みょうじなまえ 個展「In the Room」のお知らせ
HARUKAITO by ISLANDでは2025年12月6日(土)―12月21日(日)、2026年1月8日(木)―1月11日(日)までみょうじなまえの個展「In the Room」を開催いたします。

みょうじなまえは1987年に兵庫県に生まれ、東京藝術大学で美術学部絵画科油画を2019年に卒業しました。
「SICF23 EXHIBITION部門」でグランプリを受賞した《You or someone like you》《JEWEL NURSERY》(2020)や「CAF賞2022」金澤韻審査員賞受賞の《人形の家》など、幼少期からの自身の体験をもとに、身体やジェンダーをとりまくナラティヴと現代社会のディスコースによる相関関係を照射させる作品を制作してきました。
「現代社会における、人間の性別や人種、国籍といった、様々なアイデンティティに付される社会通念上の「かくあるべき」形は、現在、女性やさまざまなマイノリティの社会進出を阻害する大きな要因になっています。 しかし、それらはまた、人々の生活や安全の保障としての機能も果たしており、自己と他者の境界線を形作る根幹とも呼べるものでもあります」と話すみょうじにとっての作品制作は、かつてその狭間でばらばらになった自分自身の輪郭を取り戻し、その現在地と世界を手探りで再確認していく蘇生の軌跡ともいえるでしょう。
「In the Room」と題した本展では、かつて自分の部屋に閉じこもる時期を長く経験したという原点に立ち返り、「その部屋」から動線上に広がる世界のさまざまな風景や事象をフラットに解体し、まるで積み木のように、自分自身や社会を構成する部品をばらばらにして、共に組み直す遊びを鑑賞者に促しています。
それは目には見えない社会の境界線や暴力を内側から注意深く解体し拡張していく実践でもあり、わたしやわたしたちのナラティヴを取り戻し、その生を祝福するささやかな祝祭でもあります。新作を含めたHARUKAITO by ISLANDでの初個展、どうぞこの機会にご高覧ください。
テキスト:鈴木沓子
【ARTIST STATEMENT】
私の作品には、おもちゃをモチーフに用いているものがとても多い。
家や部屋の中にあるものの形を使った作品も。その理由は、何となく自分でもわかっている。これまで
ずっと、外の世界よりも、家の中の空間のほうが、私にとっての「リアル」だったからだ。
思春期や青年期の長い間、私は自分の部屋に引きこもって生きていた。
朝、空が青白むころ、息を潜めるように瞼を閉じる――そんな生活を、ずっと続けていた。
それが悲壮な日々だったかと問われれば、実のところ、必ずしもそうではない。
もともと家の中で遊ぶのが好きで、ひとりでいるのも好きだった。
毎日、部屋の中で、浴びるように映画を観て、浴びるように絵を描き、浴びるように音楽を聴いていた。
今思えば、それは静謐で、濃度の高い、豊かな時間でもあった。
けれど同時に、そこで失われていったものもある。
ある精神分析家は著書の中で、「ひきこもりは座敷わらしだと思いなさい」と書いている。少しだけ、
その意味がわかる気がする。
ひきこもりの時間と、いわゆる社会生活の時間とでは、その流れ方や密度がまったく異なる。
人の群れの中で生きるための器官を、少しずつ忘れていく一方、特殊な時間が流れる聖域の中で、ある
種の神性を帯びていくような感覚。
あの頃の私にとって、世界のあらゆる情報は非現実的で、すべての位相が恐ろしく曖昧だった。
真夜中のテレビから流れるグルメ情報に、ホラーゲームのコマーシャル、子猫の愛らしい姿、世界貿易
センタービルの崩落。誰かの欲望に埋もれながら、今にも崩れそうなぼやけた永遠を過ごしていた。
こうして今、私が外の世界に生きているということは、家族のたゆまぬ愛と、様々な幸運が重なった結
果でもあるのだけれど、結局のところ、私は自分のつくったものを誰かに見てほしかったのだと思う。
欲望とは、現実世界へと帰還するためのトーテムでもある。
私は恐る恐る部屋のドアを開け、外に出ることをはじめてみた。
みょうじなまえ
【展覧会概要】
In the Room
みょうじなまえ Namae Myoji
2025.12.6 sat. - 12.21 sun. / 2026.1.8 thu. - 1.11 sun.
