田辺美那子と查克林(Chakurin.Go)、二人展『ADME』原宿 SOMSOC GALLERYで4月1日(月)より開催
異なる背景を持つ二人のアーティストが感じた都市生活の不確実性をアートに昇華
研美株式会社(本社:東京都渋谷区 代表取締役:厳研)が運営するクリエイターズユニット兼ギャラリー機能を有する「SOMSOC GALLERY(ソムソクギャラリー)」は、2024年4月1日(月) から4月14日(日)に、田辺美那子と查克林(Chakurin.Go)による二人展『ADME』を開催します。
「ADME」(アドメ)とは、吸収(Absorption)・分布(Distribution)・代謝(Metabolism)・排泄(Excretion)からなる略語で、生体において薬物が処理される過程を示す用語のこと。『我々はあくまで社会のいち細胞に過ぎず、代謝と自己崩壊を繰り返しながら都市に取り込まれていく。我々が住む都市は、多細胞生物のように、各細胞(=個人)を飲み込み、消化していく存在なのかもしれない。』そんな感覚を出発点に、国籍も文化背景も異なる二人のアーティストが感じた共通認識を、都市生活と我々個人との関係性を軸に以下のように定義した。
「The Artistry of a Dystopian Metropolis Echoes」
Artistry - 芸術性
Dystopian - ディストピア
Metropolis - 都市
Echoes - 残響
どこか滑稽さを感じさせる「田辺式シュールレアリズム」で創作する異色の経歴のアーティスト、田辺美那子。ポストモダンの消費文化への批判を、おしゃれな「CITY POP」で訴えるアーティスト、查克林。再定義された「ADME」という言葉から掘り下げた都市生活の不安、不確実性の中で、創造力がどのように響くのか。二人の感覚と情熱が織りなす作品群を堪能していただきたい。
また、3月31日には招待制のプライベートビューと今回の展示テーマに沿った、牛肉ハンバーグと中国のバオズ(包子)が組み合わさった特製ハンバーグバオを提供するレセプションパーティも開催する。
展示概要
展示名称:『ADME』
主催:SOMSOC GALLERY
開催期間:2024年4月1日(月) ~4月14日(日)
開館時間:13:00 – 19:00(初日以外月曜日休館)
開催場所:SOMSOC GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前3-22-11
作家ステートメント
ここ最近生活している中で違和感を覚えることを、私が好きなモチーフである牛肉や牛などにのせて表現した。『ADME』というタイトルは、学生時代に薬物動態に関する研究をしていた私の経験にも重なるものがある。都市や社会は絶えず新陳代謝を続ける身体として、そして私たち一人一人はその身体を構成する細胞として捉えることができる。私たちは生まれた時から社会に属し、何をしても社会の一部であり続ける。アートは社会の不調に対して作者の心が動いたときにも生み出され、鑑賞者の心や頭になんらかの影響を与えることがある。薬物は体の不調を癒すために摂取され、吸収・代謝されていくが、アートもそんな薬のような存在となり得るだろうか。
田辺美那子
私は長い間、人と食の関係を探求してきた。というのも私たちは人間である以上、「食べる」という行為から逃れることはできないからだ。この行為は生命を維持するという意味から見れば単純でもあり、食文化という角度から見れば食の意義は社会関係全体にも及び、社会的価値体系を作る複雑な概念でもある。
食べ物は誰にでも作用する武器と言える。また、砂糖でコーティングされた錠剤のように、どのような社会集団の人々にも簡単に効き目を発揮する。私たちは常に食と文化や創作の共鳴を感じることができる。
個人的には、自分は社会的な不公平を前にして意見を表明するためにみっともなく喚き散らすようなことをしたくない人間だと思っている。私が作る作品はいつも社会に対する不満を隠し味の調味料のように少しだけ入れるのだが、その方が自分の性格に合っているように思う。だから、今回の作品は、表面的には楽しくて愉快に見えるかもしれない。できれば、私の作品に隠されたアイロニックなものを読み解いて欲しい。それは歯茎に刺さった魚の骨のようでもあり、目に入った砂のように、違和感を感じさせ、自分自身や見る人に、楽しい作品の背後にある意味を思い出させてくれることを願っている。今回のメイン作品の3枚の絵には、すべて窓枠をつけた。窓枠のデザインは、見ることと見られることの関係を表しており、我々は観客として、窓の外で繰り広げられる食の不思議な物語を覗き込んでいるのだ。
查克林(Chakurin.Go)
作家紹介
田辺美那子
どこか滑稽さを感じさせる「田辺式シュールレアリズム」で創作する異色の経歴のアーティスト
1994年東京生まれ。中学・高校・大学では美術部・美術サークルに所属。大学院時代の修士論文のテーマは『マウス栄養膜幹細胞の分化過程におけるMDR1の発現機構の解析』。百貨店就職後は子供服や婦人服のバイイング等を担当。日常の些細なことからインスピレーションを受けて制作する。
Instagram:https://www.instagram.com/minako.artwork/
略歴
2017年 慶應義塾大学 薬学部 卒業
