HACARUS(ハカルス)× 田辺三菱製薬 スパースモデリングを用いて、薬物スクリーニングにおける解析の高速化と判定に寄与する特徴抽出に成功
【本プロジェクトの背景と経緯】
薬物スクリーニングの効率化・高速化および質の向上を目指し、ディープラーニングの一種であるCNN (Convolutional Neural Network)の活用が検討されていました。
ディープラーニングにより画像解析プロセスの大幅な削減と先入観に捉われない薬物作用の判別は達成されました。しかし、ディープラーニングでは薬物ごとに異なる判別モデルを1つずつ作成するため、薬物の影響の評価・判別に時間がかかるという問題を抱えていました。また、薬物作用の判定に寄与した特徴が不明であるという「AIのブラックボックス化」の問題も依然として存在していました。
【本プロジェクトの成果】
創薬研究のための薬物スクリーニングにおいて、スパースモデリング技術を活用したAIシステムを構築することで、薬物探索にかかる時間の更なる短縮および影響因子の特定が可能になりました。
薬物探索の時間短縮については、異常検知/変化検知モデルで正常コントロール群の画像特徴量だけを学習することで、薬物間で共通の異常検知モデルを用いることができ、学習時間の削減に繋がりました。結果として、一薬物あたり15~40分かかっていた解析時間を、約16秒まで短縮することに成功しました。
判定に寄与する因子が分からないという問題については、正常コントロール群と薬物添加の対照群の画像間でスパース構造学習を行いました。スパース構造学習で、薬物の影響によって画像特徴量間の相関関係がどう変化したのか、すなわち薬物の作用メカニズムに関する示唆が得られるようになりました。
【田辺三菱製薬 担当者様の声】
今回のプロジェクトは、解析プロセスの56倍以上の効率化という期待通りの成果が得られ、また新しい技術に触れることができ、大変有意義なものでした。今回構築したモデルの実際の創薬プロジェクトへの応用を視野に、今後も共同研究を進めていきたいです。
今回のプロジェクト成果は、薬物スクリーニングにおいて、学習に必要なデータが正常コントロールだけであるという点と、判定に寄与した特徴量の示唆が得られる点で独自性があると考えられます。将来的には、遺伝子多型に着目した薬物スクリーニングや患者iPS細胞などを用いた薬物スクリーニングに本技術を応用することで、プレシジョンメディシンの実現に貢献すると期待されます。
■ハカルスの「スパースモデリング」を活用したAI技術の特徴
スパースとは「まばらな」という意味で、「物事の本質的な特徴を決定づけるのは一部の要素だけである」という性質(スパース性)を利用した技術が「スパースモデリング」です。
スパースモデリングを活用することで「データが不足している状態でも分析ができる」「分析の時間やコストを圧縮できる」などのメリットがあります。
ハカルスのスパースモデリングを活用したAI技術は以下のような特徴があります。
●大量のデータ(ビッグデータ)を必要とせず、ディープラーニングの1/100・1/1000のデータ量でも分析精度が高いAIを構築します。
●不良品データ(不正解のデータ)がなくても、少量の教師データ(正解のデータ)でAIが構築できます。
●ディープラーニングに見られる、分析のプロセスがブラックボックス化する課題を克服し、AIの回答に高い説明性・解釈性があります。
●大量のデータを収集する時間が不要のため、開発時間が短縮され、付帯するコストが削減できます。
●AIを稼働させるための消費電力が、ディープラーニングに比較して1/100以下のエコなAIです。
●工業製品やIoT機器・エッジ端末への組み込みが可能です。
●画像データ・テキストデータの解析に対応しています。
- 産業領域向け展開サービス
■検査関連サービス「HACARUS Check」
ハカルス独自のAIを活用した「検査」サービスです。熟練した職人のノウハウをAIに学習させることで、高精度かつ安定した検査を実現します。
<提供サービス 詳細>
外観検査/打音検査/HSI検査
■光学読取関連サービス「HACARUS Lens
ハカルス独自のAIを活用した高精度の読取りサービス。
ドローン等のデバイスを組み合わせることで、人的コストの削減や、一括処理による効率化を実現します。
<提供サービス 詳細>
メーター/OCR/バーコード
■コンサルティングサービス「HACARUS Dojo」
AIの効果的な利用に関する課題をお持ちの方に向けた、AIコンサルティングサービス。
ハカルスがAI活用の道筋を見つけるサポートをいたします。
<提供サービス 詳細>
データサイエンスコンサルティング/データサイエンス組織立ち上げ支援/カスタマイズサービス/
DXほっとライン/AIアカデミー
■エッジAI「HACARUS Edge」
ハカルスのパワフルで軽量な独自AIです。
この軽さが、エッジ端末でのAI活用を可能にしました。
- 医療領域向け展開サービス
医療領域向けサイト: https://hacarus.com/ja/medical/
■細胞画像分析(セルイメージアナリシス)
HACARUS for MedicalのCell Image Analysis(細胞画像診断)は、医療・創薬現場の細胞診断業務を⾼精度かつ⾼速化します。開発した独⾃AIは、少ない学習データで対象の特徴量を⾒極め、軽量ゆえにモデリングも短時間で完了します。得られた結果に対して、どうしてそこに⾄ったかも把握できるため、次の展開に向けた仮説⽴てにも利⽤可能です。
■生体情報解析(バイタルデータアナリシス)
HACARUS for Medical - Vital Data Analysis(⽣体情報解析)は、軽量かつ⾼精度なAIです。⼼電図、⼼拍、⾎圧などの⽣体データをモニタリングした時系列データを、AIが分析。⼈間では視認しづらい特徴点も察知し、治療に関するインサイトを提⽰します。競合技術と⽐較して1%の消費電⼒で、実⾏時間が5分の1で動作したケースもあり、⾼い性能と省電⼒が求められる⼩型デバイスへの組み込みも可能です。
- 株式会社HACARUS
〈会社概要〉
本社: 京都府京都市中京区橋弁慶町227 第12長谷ビル5階A室
東京R&Dセンター:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ビジネスタワー15階
設立: 2014年1月14日
代表取締役:藤原 健真
資本金: 1億円(累計資金調達額:13億円)
URL: https://hacarus.com/ja/
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