏まえ、当院では単に紙の評価表をデジタル化するのではなく、患者確認、評価、計算、保存、診療記録、データ活用までを一つの流れとしてつなぐシステムの構築を進めました。

iPhone一台で患者確認から評価まで
評価者は職員IDでシステムへログインし、患者IDを入力します。
患者情報データベースから取得した氏名、性別、年齢などを確認した上で、対象患者の評価を開始します。
保存される評価データには職員IDと患者IDが紐づくため、誰が、どの患者に、いつ、どの評価を実施したのかを後から確認できます。
また、評価を開始する前に、同じ患者に対して過去に実施された評価結果を確認することもできます。前回値やこれまでの経過を確認しながら、今回の評価を進められる仕組みとしています。

幅広いリハビリテーション評価に対応
本システムは、リハビリテーション診療で使用される幅広い評価に対応しています。
主な評価項目は以下のとおりです。
バランス・身体機能評価
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Berg Balance Scale(BBS)
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Short Physical Performance Battery(SPPB)
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Mini-BESTest
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Trunk Control Test(TCT)
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Functional Assessment for Control of Trunk(FACT)
歩行・移動能力評価
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Timed Up and Go Test(TUG)
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10m歩行テスト
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4m歩行テスト
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6分間歩行試験
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Functional Ambulation Categories(FAC)
認知機能評価
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改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
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Mini-Mental State Examination(MMSE)
脳卒中関連評価
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Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)
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Brunnstrom Recovery Stage(BRS)
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modified Rankin Scale(mRS)
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腱反射・病的反射
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感覚評価
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Contraversive Pushingに関する評価
整形外科・身体計測
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人工膝関節置換術後評価
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人工股関節置換術後評価
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肩関節総合評価
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握力
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下腿周径
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筋力測定
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Hand-Held Dynamometerを用いた筋力測定
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InBody測定結果
そのほか、目的に応じて複数の評価を組み合わせる「パッケージ評価」にも対応しています。
イラスト、タイマー、自動計算で評価を支援
評価画面には、評価項目に応じた説明文、イラスト、タイマー、選択肢、自動計算機能などを実装しています。
例えばSPPBでは、バランス評価、4m歩行テスト、椅子からの5回立ち上がりなどを、画面上の説明やイラストを確認しながら実施できます。
4m歩行テストでは、iPhone上のタイマーを使用して歩行時間を測定できます。複数回測定した場合には、それぞれの測定値を保存し、採用する値を画面上で確認できます。測定結果に応じた得点も自動的に計算されます。
TUGでは、所要時間だけでなく、歩数、回転方向、使用した歩行補助具、見守りや介助の内容なども保存できます。
HDS-RやMMSEでは、評価者が設問を確認しやすい画面構成に加え、時計や物品画像の提示、時間計測、回答数の集計など、認知機能評価の実施を支援する機能を備えています。
評価者がマニュアル、タイマー、計算機、記録用紙を別々に扱うのではなく、必要な情報と機能を一つの画面にまとめることで、臨床現場での操作負担を減らすことを目指しています。



複数の評価をまとめて管理する「パッケージ評価」
患者の疾患や治療目的、研究計画などに応じて、複数の評価項目を一つのセットとして登録できます。
パッケージ評価では、各評価について以下の状態を確認できます。
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未実施
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途中保存
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完了
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実施済み
評価を途中で中断した場合には、その時点までの入力内容を保存できます。
共有パッケージでは、別のスタッフや別の端末から途中経過を確認し、評価を継続することも可能です。
これにより、一人のスタッフがすべての評価を実施するだけでなく、歩行評価、筋力評価、認知機能評価などを複数のスタッフで分担する運用にも対応できます。
評価結果を診療記録用テキストとして出力
評価終了後は、電子カルテを使用する院内PCからシステムへログインし、保存された評価を選択します。
選択した評価結果は、ワンクリックで診療記録へ貼り付けやすいテキストとして出力できます。
出力される内容には、合計点だけでなく、以下のような詳細情報も含まれます。
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各測定項目の得点
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測定秒数
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1回目、2回目の測定値
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採用値
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歩数
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回転方向
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使用した歩行補助具
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左右別の測定結果
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見守り・介助内容
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未実施項目とその理由
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評価者が入力した補足情報
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認知機能評価における不正解内容
評価者は出力内容を確認し、必要に応じて修正した上で、電子カルテの診療記録へ貼り付けます。
本システムは電子カルテへ自動登録するものではなく、最終的な記録内容は評価者が確認する運用としています。
これにより、結果を改めて手入力する負担を減らしながら、従来よりも具体的で詳細な評価内容を診療記録へ残しやすくなりました。