2019年 慶應義塾大学大学院 薬学研究科 薬科学専攻 修了
2019年 都内百貨店 入社
2024年 都内百貨店 退社
展示歴
2019年 『ケ・アリク展』ギャラリーコンシール渋谷
2020年 『Individuality on T shirts』ギャラリーコンシール渋谷 企画・出品
2021年 『イメージとことば展』ギャラリーコンシール渋谷 企画・出品
2022年 『Changting Gallery Exhibition 2021』長亭ギャラリー
2022年 『三人展〜コラージュは互換性があるのか?〜』ギャラリーTK2
2022年 個展『食べる前に相手をよく見る』ギャラリーTK2
2023年 『AMOY International Art Fair 2023』出展
2023年 『Mirage Collage Assemblage vol.11』Gallery DAZZLE
2023年 『SOMSOC ART SHOW 23A/W』SOMSOC GALLERY
2023年 『重燃Rekindle』上海艺仓美术馆
2023年 個展『スーパー・ラジカル・デラックス』ギャラリーTK2
2023年 個展『とりあえず、肉、二人前ぐらい』Creative Space Hayashi
2024年『SOMSOC ART SHOW 24 S/S』SOMSOC GALLERY
查克林(Chakurin.Go)
ポストモダンの消費文化への批判を、おしゃれな「CITY POP」で訴えるアーティスト
中国出身、東京在住。2015年中央美術学院(中国)視覚伝達学科修了。2021年東京藝術大学グローバルアートプラクティス修士課程修了。快適なはずのポストモダンの都市生活を批判的に切り取るというアプローチで、インスタレーションとイラストを中心に創作活動を行なっている。それでいながら説教くさくなく、見てどこかユニークで気持ちのいい、シュールレアリズム風の画面が作家の特徴である。代表作は、オルダス・ハクスリーのディストピア小説『すばらしい新世界』にインスパイアと反省を受けた、ポストモダンにおける、なにも不足のないはずの世界での不満足を描いた『Mr.Popcha』シリーズ。東浩紀の『動物化するポストモダン』の主張を彷彿とさせる、真夜中の東京を描いたシュールな『Midnight Animals』シリーズ。そして、作家のライフワークである人と食と都市風景を融合させた『Foodscapes』シリーズなど。
Instagram:https://www.instagram.com/chakurin.go/
展示歴
2014年 『Out of Balance Exhibition』 ドイツ
2015年 『Echo: Inside Out LASALLE & CAFA Exhibition』 シンガポール、LASALLE Gallery
2015年 『中国美術大学2016修士卒業展』 中国北京、中央美術学院美術館
2019年 『GEISAI Art Exhibition』
2019年 『In Progress Art Exhibition』 ⽇本東京、東京芸術大学 Chinretsukan Gallery
2019年 『TUA&CSM Unit Program Exhibition』 イギリスロンドン、Central Saint Martin Gallery
2020年 『Watershed Art Exhibition』 日本東京、TORIDE Museum
2021年 CHANGTING Gallery 日本東京
2021年 GEIDAI Museum 日本東京
2022年 『対胃好』 日本東京、SOMSOC GALLERY 日本東京
2023年 『WHAT CAFE EXHIBITION vol.25』天王洲寺田倉庫WHAT CAFÉ GALLERY
2024年『SOMSOC ART SHOW 24 S/S』SOMSOC GALLERY
「SOMSOC GALLERY」とは
SOMSOC GALLERY(ソムソクギャラリー)はギャラリーとセレクトショップを兼ねるアート拠点、クリエイターユニット。 「SOMSOC」は「COSMOS」の鏡像という意味の造語で、表現者の内に潜む宇宙を意味する。SOMSOC GALLERYは表現者の宇宙と実世界を繋ぐワームホールとなり、表現者の思考やあふれるエネルギーを増幅し伝達する役割を担う。ポップカルチャーの世界的震源地原宿で、オリエンタルとポップの融合をミッションとして作品展示やクリエイティブプロジェクト、コミッションワークを推し進めている。
人間は孤独な銀河だ。
様々な領域に分断され、多様な情報に侵されながらも、
生きなければいけない。
東京というアートの大宇宙で、
東アジアを中心に孤独な銀河たちが集う。
SOMSOCとはCOSMOSの鏡像――反転した大宇宙を意味する。
SOMSOC GALLAERYは人間の内宇宙と外宇宙を繋ぐワームホールとなり、
大宇宙に散らばる表現者たちのきらめきを記録し増幅する。
アーティスト。
クリエイター。
キュレーター。
ミュージシャン。
彼らの呼吸、冷静、激情、そして欲望と暴走を引き受ける遊び場。
原宿の夜空一面をキャンバスに使い、
全世界から集った孤独な銀河――表現者が刹那に受信した信号を永遠に描き続ける。
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