世界初の商用利用可能な核融合炉実現を目指すHelical Fusion、2030年代に「実用発電」を達成する「Helix Program」および資金調達を発表

商用化最有力のヘリカル方式で、世界で唯一の「通年稼働」「正味発電」を全日本・全分野横断チームで実現。

株式会社Helical Fusion

世界初のフュージョンエネルギー実用化に向け、ヘリカル型核融合炉を開発する株式会社Helical Fusion(本社:東京都中央区、代表:田口昂哉、以下、「Helical Fusion」)は、創業時より掲げてきた世界で唯一「通年稼働」かつ「正味発電」を達成する基幹計画をアップデートし、このたび「Helix Program(ヘリックス計画)」として発表しました。

「実用発電」の達成に向けたステップをHelical Fusionが構築する全日本・全分野横断チームとの連携を力に、2030年代の実証へ前進してまいります。今回、東北から九州まで・ものづくりからエネルギー活用まで幅広い事業を手がけるパートナー企業を新たに心強い仲間として迎え、シリーズAラウンド(融資を含む)で約23億円の資金調達を完了しました。今回の調達で、累計調達額(補助金、融資を含む)は約52億円となりました。

Helical Fusionが開発するヘリカル型核融合炉の中心部のイメージ

■日本から世界のエネルギー産業をリードできる唯一の技術「ヘリカル方式」
Helical Fusionが開発する「ヘリカル型核融合炉」は、岐阜県にある世界有数の核融合の国立専門研究機関「核融合科学研究所」をはじめ、日本で約70年にわたって蓄積されてきた研究の知見を引き継ぐものであり、プラズマ研究・炉設計と工学研究成果の両面から、実用化に最も近い技術です。
核融合炉を発電所として商用利用するためには、核融合反応を起こすことはもちろん、①定常運転(24時間365日運転可能な安定性)、②正味発電(システム全体で取り出せるエネルギーが投入分を上回る)、③保守性(短期間で効率的なメンテナンス)という「商用核融合炉の三要件」をすべて満たす必要があります。現在、トカマク方式やレーザー方式をはじめとして、世界中で複数の方式を開発する50以上のプロジェクトがありますが、この三要件を「今ある技術」で実現可能な方式は、唯一「ヘリカル方式」を用いるヘリカル型核融合炉のみです。

■フュージョンエネルギー開発の意義
世界の人口は2050年までに約17億人増加すると予測*され、生成AIの普及も背景とした世界的な電力需要の急増に対し、既存発電方法のみで応えることは厳しい見通しです。フュージョンエネルギーは、太陽の輝きと同じ原理を使ったクリーンで効率性の高い発電方法であり、海水等から豊富に採取可能な燃料を用いることからも、世界的な課題を抜本的に解決する技術として期待されています。核融合プラント建設および電力市場は2050年までに世界で年間5500億ドル規模にまで成長するとの試算**もあり、今後自動車産業のように日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性がある一方、国際的な開発競争も激化しています。

2025年6月には日本政府による国家戦略「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」が改定され、我が国におけるフュージョンエネルギー産業の創出に向け、民間による研究開発および事業活動を強く後押しする方針が示されました。特に、トカマク型・ヘリカル型・レーザー型を中心にハイレベルな研究実績を誇る日本において、「多様な方式の挑戦を促す」ことや、「構築されつつある世界のサプライチェーンに我が国としても時機を逸せずに参入するだけでなく、我が国がサプライチェーンの構築を主導できるよう、官民が連携して取り組む」ことの重要性が強調されています。
Helical Fusionは、世界初の「商用核融合炉の三要件」を満たす核融合炉を2030年代に実現、世界に先駆けて商用化してゆくことで、真に持続可能で高効率なエネルギー源の実用化し、日本からその巨大産業をリードすることを目指しています。

■世界初の商用利用可能な核融合炉をつくる、「Helix Program」

Helical Fusionが進めるHelix Programは、「商用核融合炉の三要件」をすべてを満たす、世界で唯一の開発プログラムです。2023年5月22日にCTOの宮澤、副CTOの後藤らが発表した査読付き論文を基に、商用化に向けたアップデートを続けています。
このたび、定常・正味発電およびメンテナンスまで行う装置を「Helix KANATA」、その前段階となる統合実証を行う装置を「Helix HARUKA」、これらを合わせた計画を「Helix Program」と名付け、創業以来こだわってきた商用化へのステップをより明確にしました。
長年の研究開発の歴史に裏打ちされた炉設計技術の高さに加え、コア技術である高温超伝導マグネットの開発においては文部科学省によるSBIRフェーズ3補助金制度で最大交付額の20億円で採択されるなど、各コンポーネントの革新性についても高い評価を得て、開発を進めています。

Helix KANATAのイメージ(周辺機器と建屋を含む)

*国際エネルギー機関(IEA)年次報告書 「2023年版世界エネルギー見通し」(World Energy Outlook 2023)

**FusionX/Helixos report Global Fusion Market Analysis: Electricity, Supply Chain & Construction (https://fusionxinvest.com/data-analysis/analysis/)

