【開催レポート】超異分野学会 豊橋フォーラムが東海地区で初開催!
研究者・スタートアップ・企業の新規事業担当者など135名が豊橋に一挙集結!!
地域の特徴や課題を的確に捉え、知識プラットフォームの活用による新事業創造を手掛ける株式会社リバネスと連携し、豊橋市の補助のもと、東海地区(愛知・岐阜・三重・静岡)では初の開催となります。
<超異分野学会とは?>
株式会社リバネスが企画・運営する、研究者、大企業、町工場、ベンチャーといった分野や業種の違いにとらわれずに、議論を通じて互いの持っている知識や技術を融合させ、人類が向き合うべき新たな研究テーマや課題を捉え、共に研究を推進するための場です。異分野・異業種の参加者により、これまでにない研究テーマの創出、課題解決のアプローチを建設的に議論し、垣根を超えて共に最先端の研究開発を仕掛けることが可能になります。
<豊橋フォーラムについて>
豊橋市は、豊橋技術科学大学・愛知大学・豊橋創造大学の3大学を有し、多種多様な製造業と国内有数の産出額を誇る農業が集積する東三河地域の中心都市です。
株式会社サイエンス・クリエイトが株式会社リバネスと手掛ける超異分野学会豊橋フォーラムでは、”知のゆりかご”豊橋をフィールドに、市内の研究シーズと地元企業、更には域外からの知の流入を促進することにより、若者・研究者・企業など多様な主体が集い、議論を展開しました。
本フォーラムを契機に、市内の事業者と連携した事業仮説の検証や、「ものづくり・人づくり・街づくり」をキーワードに実証プロジェクト立ち上げを加速し、社会実装への環をつなぐことを目指しています。
<開催概要>
開催テーマ:
『知のゆりかご・豊橋から社会実装への環をつなぐ −ものづくり・人づくり・街づくり−』
日程: 2022年12月17日(土) 10:00〜18:00
場所: 豊橋サイエンスコア(愛知県豊橋市西幸町字浜池333-9 )
共同主催 株式会社サイエンス・クリエイト(豊橋市補助事業)、株式会社リバネス、東三河スタートアップ推進協議会
参加対象者:
アカデミア、地元事業者、ベンチャー、大企業、町工場、生産者、自治体、中学・高校生・高専生 etc
関連キーワード:
ものづくり、医工連携、ロボティクス、街づくり、空間設計、コミュニケーション、微生物、植物、バイオマス、藻類、素材、農業資材、エネルギー
イベントHP:
https://hic.lne.st/conference/toyohashi2022/
<当日の様子>
・開会挨拶
株式会社サイエンス・クリエイト 代表取締役社長・豊橋市長 浅井 由崇
「超異分野学会豊橋フォーラム2022、大変多くの方にご参加を賜り誠にありがとうございます。
この「超異分野学会」は大学、研究機関、企業(ベンチャー、大企業、町工場、生産者の皆さん方)などがそれぞれの研究内容、技術などをこの場で超異分野の皆さんと一緒になって話し合い交流することで、新しい価値を生んでいこう、事業化につなげていこうということを目的としております。
リバネスさんが約10年前から全国各地で開催され、年5~6か所、北は北海道から南は鹿児島まで全国各地で開催されてきましたが、この東海地方では豊橋がはじめての開催となります。
私ども豊橋、東三河地域は新しい事業の育成に大変力を入れております。
愛知県としてアジア地域を視野に入れたスタートアップの拠点を考えておられる中、その広域エコシステム拠点として第一号となる東三河スタートアップ推進協議会がスタートしており、県内でもかなり先進的に取り組んでいる地域だと自負しております。
この『スタートアップ』というのは育成する土壌が必要です。この2、3年の取り組みの中で、サイエンス・クリエイトの運営するスタートアップガレージなど支援機関が連携して、若い世代のみなさんが多く集まっており、まさにスタートアップを生み出す拠点となっております。
この地域は大学を中心とした産学官の連携がしっかりしており、新しい価値、事業を生み出しております。さらにそうした風土をしっかり作っていこうということで、今日の超異分野学会の開催につながってきたと思います。
今日のテーマが『知のゆりかご・豊橋から社会実装への環をつなぐ』ということで、様々な研究者や企業が持つ知識や技術が出会って新しい事業が生まれるきっかけとなれば本当に嬉しいことだと思います。
刺激的な発表がいくつもあると思いますので、みなさんそれぞれで新しい出会いを見つけていただいて、明日からの活動につなげていただければと思います。」
・来賓挨拶
豊橋技術科学大学 理事・副学長 若原 昭浩 氏