点数だけではなく、評価過程の詳細データを保存
本システムに保存されるのは、評価の合計点だけではありません。
歩行時間、各測定回の秒数、採用値、左右別の測定値、使用した補助具、各設問の結果、未実施情報など、評価過程で得られた詳細なデータを保存します。
同じ合計点であっても、その背景にある測定内容を詳しく確認できるため、患者の状態変化をより具体的に捉えることができます。
また、評価項目ごとに統一された形式で情報が蓄積されるため、将来的な業務改善、臨床指標の確認、研究活動にも活用しやすいデータ基盤となります。
蓄積したデータをCSV形式で出力
管理者向けには、保存された評価データを検索・確認できるWeb画面を用意しています。
期間、患者ID、評価項目、保存者などの条件を指定して必要なデータを抽出し、CSV形式で出力できます。
通常の評価単位での出力に加え、パッケージ評価では、一人の患者に対して同じ実施回で行った複数の評価を一行にまとめて出力することもできます。
管理者画面は日常的な評価入力を行うためのものではなく、蓄積データの確認、集計、業務改善、研究などへの二次利用を支援する位置づけです。
運用開始から約半月で350件を超える評価を蓄積
本システムは、運用開始から約半月で350件を超える評価が保存されました。
利用を一律に義務化したのではなく、スタッフが日常業務の中で利便性を感じ、自発的に使用した結果として、短期間で多くの評価が蓄積されています。
既存の院内iPhoneを活用したため、新たな専用端末を多数導入することなく、臨床現場での運用を開始できたことも本取り組みの特徴です。
今後は、評価件数だけではなく、評価に要する時間、記録業務への影響、操作性、データの質などについても検証を進めていく予定です。
開発担当者コメント
今回のシステムでは、単に紙の評価表をiPhoneへ置き換えるのではなく、患者確認、評価方法の提示、測定、自動計算、過去結果の確認、診療記録用テキストの作成、データ蓄積までを一つの流れとして設計しました。
開発で最も重視したのは、実際の臨床現場でスタッフが無理なく使い続けられることです。評価を行うスタッフの意見を取り入れながら、入力方法、画面表示、途中保存、スタッフ間での共有、記録内容などを改善してきました。
運用開始から短期間で多くの評価が保存されていることは、スタッフ自身が必要性や利便性を感じて活用している結果だと考えています。
今後は、蓄積されたデータを業務改善や研究にも活用し、評価を実施するだけで終わらない、リハビリテーションの質向上につながる仕組みへ育てていきたいと考えています。
蘇生会総合病院
リハビリテーション科
中野 雅司
現場の課題を起点とした医療DXを推進
当院リハビリテーション科では、今回の評価システムに加え、生成AIを活用した音声入力、医療文書作成支援、各種院内Webアプリの開発など、段階的にDXを進めています。
デジタル技術や生成AIを導入すること自体を目的とするのではなく、実際の業務上の課題を明確にし、現場で継続して使用できる仕組みにすることを重視しています。
今後もリハビリテーション科とシステム課が連携し、患者安全と個人情報保護に配慮しながら、医療従事者の業務を支援し、医療の質向上につながる現場起点のDXを推進してまいります。
病院概要

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組織名 |
医療法人社団 蘇生会 蘇生会総合病院 |
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代表者 |
理事長 津田永明 |
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所在地 |
〒612-8473 京都府京都市伏見区下鳥羽広長町101番地 |
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創業 |
1952年(昭和27年) |
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設立 |
1970年(昭和45年) |
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従業員数 |
873名 |
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事業内容 |
総合病院の運営/介護老人保健施設の運営/在宅支援事業所の運営 |
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許可病床数 |
・蘇生会総合病院 290床(急性期病棟176床(HCU9床・SCU6床含む)/回復期リハビリテーション病棟54床/医療療養型病棟60床/透析室40ベッド) ・蘇生会総合病院介護医療院 60床 |
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URL |
【プレスリリースに関するお問い合わせ先】
医療法人社団 蘇生会
蘇生会総合病院 総務課 森西
TEL:075-621-3101
FAX:075-612-5790
E-mail:jinjika@soseikai.or.jp
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