商用核融合炉の三要件

  • 定常運転(24時間365日稼働可能な安定性)

二重らせん構造が特徴のヘリカルコイル

グリッドへ安定した電力を届けるために重要な「定常性」、つまり常に安定した運転ができることができる方式は限られています。ヘリカル方式は、DNAに似た二重らせん構造のコイルによって、核融合反応を起こす高温の「プラズマ」を極めて安定して効率的に保持できることが特長です。この安定性は、核融合科学研究所における記録(約1時間のプラズマ保持)によっても証明されています。

  • 正味発電(投入エネルギーを上回るエネルギー出力)

ヘリカルコイルとプラズマのイメージ

発電所の最低要件と言える正味エネルギーの確保は、世界中の核融合炉開発プロジェクトにおいて未だ大きな課題でもあります。ヘリカル方式を含むステラレーター方式***は、プラズマの保持やプラント全体の運転に必要なエネルギーの面で効率が高く、現時点で正味エネルギーを取り出せる見通しが得られている唯一の数少ない方式です。 

  • 保守性(短期間で効率的なメンテナンス)

消耗部材(増殖ブランケット)の交換作業のイメージ

発電所のメンテナンス期間は稼働率、すなわちコスト効率に直結します。Helix KANATAでは、ヘリカル方式の形状を最大限に活かした消耗部材(増殖ブランケット)の交換を設計に織り込んでおり、1年間の連続運転と3ヶ月以内で完了するメンテナンスにより、約80%の稼働率を見込んでいます。

***核融合炉においてプラズマを閉じ込めるには、磁力線に“ねじれ”を与える必要がある。この“ねじれ”を、ドーナツ状容器の周囲に巻いたコイルの電流のみによって与える方式をステラレーター方式と呼ぶ。ヘリカル方式の他、モジュラーステラレーター方式などがある。

■世界初の商用化へ一直線。「Helix Program」を確実に進めるためのラウンド
今回のシリーズAラウンドで調達させていただいた資金は、Helix Programを最速で前進させるための開発資金、チームの更なる拡充へ活かします。日本の産業のランドスケープを大きく変える、商用炉実現に、引き続き集中していきます。


出資者(順不同) ※カッコ内は運営主体を示します。

(エクイティ出資)

SBIインベストメント株式会社(SBI4&5投資事業有限責任組合)(SBI4&5投資事業有限責任組合2号)

株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ(KII3号インパクト投資事業有限責任組合)

X&Management Japan合同会社(X&KSK I 投資事業有限責任組合)

KDDI Green Partners投資事業有限責任組合

ニッセイ・キャピタル株式会社(ニッセイ・キャピタル14号投資事業有限責任組合)(ニッセイ・キャピタルサステナビリティ課題解決ファンド1号投資事業有限責任組合)

大和ハウスベンチャーズ株式会社(大和ハウスグループ投資事業有限責任組合)

HAKOBUNE株式会社(HAKOBUNE1号投資事業有限責任組合)

岡野バルブ製造株式会社

豊田合成株式会社

みずほキャピタル株式会社(みずほ成長支援第5号投資事業有限責任組合)

STATION Ai株式会社・株式会社ディープコア(STATION Ai Central Japan 1号投資事業有限責任組合)

東海東京インベストメント株式会社(東海東京インキュベーション2号投資事業有限責任組合)

株式会社アオキスーパー及びグループ会社

YNF合同会社

株式会社クレストスキルパートナーズ(CSP2号投資事業有限責任組合)

株式会社OKBキャピタル(OKBスタートアップ支援1号投資事業有限責任組合)

能代電設工業株式会社

株式会社山田商会ホールディング

株式会社リバネスキャピタル

個人投資家

(融資)

株式会社日本政策金融公庫

株式会社商工組合中央金庫

投資家からのコメント

SBIインベストメント株式会社 執行役員 投資部部長 松本祐典様

2023年4月の初回投資に続く追加投資になります。当社はSBIR Phase3に核融合スタートアップとして最大額となる20億円で採択され、政府レベルでもフュージョンエネルギー・イノベーション戦略が策定・改定される等、大きな時代のうねりが巻き起こりつつあります。「地上に太陽をつくる人類の夢」と言われた技術の実現を着実に進めておられる当社が大変誇らしいです。夢の実現に向けて、引き続きできる限りの支援をさせて頂きます。

株式会社慶應イノベーションイニシアティブ 木下秀一様

Helical Fusionは、地球規模の課題であるエネルギー安定供給と脱炭素の両立に挑む、極めて意義深い存在です。日本発の長年の研究成果を礎に、商用核融合炉の三要件を同時に満たす世界初の社会実装を目指す姿勢に強く共感し、今回​​出資を決定しました。KIIは研究開発・事業成長の両面の支援を通じて、Helical Fusionの価値最大化を共に目指してまいります。

 X&KSK Co-Founder & General Partner 本田圭佑様

核融合は人類の未来を左右する挑戦です。田口さんはじめとするHelical Fusionチームと何度も対話を重ね、その志と技術に対する信頼を確信しました。この挑戦に少しでも力になれるならと、出資を決めました。彼らとともに、未来のエネルギーをつくっていきたいと思います。

