精神疾患向けSaMDの開発を行うemol、強迫症患者向けCBT支援アプリの探索的治験を開始
精神疾患向けSaMDの開発を行うemol株式会社（本社：東京都豊島区、代表取締役 CEO：千頭 沙織）は、強迫症（強迫性障害）患者を対象としたアプリケーションによる認知行動療法（CBT）の実践を支援する医療機器プログラム（未承認・開発中）の探索的治験（第II相臨床試験）の治験届（医療機器）を提出し、2025年6月より治験を開始することをお知らせします。
■ 強迫症とは
強迫症（Obsessive-Compulsive Disorder, OCD）は、「手を何度も洗ってしまう」「戸締まりを何度も確認してしまう」などの強迫観念や強迫行為が特徴の精神疾患です。日本における有病率はおよそ1〜4%とされ、発症は10代後半から20代前半に多く、慢性的に経過することが知られています。生活の質（QOL）を大きく損なう一方で、適切な治療にアクセスできず、悩みを抱えたまま過ごしている患者も少なくありません。
■ 本治験について
本治験で用いる製品（強迫症治療を目的としたアプリ）は、2022年より強迫症治療において国内有数の実績と知見を持つ兵庫医科大学医学部精神科神経科学講座と共同研究により開発を行ない、これまで臨床研究にて使用感等の品質評価調査を行ってきました。
本治験では、強迫症患者を対象に二重盲検無作為化比較試験の方法にて、アプリの有効性と安全性を探索的に検証することを目的とし、兵庫医科大学病院、杉本医院からすまメンタルクリニック、ただしメンタルクリニックの3施設にて実施します。
|
対象疾患 |
強迫症（強迫性障害） |
|---|---|
|
試験等の種類 |
二重盲検無作為化比較試験 |
|
目的 |
強迫性障害患者に対するアプリケーションによる認知行動療法の有効性と安全性を探索的に検討する。 |
|
施設数 |
3施設 |
|
治験情報（jRCT） |
※医療機関経由でのみ参加可
※本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構（AMED）の支援を受けて実施しています。（事業名：医療機器等研究成果展開事業 開発実践タイプ、研究開発課題名：強迫症を対象とした新規認知行動療法アプリ開発）
■ 製品開発の背景
強迫症の第一選択治療は SSRI等の薬物療法とCBTの二つとされていますが、国内でCBTを実施できる医療機関・医療者は限られ、CBTが実施できる専門機関は日本全国の精神科・心療内科診療所の6.2 % （※1）にとどまります。専門施設への長期通院が困難な患者は治療中断や複数の医療機関を次々と受診し続ける状態などに陥りやすく、症状固定や重症化を招くケースも少なくありません。
また、専門的なCBTを継続的に提供できる臨床心理士や医師の不足も深刻であり、強迫症に対するCBTの実践は全国的に広がっていないという課題があります。これらの医療アクセスの格差や治療の継続性の問題を、デジタル技術によって補完することを目的に、本製品の開発を進めています。
■ この製品の目的（役割）
本製品は、強迫症に対する第一選択の一つとされるCBTの提供をデジタル上で可能にするアプリです。薬物療法と並ぶエビデンスのある治療法である認知行動療法を、時間や場所にとらわれず、患者自身のペースで実践できるよう設計されています。
本製品は、医師の管理下で使用され、強迫症治療における中核的な要素を段階的に学び、実践できるように構成されています。
将来的に薬物療法が難しい症例でも CBT 選択肢を提供し、医療リソースの地域偏在を補完することを目指します。
■ SaMD（Software as a Medical Device）について
本製品は医療機器プログラム（SaMD: Software as a Medical Device）としての承認取得を目指しており、今回の治験はその一環として実施するものです。SaMDは、ソフトウェア単体で疾病の診断・治療・予防などの医療的機能を果たすものとして、近年国内外で注目が高まっている分野です。
とりわけ、精神疾患領域においては、医師による治療提供の負荷軽減、患者の自己効力感の向上、治療アクセスの拡充といった観点から、SaMDへの期待が高まっており、中でも強迫症は慢性化しやすく、標準治療であるCBTの提供体制が限られていることから、セルフヘルプで行えるDTx（Digital Therapeutics）型アプリのニーズが非常に高いとされています。本治験を通じて、製品の有効性や使用性、安全性などの検証を行い、今後の薬事承認申請につなげていく予定です。
＜出典＞
※1：高橋史ら.日本の精神科診療所における認知行動療法の提供体制に関する実態調査.2018
※ 本プレスリリースに関する注意事項
本アプリは医療機器プログラムとして現在治験段階にあり、日本国内で医療機器としての承認・認証を受けていません。したがって一般の販売・提供はできません。本資料は治験に関する情報提供のみを目的としており、広告・販売促進を意図するものではありません。
＜emol株式会社＞
会社名: emol株式会社
代表者: 代表取締役 千頭沙織
設立日: 2019年3月18日
URL: https://emol.jp/
事業内容: 精神疾患・メンタルヘルス関連サービス開発
お問い合わせ: support@emol.jp
すべての画像
