株式会社脱炭素化支援機構がEF Polymer株式会社に対して支援決定、および出資を実行

脱炭素化支援機構

2025年9月30日 11時00分

　株式会社脱炭素化支援機構（代表取締役社長：田吉禎彦、英語名称：Japan Green Investment Corp. for Carbon Neutrality（JICN））は、EF Polymer株式会社（本社：沖縄県国頭群恩納村、代表取締役：ナラヤン・ラル・ガルジャール。以下、「EF Polymer」）の資金調達に対して3.2億円を支援決定し、出資を実行しました。

　今後は、EF Polymerが実施する事業のモニタリングを通じて、同社のGHG削減に向けた取組等を確認していく予定です。

１．事業者の概要

(1)名称　EF Polymer株式会社

　https://efpolymer.jp/

(2)本社所在地　沖縄県国頭群恩納村

(3)代表者　代表取締役　ナラヤン・ラル・ガルジャール

(4)設立年月日　2020年3月30日

(5)主な事業内容　作物残渣をアップサイクルした、100%天然由来かつ完全生分解性の超吸水性ポリマー「EFポリマー」の開発・製造・販売

(6)事業の実施状況と今後の計画

EF Polymerは、沖縄科学技術大学院大学のイノベーション・アクセラレーター・プログラムで採択され、沖縄で立ち上げられたスタートアップです。
EF Polymerの環境に優しい（Eco Friendlyな）超吸水性ポリマー「EFポリマー」は、オレンジの皮などの作物残渣のアップサイクルを通じて作られ、100%天然の生分解性保水剤および肥料保持剤としての機能を有します。
EF Polymerは既に日本とインドを中心とした世界各地において導入実績を有しており、今後、国内外での展開拡大を進める計画です。

２．支援決定に係る政策的意義

(1)温室効果ガス排出削減・吸収等の観点

農業分野は世界の主要な温室効果ガス（GHG）の排出源であり、カーボンニュートラル実現に向けては、農業・食料分野におけるGHG排出削減の技術開発や取組を推進していくことが重要です。

適度な吸水性能を有している「EFポリマー」の農地施用により、土壌の水分量が向上することから、農業における水使用量を抑えることができます。水使用量の抑制に伴い、農業用水の取水等に必要な電力消費が削減され、GHG排出量の削減が期待できます。

(2)経済と環境の好循環の観点

EF Polymerの超吸水性ポリマー「EFポリマー」が普及することで、以下の点で環境に配慮した持続性の高い農業や地域経済への貢献が期待できます。

地域で生じる作物残渣を「EFポリマー」の原材料として活用することで、地域から排出される廃棄物を資源としてアップサイクルすることが可能であり、化学肥料を代替する国内資源の循環利用による地域活性化が期待できます。
極端な天候が増えている昨今において、水使用量の削減や保水力の向上は、農家のレジリエンス向上への貢献が期待できます。
世界的には、干ばつ地域における農業の実現により、社会経済の課題解決への貢献が期待されます。
土壌の保水性能に加え、保肥性能も有している「EFポリマー」を農地施用することにより、化学肥料の使用量を削減することができます。肥料原料の輸入停滞や輸入価格の上昇などの影響を受ける化学肥料の使用削減は、肥料コストを抱える農家の収益改善に貢献します。
慣行栽培における化学肥料の使用量削減の実現により、土壌の健全化によって、土壌生態系の保全に資するとともに、「EFポリマー」の使用に伴う収量増加も期待でき、我が国ならびに導入地域の食料安全保障および食料自給率への貢献が期待できます。

　JICNは、引き続き、様々なステークホルダーと連携しながら、脱炭素に資する多種多様な事業に対する資金供給を行い、また、ノウハウや情報、人財を普及・輩出し、多様な主体がもつアイデアや技術をつなぐことで、豊かで持続可能な未来づくりに貢献してまいります。

【参考1】事業・投資スキーム概要