■日本全国・多様な産業から資本・事業への参画。産業の広がりが始まる

Helical Fusionに出資することは、日本から年間百兆円規模のポテンシャルを持つ次世代産業を創るチームに加わることを意味します。
今回のラウンドでも、日本発のフュージョンエネルギー産業創出へ、全日本・全分野での体制が広がっていくことを象徴するように、出資にとどまらず、事業面でも共に走り始めていただける仲間に多く参画いただいています。

事業連携分野の一例
日本中から、それぞれが誇る分野で共に手を動かしていただける仲間を新たに迎えました。

  • 一緒にプラントを作る: 岡野バルブ製造株式会社、株式会社山田商会ホールディング

  • エネルギーを送る: 能代電設工業株式会社

  • くらしにエネルギーを活かす: 株式会社アオキスーパー、大和ハウスグループ

今後も、各地域での連携を順次発表してまいります。

■今後の見通し

Helical Fusionでは、2030年代に定常・正味発電が可能なHelix KANATAの稼働を目指します。
直近数年間で、Helix HARUKAを開発し、独自の高温超伝導マグネットや液体金属ブランケットといったコア技術を含む統合実証を行います。

■Helical Fusion 代表取締役CEO 田口昂哉のコメント

日本に「もう一つ」太陽を作る。これが我々の目指す姿です。今や世界中で核融合の開発競争が繰り広げられていますが、その中でもHelical Fusionが手がけるヘリカル型は、世界中、特に日本の大学や国立研究所で70年にわたって培われてきた世界トップレベルの研究に裏打ちされた実績があります。とりわけ、現存する技術で実用化を目指すことを考えれば、我々のHelix Programこそ大本命であり、日本の大きな武器になると考えています。

人類はこれまで太陽と地球が持つエネルギーの恩恵を受けてきました。その太陽のエネルギーを人工的に作れるようになれば、初めて人類がエネルギーの点で自立することになります。人類にとって「最後のエネルギー革命」が核融合の実用化だと考えています。

この壮大な計画を実現するには、たくさんの仲間が必要です。日本から巨大産業を作り、日本が再び世界一に返り咲き、人類が自立する未来を日本がリードする。

そんな世界の実現に共感頂ける方を、Helical Fusionはいつでもお待ちしています。

株式会社Helical Fusion

株式会社Helical Fusion

■企業プロフィール
Helical Fusionは、日本生まれの「ヘリカル式」核融合炉で世界初の核融合エネルギー(フュージョンエネルギー)の社会実装を目指すスタートアップです。
核融合エネルギーは、高効率で安全・安定的な供給が可能かつCO2を排出せず、21世紀を生きる我々が直面する環境課題を抜本的に解決しうる技術です。
弊社は、国立研究所のスピンアウトベンチャーとして、日本で数十年かけた膨大な核融合研究の成果を引継ぎつつ、日本の技術力をフル活用して、世界初の核融合プラント実現を目指しています。
世界でも稀有な炉全体の開発・設計技術だけでなく、要素技術の開発力も高く評価されており、核融合用の先端技術(超伝導)では、文部科学省から20億円の補助を受けて開発を加速しています。
2025年には、経済産業省が運営するスタートアップ支援プログラム「J-Startup」にも選出されています。

■世界初の挑戦を実現するチーム
核融合に関する研究分野は多岐にわたりますが、商用化に向けては、全てのコンポーネントを統合し、核融合炉として動かすための「炉設計」のスキルが不可欠です。一方、このスキルを有する人材は世界的にも非常に稀有な存在です。Helical Fusionの技術開発を率いるCTOの宮澤、副CTOの後藤は、世界最高峰の核融合専門の国立研究機関である核融合科学研究所において核融合炉設計をリードしてきた中心メンバーであり、世界トップティアの研究者です。さらに、国立研究所出身の核融合炉の安全設計のプロフェッショナルや、ビジネス面でも金融・エネルギー事業開発など豊富な経験を持つメンバーなど、世界初の核融合炉実現を確実に進められるコア人材が揃っています。
フュージョンエネルギー産業の最上流を担い、技術でもビジネスでも勝てる日本を導くチームです。

<概要>
・事業内容:商⽤核融合炉および関連技術の開発
・設⽴: 2021年10⽉
・Webサイト: https://www.helicalfusion.com
・Youtube:https://www.youtube.com/@HelicalFusion
<本件に関するお問合せ>
・担当:株式会社Helical Fusion 広報担当
・連絡先:contact@helicalfusion.com

<株式会社Helical Fusionのプレスリリース⼀覧 >
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/89262

すべての画像


会社概要

株式会社Helical Fusion

25フォロワー

RSS
URL
https://www.helicalfusion.com/
業種
電気・ガス業
本社所在地
東京都中央区銀座 1-12-4 N&E BLD. 6F
電話番号
-
代表者名
田口 昂哉
上場
未上場
資本金
-
設立
2021年10月