Shure、放送・制作現場のニーズに応える平面アレイマイクロホン「DCA901」 を発表
革新的なソリューションが、精密で臨場感あふれる音声収録の新時代を切り開く。

音響機器メーカーのShureは2025年9月12日、アムステルダムにて開催されたIBC 2025にて、放送用音声収録の分野を革新する画期的な平面アレイマイクロホン「DCA901」を発表しました。スポーツ、スタジオ、ライブイベント向けに設計されたDCA901は、これまで必要としたマイクやケーブルの本数を減らしながら、視聴者に最前列で聞くリアルな音を届けます。指向性をデジタル制御で可変でき、またDSPを内蔵しているため、エンジニアは音源を分離して管理しながら周囲の雑音を低減し、ミックス全体を制御できます。
DCA901は、Shureの新しい「Arqos」(アーコス)シリーズの第1弾製品です。Arqosは、Shureが新たに展開する製品シリーズで、アレイマイクロホン、信号処理、ソフトウェアを統合し、よりクリアで精密な音声収録、リモート管理、そして制作現場の効率化を実現するというビジョンのもとに設計されています。
「DCA901は、あらゆるスポーツ放送のワークフローを根本から変える可能性があります。究極の収音柔軟性を備え、必要に応じて瞬時に設定を変更できるため、番組のどの要素も妥協することなく対応できます。実際にNBAの試合で導入したところ、2台のアレイでコート全体をカバーできたことに驚きました。従来であれば、同じ音を拾うために12本のマイクが必要だったでしょう。まさに、いままでの常識を覆す体験でした。 」
— Dave Grundtvig氏、リモートオペレーション担当シニアオーディオスーパーバイザー
来年出荷予定のDCA901は、従来のワークフローや複雑なセットアップを、シンプルで原音再現性の高いソリューションへと刷新します。DCA901は、Shureが掲げる「シームレスでスケーラブルなソフトウェア駆動型の音響システム」というビジョンを体現する製品であり、同社のデジタル放送およびスポーツ音声収録分野への本格展開を示す重要なマイルストーンです。
「放送制作の基準や視聴者の期待が高まる中、従来の音声収録方法はますます複雑になっています」とShureのグローバルマーケティングおよび製品管理担当アソシエイトバイスプレジデント、Nick Woodは述べています。「DCA901により、音響エンジニアはより少ないマイクとケーブルで、これまで以上に多くの音響的成果を得ることが可能です。 視聴者をアクションの中心へと引き込む臨場感あふれる音を届けることができます。 」
放送の新時代に向けて設計
DCA901は、比類ない精密な収音と優れた制御性、そしてワークフローの簡素化を提供し、最前列の音体験を再現する音声収録の未来を築く製品です。
比類ない精密な収音
タレントの会話や現場・フィールドでの動きなど、これまで捉えることが困難だった音の繊細な要素を収音することで、没入型体験やマルチチャンネル音声がさらに進化します。デジタル制御で可変できる収音範囲(ローブ)を複数設定することで声や動く音を分離し、範囲外から到来する不要な音の混入を最小限に抑えます。1つのローブは従来のアナログ収音方式よりも広範囲をカバーしながら、最大8チャンネルの原音に忠実な音声を分離して収音できます。さらに、DCA901は5.1chとステレオの同時収音・変換にも対応しており、両放送フォーマットをサポートできます。
優れた制御性
オートミキシング、EQ、コンプレッション、ディレイといった統合DSPなどリアルタイム処理できるデジタルツールを備え、最小限のポストプロセッシングで一貫した高品質を提供します。
ワークフローの簡素化
DCA901は使いやすさとエンジニアに優しい運用設計を念頭に開発されています。1台で可変できるローブを複数持つため、従来運用されている複数のショットガンマイクやパラボリックマイクを置き換えることができ、現場でのセットアップ時間と複雑さを軽減できます。さらにDanteまたはAES67による単一ケーブル接続によって音声、電源、制御を一つのソースに統合することで、ルーティングを簡素化しケーブルインフラを削減します。また遠隔操作機能により、現場に赴くことなく収音範囲を調整でき、REMIワークフローにも柔軟に対応可能です。目立たないオールブラックのデザインは、スタジアム、スタジオ、モバイルセットに自然に溶け込み、カメラ映えする環境を損なうことがありません。
EDGE Soundとの提携により、スポーツ音声の精度と制御性を強化
Shureは、スタートアップ企業EDGE Sound Researchと協業し、DCA901と同社のVirtual Sound Engineソフトウェアを連携させることで、スポーツ放送における音声の精度と制御性をさらに高めています。両ツールはリアルタイムで連携し、選手や審判、ボールの動きを個別に、あるいは組み合わせて追跡することで、これまでの放送では聞き逃されていた音の瞬間を鮮明に捉えます。これにより、音響エンジニアはより自由度の高いミックスを構築でき、放送の臨場感と表現力が大きく向上します。
「ShureのDCA901をライブスポーツに導入することで、世界最高水準の収音と当社のVirtual Sound Engineを組み合わせ、スポーツストーリーテリングの未来を切り拓くことができます」と、EDGE Sound Researchの共同創業者兼CEO、Valtteri Salomaki氏は述べています。「私たちは、従来の固定的な音声ミックスから脱却し、選手やボールなどの音を個別に制御できる“オブジェクトベース”の動的な放送へと進化しています。これにより、ファンは試合の臨場感をよりリアルに体感でき、ライブ視聴体験が一層向上します」
「観客の音が非常に自然で臨場感があり、録音された音だと誤解する人もいました。それほどリアルに感じられたのです。DCA901を主要な収音ソースとして使用し、クリーンでバランスの取れた音を提供してくれたため、ミックス全体がより没入感のあるものになりました」
— Ian Vysick氏、AMVオーディオ開発スペシャリスト
「このマイクの音は、私が普段使用しているパラボリックマイクとは大きく異なっていましたが、より優れていると感じました。木製バットが野球ボールを打つ音の再現性がより自然で、音の輪郭がはっきりしていました。現在のパラボリックマイクよりも、ボールがバットに当たる音をより正確に捉えていたと思います」
— Brian Robertson氏、MLB、NBA、NHL、PGAの放送音響エンジニア
「DCA901は、ミキシングのアプローチそのものを変えてくれます。最大の違いは、単なる瞬間のスナップショットではなく、一連の流れの中で大きな場面を捉える能力にあります。今どこでアクションが
起きていて、それがどこへ向かい、どこで終わるのかを考えながら収音できるのです。単に一瞬を切り取るだけではありません」
— Martin Farrelly氏、MLB、NBA、NHL、UFCの放送音響エンジニア
Shure DCA901は、2026年に出荷開始予定です。
【Shure (シュア)について】
Shure(www.shure.com)は、1世紀に渡って人々が驚くほど冴えわたるサウンドを世界に送り出してきました。1925年に設立され、その品質、性能、耐久性で知られているオーディオ機器の世界的リーディングカンパニーです。マイクロホン、ワイヤレスマイクシステム、インイヤーモニター、イヤホン/ヘッドホン、会議システムなど様々な音響機器をユーザーに届けています。クリティカルリスニングで、ここ一番の大事なステージで、スタジオで、そしてミーティングルームでも、いつでもShureがあなたを強力にバックアップします。
Shure Incorporatedは、米国イリノイ州ナイルズ(Niles)に本社を置き、米国、ヨーロッパ・中東・アフリカ、アジアに30以上の製造施設と販売拠点を有しています。
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※Shureは米国Shure Incorporatedの登録商標です。
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