「超異分野学会豊橋フォーラム2022の開催、大変おめでとうございます。
愛知県・東海地区は工業・農業・水産業がきわめて活発な地域です。
本学においてもこの地域の若者の農業団体がコンピュータを使った情報管理をされているということで、IT農業活用センターがスタートし、今の農工につながったという経緯があります。
今や何かを成し遂げようとするには、自分の専門分野とは違った分野の方とタッグを組んで色々な方々の知識を総合知という形で集積して活用する時代になったと思います。
そういった意味で、この超異分野学会は各界の方々が本音でお話を頂ける、そこにスタートアップを意識する人が出るなど、これこそが本当の意味で新しい産業を起こすきっかけになる。
そういった意味で、豊橋技術科学大学は全面的に協力させていただきました。
外は非常に寒くなっておりますが、今日この場に置かれましては熱気のある議論をしていただいて、成果を持って帰って頂きたいと思います。」
・テクノロジースプラッシュ
「跳ねる・飛び散る、ザブンと落ちる」というスプラッシュ(splash)の意味にちなんだテクノロジースプラッシュでは、研究者やベンチャーから20名が登壇。参加者が次々と登場する研究者の知識と熱を浴びながら、熱を持った研究者を見つけ、またそのピッチをヒントに新たなアイデアを発想することを狙いとしています。
▽登壇者一覧はこちらからご覧いただけます。
https://hic.lne.st/2022/12/20804/
・ポスター発表
日中はアトリウム会場においてポスター発表を行い活発な交流が生まれました。
・セッション
午後は地域を代表する企業と多彩なゲストが、サブテーマでもある「ものづくり・人づくり・街づくり」の観点から、さまざまな研究シーズを産業界に持ち込み実用化を目指す方法を探る、産学連携の可能性を語り合いました。
セッション1
『事業継承をきっかけとした製造業のトランスフォーメーション』
登壇者(上段画像左から)
西島 豊 氏
西島株式会社・代表取締役社長
豊橋の製造企業 4代目。メドテックベンチャーの製造支援を行う。若手社員独自のテーマでの挑戦を促している。
芝原 利幸 氏
芝原工業株式会社・代表取締役
磐田市の製造企業 3代目。少量多品種でのロボット活用やロボット系ベンチャーとの連携に挑戦。
土場 義浩 氏
サンケイエンジニアリング株式会社・代表取締役
大田区の製造企業 初代。大手・ベンチャーの受託開発を行うゼロイチものづくりのスペシャリスト。
長谷川 和宏◎モデレーター
株式会社リバネス 執行役員 CMO
ベンチャーと町工場の連携事例構築、インキュベーション施設の開設や中堅中小企業の新規事業創出支援などを主導。第7回ものづくり日本大賞 受賞。
事業承継を通じた人づくりを軸にセッションを展開、承継のきっかけや、承継時の気づきが今の新規事業の取組みに繋がって行くまでを登壇者が語るとともに、100年企業でも20年サイクルで作るものが変わっていく、変わっていかなければならないものづくり企業と、フードテック・アグリテックなど異分野・異業種とがどうやって繋がって行けばよいのか、接着剤となるヨソモノや社員のやってみたいをどう会社に反映し、ただ作る物が変わるだけではなく企業自体がどう変化・成長していけばよいのかディスカッションが行われました。
セッション2
『太陽・大地・藻類で作るサステナブル産業』
登壇者(上段画像左から)
阿閉 耕平 氏
株式会社ユーグレナ R&Dカンパニー R&D企画室 主任
微細藻類ユーグレナの新奇有用種・株の探索を行いながら、藻類バイオマスの利活用の研究に取り組んでいる。
梅村 賢司 氏
イノチオホールディングス株式会社 中央農業研究所 研究所長(兼 研究開発本部長)
植物の病害抵抗性メカニズムの解析を専門とし、環境調和型農業資材や関連技術の開発に取組んでいる。
広瀬 侑 氏
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 応用化学・生命工学系 准教授
光生物学とゲノム生物学を活かして藻類の研究を行う。新しい形質を持つ藻類とその大量培養に興味。
髙橋 宏之◎モデレーター
株式会社リバネス 執行役員
農業が盛んな理由の一つとして、実は日射量が全国トップクラスでもある豊橋。そんな豊橋を舞台に、食料の安定生産やエネルギーの安定供給に対する微細藻類(ユーグレナ)への期待や、カーボンオフセットな農業への展開、地域社会の脱CO2の可能性や、温度コントロールがしやすいビニールハウスの活用によるユーグレナの培養など郊外農地の活用の可能性が語られました。
