東日本大震災経験者の復興に関する意識調査「インフラの復興実感」8割以上も「景気雇用の復興」約5割が実感ない
今後の復興事業へ「地元民の雇用」や「過疎化対策」を期待
防災・減災事業、インフラ・メンテナンス事業等に取り組む応用地質株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長 成田 賢、以下 応用地質)は、東日本大震災経験者(岩手・宮城・福島)20歳~69歳の男女600名を対象に「東日本大震災の被災経験と復興に関する調査」を行いましたので、調査結果を発表いたします。
間もなく、東日本大震災から10年を迎えようとしています。被災者の実体験に基づき、改めて来るべき大災害に対する備え・事前防災の在り方や、今後の復興事業について調査を通して考えてみました。
間もなく、東日本大震災から10年を迎えようとしています。被災者の実体験に基づき、改めて来るべき大災害に対する備え・事前防災の在り方や、今後の復興事業について調査を通して考えてみました。
- 【調査概要】
調査対象:岩手・宮城・福島の20歳~69歳 男女600名(震災時および、現在も3県に在住)
調査手法:インターネットによるアンケート調査
※調査結果・データは四捨五入しており、合計パーセンテージが100%にならない場合がございます
- 調査サマリー
■約5割が景気や雇用などについて復興を実感していない
■いま必要だと思うインフラTOP3は「防災」「観光」「情報通信」
■災害に備え自治体に期待すること 約6割が「被災者生活支援の充実」と回答
■半数以上が今後の復興事業に「地元民の雇用創出」や「過疎化対策」を期待
■2人に1人が地区防災計画をまったく知らず、取り組みへの参加経験なし
- 54.7%が「復興が完了している」と感じている
※「完全に完了している」、「ほぼ完了している」の合計を完了していると定義
県別の場合
東日本大震災から10年。常磐線の全面開通や、仮設住宅(プレハブ住宅)の供与終了など復興が進んでいる報道が多くされていますが、実際に震災当時から現在も岩手・宮城・福島に在住している東日本大震災の被災経験者はどのように感じているのでしょうか。今回の調査では、「完全に完了している(6.2%)」、「ほぼ完了している(48.5%)」の合計54.7%が「復興が完了している」と感じているが、およそ半数は「まだ復興が進んでいない」と感じていることがわかりました。県別にみると、宮城県が「復興が完了している」と感じている人の割合が64.5%と最も高く、岩手県が48.5%と最も低い結果となりました。
- 約5割が景気や雇用などについて復興を実感していない
一方で「景気や雇用など地域経済活動」については46.8%と、復興を実感している人は半数以下に留まり、経済活動において復興の実感を持てない人が今も多くいる現状が見えてきました。
震災から10年を迎え、インフラなどハード面での復興は進んできたものの、景気や雇用回復などの施策充実が今後の復興事業を考える上で重要なポイントとなりそうです。
※「実感している」、「やや実感している」の合計を実感していると定義
「商店街、商業施設など」 :宮城(76.5%)・福島(73.5%)に対し岩手(53.0%)
「景気や雇用など地域経済活動」:宮城(52.5%)・福島(55.5%)に対し岩手(32.5%)
※「実感している」、「やや実感している」の合計を実感していると定義
- いま必要だと思うインフラTOP3は「防災」「観光」「情報通信」
ちなみに、県別では「新たな道路や鉄道、橋など経済や暮らしを支える交通インフラ」が必要だと思う割合は、福島県よりも、岩手県・宮城県の方が多い結果となりました。また、「町を活性化させる観光インフラ (ホテルや観光施設等)」が必要と回答した人の半数近くは岩手県でした。
岩手県は、地域経済活性化への課題感が他2県と比べて高いということがここでもわかりました。
- 災害に備え自治体に期待すること 約6割が「被災者生活支援の充実」と回答
次いで、「食料/医薬品の備蓄(50.5%)」、 「避難誘導策や避難路の確保など(46.7%)」、「津波や建物倒壊防止に対する対策(45.7%)」、「ハザードマップの周知(42.3%)」、「地区防災計画策定の支援(37.5%)」となりました。
- 半数以上が今後の復興事業に「地元民の雇用創出」や「過疎化対策」を期待
被災地のみならず、地方の課題となっている人口流出、高齢化、過疎化などへの対策は、被災地においても特に期待値が高いことがわかりました。
県別の傾向
- 2人に1人が地区防災計画をまったく知らず、取り組みへの参加経験なし
東日本大震災での経験を踏まえ、地区防災計画の策定が期待されていますが、「取り組みを行っている」との回答は21.2%に留まっており、「まったく知らず、取り組みに参加したこともない」の回答が半数を超え、「地区防災計画」の浸透度が低い実態がわかりました。
※地区防災計画とは、災害対策基本法に基づき、一定の地域に居住する住民どうしが、自分たちの地域の人命、財産を守るために助け合い(共助)行動するために策定する、自発的な防災活動に関する計画のこと- 「取り組みがない、知らない」 社会的関心の低さが理由か
回答の多かった順に「行政の働きかけがない(46.9%)」、「専門知識がなくどのように策定していいかわからない(42.1%)」、「住民同士のつながりが希薄化し協力が得られない(35.5%)」、「マスコミでも報道されない(30.2%)」となりました。自治体の取組みにもばらつきがあることや、報道で目に触れる機会も少ないことなど、社会的な関心の低さや、普及に向けた課題があることがうかがえます。
- 東日本大震災前後で行った防災対策 多いのは「避難所とハザードマップの把握」
震災前から行っていた対策で最も多かったのは、「避難所の把握(36.8%)」次いで「ハザードマップの把握(27.5%)」でした。各項目とも震災をきっかけに対策する方が一気に増えていますが、中でも防災アプリの増加率は他項目の中で突出しており、この10年でのスマホの普及率向上が関係している可能性もあります。一方で、震災前後ともに「何も対策していない」という方が約3割いることがわかりました。
被災経験者であっても一定規模の方は、その後に特段の行動変容が起こるわけではないようです。
- 避難するうえで最も有効な情報入手手段は「緊急速報メール」
携帯電話から突然鳴る、あの音に恐怖を感じる方も多いかと思いますが、やはり、肌身離さず持っている携帯電話が真っ先に情報を入手するツールとして有効と考えているようです。
- 東日本大震災の経験者が伝えたい教訓「とにかく逃げて!」
東日本大震災の経験を基に、いつくるかわからない震災に向け日ごろからの備えをすることが大切です。
- まとめ
昨今、重要性が謳われている住民やコミュニティによる「地区防災計画」については、「まったく知らず、取り組みに参加したこともない」との回答が半数を超え、言葉自体の浸透度や社会的な関心が低いこと、また普及に向けた課題がある可能性も見えてきました。
本調査は、防災に関わる業務を主たる事業の一つとしている弊社の今後のサービスの向上および、社会貢献の一環として実施しております。
応用地質では、今後も、インフラや自然環境、災害などに関する独自調査を行なって参ります。
- 会社概要
住所 :〒101-8486 東京都千代田区神田美土代町7番地
代表取締役社長 :成田 賢
設立 :1957年(昭和32年)5月2日
資本金 :161億7,460万円
株式市場 :東京証券取引所市場第一部
社員数 :2,243名 (連結)、1,141名 (単体) (2020年12月末現在)
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