Open:13:00-19:00 Thu-Sun
Opening Reception: 12.6 sat.18:00-20:00
企画: island JAPAN
www.islandjapan.com
info@islandjapan.com
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-12-9 BLOCK HOUSE 2F
6-12-9-2F BLOCK HOUSE Jingumae Shibuya-ku, Tokyo 150-0001 JAPAN
www.blockhouse.jp



【みょうじなまえ CV】
1987年 兵庫県生まれ
2019年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2019年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画 入学
2022年 同大学院 自主退学 自身のこれまでの体験を契機として、 女性の身体、 性、 アイデンティティとその消費をめ ぐる問題をテーマに作品を制作している。 人はみな自らが所属する文化やコミュニティの中で自己が形作られており、 性の枠組みも その例外ではない。 作品制作を通して、 人はコミュニティの中でどのようにして 「男」 や 「女」 として作られて いくのか、 私たちのアイデンティティを形成しているものは何か、 そしてそこから生まれ る歪みに関する事柄を、 常に社会と自分自身へ問いかけ続けている。 <受賞歴>
2022年 CAF賞2022 金澤韻賞 娔日本娘
SICF23 Exhibition部門 グランプリ 娔日本娘
2019年 東京藝術大学卒業・修了作品展 平成藝術賞、 O氏記念賞 娔日本娘
2018年 国際瀧冨士美術賞 特別賞 娔日本娘 個展
2025
“Not an Epilogue” spiral art gallery 娔名古屋/日本娘
2024
“I’ll give you a name” N project 娔大阪/日本娘
2023
“SICF23 Exhibition部門グランプリアーティスト展 「バベルとユートピア」” スパイラルガ ーデン 娔東京/日本娘
2022
“Some Fairy Tales” TAKU SOMETANI GALLERY 娔東京/日本娘
2020
“あなたのような誰か” TAKU SOMETANI GALLERY 娔東京/日本娘 主なグループ展
2025
“中之条ビエンナーレ2025” 熱海市内 娔群馬/日本娘
“『元始女性は太陽だった』 のか?” KOTARO NUKAGA Three 娔東京/日本娘
2024
“ATAMI ART GRANT 2024” 熱海市内 娔静岡/日本娘
2023
“ATAMI ART GRANT 2023” 熱海市内 娔静岡/日本娘
2022
“CAF賞2022 入選作品展覧会” 代官山ヒルサイドテラス 娔東京/日本娘
“六甲ミーツアート芸術散歩2022” 六甲山 娔兵庫/日本娘
“SICF23” スパイラルホール 娔東京/日本娘
⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻
EN
1987 Born in Hyogo Prefecture
2019 B.F.A. in Oil Painting Department of Tokyo University of the Arts
2019 Enters the Master’s Program of the Oil-Painting Department of Tokyo
University of the Arts
2022 Voluntarily left the Master’s Program
Inspired by first-hand experiences since childhood, Myoji’s form of expression
is mainly installation work that explores the female body, gender, and identity,
in relation with issues surrounding the consumption of such themes. Our
identities are all shaped by the culture and community to which we belong to.
Even the Framework of gender is not an exception, Through creating artworks, I
continuously question how people define themselves as “men” or “women” in
their communities, what forms our identities, and the gender-oriented
distortions caused by this identity formation in society.
<Awards>
2022 CAF Award 2022 Kanazawa Rin Jury Award, Japan
SICF23 Exhibition Grand Prize, Japan
2019 Heisei Arts Prize, Japan
Mr.O Prize, Tokyo, Japan
2018 The International TAKIFUJI Art Award Special Award, Japan
SOLO EXHIBITIONS
2025
“Not an Epilogue” spiral art gallery, Aichi, Japan
2024
“I’ll give you a name” N project, Osaka, Japan
2023
“SICF23 Exhibition Grand Prize Artist Exhibition Namae Myoji ‘Babel and
Utopia’”, Spiral Garden, Tokyo, Japan
2022
“Some Fairy Tales”, TAKU SOMETANI GALLERY, Tokyo, Japan
2020
“You or someone like you” TAKU SOMETANI GALLERY, Tokyo, Japan
GROUP EXHIBITIONS (SELECTED)
2025
“NAKANOJO BIENNALE”, Nakanojo Town, Gumma, Japan
“In the biginning womankind was the sun, Weren’t We?”, KOTARO NUKAGA
Three, Tokyo, Japan
2024
“ATAMI ART GRANT 2024”, Atami City, Shizuoka, Japan
2023
“ATAMI ART GRANT 2023”, Atami City, Shizuoka, Japan
2022
“CAF Award 2022 Selected Works Exhibition”, Hillside Forum in Daikanyama,
Tokyo, Japan
“ROKKO MEETS ART 2022”, Mt. Rokko, Hyogo, Japan
“SICF23”, Spiral Hall, Tokyo, Japan
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