セッション3
『くらしと住まいの快適さを追及するー微生物との共生でデザインする空間設計ー』
登壇者(上段画像左から)
石川 拓 氏
株式会社サーラコーポレーション経営戦略本部イノベーション推進部emCAMPUS運営室
emCAMPUS STUDIOを運営しながら、サーラグループにおいて暮らしや住まいに新しい価値を生み出すため、挑戦を続けている。
伊藤 光平 氏
株式会社BIOTA 代表取締役
マイクロバイオーム(微生物の集まり)とバイオインフォマティクス(情報生命科学)を専門とし、「微生物多様性を高める都市デザイン」の事業に取り組んでいる
粕谷 妙子氏
株式会社プラネット 新規事業本部 部長
グリーンビジネスの新規参入企業のビジネス支援や新規開拓などを中心に啓蒙活動に取り組んでおり、プラネットにおける新規事業創出にむけた活動を展開している。
石澤 敏洋◎モデレーター
株式会社リバネス 戦略開発事業部 部長
日本各地の研究機関から世界へ羽ばたく研究開発型ベンチャーを創出するとともに、地域企業との新事業創出を促すための地域エコシステム構築を進めている。
微生物多様性を掲げる株式会社BIOTAの取り組みを中心に、「空間」を提供する地元企業2社が自社事業に微生物を組み合わせることで新たに生まれる価値や事業の可能性を語り合うセッションとなりました。最後に登壇企業で連携して植物がない部屋とある部屋でどのような変化があるか、具体的な調査を探っていくコミットを提示して締めくくりました。
・表彰
超異分野学会では、情熱を持って自らの研究を遂行するため、積極的に異分野との連携を推進する姿勢を示した発表者に対し、パートナー企業ならびに主催者からポスター賞を授与しています。
【西島賞(西島株式会社)】
受賞者:豊橋技術科学大学大学院 工学研究科 博士後期課程3年 前川 啓一郎 さん
発表概要:『高専生のキャリア教育の実情とその変容に向けたKOSEN Laboの取り組み』
近年、高専教育が注目されています。一方、高専で学ぶ技術と実社会との繋がりをイメージできず、普段の勉学や進路選択で行き詰まる学生が多く、我々はその理由として、高専生は外部との関わりが少なく自らの価値観を広げる機会が少ないことが原因だと仮説を立てました。そして、高専生が産業界・学術界・海外の方々と関わることができる場所をオンラインプログラムとして提供してきました。
産業界で活躍されている社会人の方々をオンラインで招待し、その方々達と課題に対してアイデアを出すアイデアソンや、特定の技術などの理解を深めるセミナー、そして交流会などを全国の高専生対象に企画・運営してきました。その結果、自分の“やりたいこと”に向かって切磋琢磨できるようなコミュニティとしてKOSENLaboが機能するとともに、新しい何かに挑戦する高専生が出てきています。
選定理由:すばらしい発表ばかりだったが、学生であること、またものづくり企業として未来を作るという意味で高等専門学校という優れた教育の場から未来を作り出そうとする取組みとしてエールを送りたいと思います。
【サーラグループ賞(サーラグループ)】
受賞者:ハイラブル株式会社 代表取締役 水本 武志 さん
発表概要:『リアルな場のコミュニケーションを見える化する Bamiel』
リアルなコミュニケーションの活性化はコミュニティのつながりの深化や組織のエンゲージメント向上に重要ですが、それを記録することは困難でした。Bamiel(バミエル)は、雑音環境下で音の位置を計測する音環境分析技術によって、いつ、どこで会話が活性化しているかをリアルタイムに可視化できます。さらに蓄積されたデータを分析することで、レイアウトの改善や施策の効果検証が可能です。現在複数のマイクを組み合わせて様々な実際のフィールドで検証を行っています。
選定理由:サーラグループで運営しているレンタルオフィス・シェアオフィス・コワーキングスペースの運営にあたって、ハイラブル株式会社のように、場を見える化する、会話を可視化する技術はより良い運営に対してヒントが得られそうだと感じました。
【ユーグレナ賞(株式会社ユーグレナ)】
受賞者:豊橋技術科学大学大学院 工学研究科 博士前期課程 応用化学・生命工学専攻 1年 谷井 智春 さん
発表概要:『石油を合成する特異なハプト藻Dicrateria rotundaの生理機能解析』
ハプト藻D.rotundaは、ディーゼル燃料やガソリン、重油と同等の炭化水素を合成する能力を持ちます。この藻類の作る炭化水素は不飽和結合等の不安定な構造を持たないため、従来のバイオ燃料技術において必要であった改質という工程を必要とせず、直接燃料として使用できます。この藻類の石油合成を可能とする分子メカニズムの解明を通じた新しい藻類バイオマスの開発を目指しています。
本藻類の実用化には、炭化水素収量を増やす必要があります。そのためにまず培養時の温度条件について検討を行い、最適培養温度を決定しました。次に合成能力強化に使用する形質転換の方法を検討し、形質転換の一段階前となる「細胞に外来の分子を取り込ませること」に成功しました。また優れた細胞が得られた時に、その細胞を保存するための凍結保存の方法も検討しています。
選定理由:我々自身も藻類を研究しており、ともに藻類の可能性を探る仲間として今回選ばないという選択肢はないんじゃないかと、非常にシンパシーを感じました。
【サイエンス・クリエイト賞(株式会社サイエンス・クリエイト)】
受賞者:株式会社Archeda 代表取締役Co-CEO 長田 大輝 さん
発表概要:『リモートセンシングデータを活用した森林の二酸化炭素吸収量の推定』
所有する森林資源の炭素吸収量の可視化、森林クレジットを購入するための判断材料の取得を可能にするプロダクト“GreenInsight”を現在開発中です。具体的には、光学・SAR衛星画像やLiDAR等のデータを用いた独自の解析技術により、森林の二酸化炭素吸収量の推定や森林破壊の検知などをモニタリングできます。また、ボランタリークレジットのベースラインの検証やプロジェクトの監視を可能にします。
現在は、衛星やドローンのデータを活用して森林の平均樹高を算出し、特定の森林エリアの二酸化炭素の吸収量を推定するアルゴリズム開発に着手しております。
選定理由:当社の「ゼロカーボンシティ推進事業」、「衛星データ活用事業」にマッチしています。地球温暖化防止の為に頑張って欲しいと思います。
【豊橋フォーラム賞(株式会社リバネス)】
受賞者:豊橋技術科学大学大学院 工学研究科・機械工学系 教授 中村 祐二 さん
発表概要:『吸い込み消火法の実用化』
通常の消火器は「吹きつける」ことで火災を鎮火させますが、その際、煙やヒュームといった有毒なガスも生成されるため、超閉鎖空間(例:宇宙船内、クリーンルーム内、手術室等)では決して有効とはいえません。この場合、吹きつけるのではなく「吸い込む」ことで消火する手法が有効であり、その有効範囲を学術的に裏付けました。
選定理由:将来、実用化すればすばらしい成果に繋がるのではないかと感じました。この消化方法は宇宙で火災が起こったときにも使えるということで、これから宇宙旅行の普及なども考えられる中で、こうしたとがった研究が豊橋から世界に向けて広まっていけば、より他の様々な研究をやる人も豊橋に集まってくるのではないかと期待しています。
・閉会にあたって
株式会社サイエンス・クリエイト 代表取締役専務 稲葉 俊穂
「本日皆様がお互いに感じたこと、交流されたこと、それによって新しいシーズが、新しい事業が一歩でも二歩でも前に進んでくれることを心から期待しております。
そのことによって、この豊橋が、東三河が、そして日本が一歩でも二歩でも住みよい素晴らしい街になっていく事を期待しております。また、来年以降もこのようなイベントを続けていきたいと思いますので、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。」
<今後について>
株式会社サイエンス・クリエイトでは来年度の豊橋市の予算成立を前提に、本年度のセッションやポスター発表の場でのディスカッションをベースに研究シーズの産業化に向けたチームビルドやチームの自立的な取り組みの支援を展開していきます。また、それらの取り組みは2023年末ごろに開催予定の超異分野学会豊橋フォーラム2023でご紹介していく予定です。
本件問合せ先:
【株式会社サイエンス・クリエイト】
株式会社サイエンス・クリエイトは、豊橋地域での新産業創出を目指して策定された「サイエンス・クリエイト21計画」に基づき、愛知県・豊橋市・日本政策投資銀行及び民間企業の出資により平成2年10月に設立された第3セクター会社です。民活法により東海地域ではじめてリサーチコアとして認可された拠点施設である豊橋サイエンスコア(平成4年11月開設)を運営するとともに、産学官共同研究や地域産業支援のための事業を行っております。
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