フージャースケアデザインとヒューマノーム研究所が「高齢者特化型の体調予測AI」の開発に向け共同研究を開始。〜見守り体制の強化や、メンタルヘルスケア・疾病予防・早期治療につなげる〜

さまざまな社会課題に向き合う「ソーシャルデベロッパー®」へ

株式会社フージャースホールディングス

2024年8月21日 13時00分

シニア向け分譲マンション「デュオセーヌ」で入居者・スタッフの協力の下、高齢者の健康や日常生活を支援するAI開発に着手

シニア向け分譲マンションの企画・運営を行う株式会社フージャースケアデザイン（本社：東京都中央区、以下「フージャースケアデザイン」）と、株式会社ヒューマノーム研究所（本社：東京都中央区、以下「ヒューマノーム研究所」）は、高齢者に特化した体調予測AIの開発に向けた共同研究を開始します。高齢者の体調予測にAIを活用することで、本人の主観だけでは気付きにくい体調変化の兆しを拾い上げ、メンタルヘルスケアや疾病予防・早期治療につなげる機会の増加を目指します。

本共同研究では、ヒューマノーム研究所が培ってきた体調予測AIを活用し、フージャースケアデザインが運営するシニア向け分譲マンション「デュオセーヌ」にて、入居者やスタッフの協力の下、高齢者の生活データの計測や実証を行います。

これにより高齢者向けに精度を高めた体調予測AIの開発を目指します。変化し続ける社会情勢に向き合いながら、高齢者が健康を案じる気持ちに寄り添い、人の目が行き届きにくい心理面も含めた見守りサービスをつくりたい、という思いが両社で一致し、この度の共同研究にいたりました。

■ 本件の背景

高齢者が抱える代表的な不安には「自分が病気になる」「介護が必要となる」「認知症を患う」などの健康に関するものがあげられています。未婚率の増加や核家族化の影響を受け、2040年には単独世帯の割合が40％に達すると見込まれています。健康状態を継続的に観察すること、変化に注意を払うことを家族のみで維持することは困難になると予想されます。

現在、政府も医療DXへの取り組みを積極的に進めており、介護現場では要介護者の見守り業務の省力化を目的とし、生体データの収集・分析が行われています。デジタル技術の活用による良質なケアを受けやすい環境は、今後ますます重要視されていくものと考えられます。

■ フージャースケアデザインについて

フージャースケアデザインでは、「老後」や「余生」や「隠居」などの言葉で捉えられるシニアライフではなく、「自分らしく輝ける、最高の舞台」である住まいと、健康寿命を長くするサービスを、一気通貫で提供することでシニアの「欲しかった暮らし」を推進してまいります。

2015年以降CCRC事業としてアクティブシニアのためのサービス付き分譲マンションブランド「デュオセーヌ」シリーズを首都圏を中心に15棟を開発、現在は11棟約2100戸のサービス運営をしております。ご入居者様の健康寿命を延ばし、いつまでのご自分のご意志で安全に快適にお住まい頂くことに引き続き取り組んでまいります。

■ ヒューマノーム研究所について

ヒューマノーム研究所は、創立以来デジタルデバイスから取得した日常生活データの解析・研究に取り組んできました。これまでに、デジタルデバイスから取得されるデータを用いて、がんサバイバーを対象とする体調推定指標の網羅的な探索※1や、温泉街の従業員を対象とする大規模計測・解析※2などを実施しており、ウェアラブルデバイスや体組成計から簡便に取得できる日常生活データを解析してきました。

ヒューマノーム研究所の計測事業の特徴として、解析によって得られた被験者の状況を、被験者にあわせたフィードバックとして提供する点が挙げられます。過去事例では、フィードバックには健康増進や健康への意欲を向上させる効果があることを実証しました。睡眠を中心とする生体リズムの維持が重要であること、客観的な計測データの変化がアンケート調査で得られる主観データに先んじて生じることを時系列データの解析から明らかにし、被験者へのフィードバックに活かしてきました。

※1 2023年6月20日ヒューマノーム研究所発表プレスリリース

リサ・サーナ、第一三共とがんサバイバーが主体的につくる研究基盤構築に関する共同研究契約を締結：https://humanome.jp/202306_taneds/

※2 2018年開始山形県鶴岡市湯野浜でのデジタルデバイスを用いた「日常生活」の計測について：https://humanome.jp/activities/humanome-lab/yunohama-humanome-lab/

■ 共同研究の内容・具体的な取り組み

フージャースケアデザインとヒューマノーム研究所が連携し、「住むことで健康になるマンション」をテーマに、高齢者のさまざまな日常生活データを計測し高齢者の体調変化を予測するAI開発を進めます。AIを活用し日常生活の些細な変化から体調変動の予兆を見出す仕組みをつくることで、高齢者が適切なタイミングで受診・検査できる環境を構築し「住むことで健康になるマンション」の実現を目指します。

・開発起点となる身体計測会を実施

体調変動予測を行うAI開発の実施にあたっては、高齢者の日常生活データの取得が不可欠です。

本開発の起点となる「日常生活を普通に送ることができる高齢者」の実データを取得するため、フージャースケアデザインが運営するシニア向け分譲マンション「デュオセーヌ豊田」にて希望する入居者を対象に、以下の身体計測会を実施しました。

【場所】

　デュオセーヌ豊田

【住所】

　〒191-0065 東京都日野市旭が丘3-1-25

【開催日時】

　2024年5月31日、2024年6月1日

【参加者】

　36名参加（参加定員：40名、戸数：118戸）

【計測内容】

　問診、血圧測定、握力、歩行能力評価、

　姿勢測定、バランス測定、関節可動域測定、

　身長、握力、体重、筋肉量、脂肪量、骨密度、

　アンケート（WHO-5：精神状態判定、

　LSNS-6：社会的な孤立状態の判定）

また、本計測会と並行して、「デュオセーヌ豊田」にて日常生活に支障のない入居者を対象とする継続的な生体データの計測活動も予定しており、試験的な計測を進めています。なお、デジタルデバイスの利用に伴い発生する、デジタル機器が得意な人とそうでない人の情報格差問題（デジタルデバイド）の対応については、利便性の周知方法やサポート体制の構築等を、「デュオセーヌ豊田」のスタッフと検討を開始しています。

■ 今後の予定

・睡眠、運動量データの継続的な取得とアンケートを実施

デジタルデバイスを利用し睡眠・運動量データを継続的な取得と、アンケートによる主観的な体調の調査を行います。これらにより、睡眠・運動量データと主観的な体調の変化の相関について解析し高齢者に特化した体調変動予測AIの開発を進めていきます。

・マンション内に常設する健康相談室に計測・解析データを提供

「デュオセーヌ豊田」内に常設されている健康相談室に、計測・解析データを提供することで、スタッフや看護師による見守り体制の強化と効率化をはかります。心身の変動を見守るデータを継続的に取得することで、医療機関とのスムーズな連携体制の構築を目指す他に、スタッフと入居者の関係性を深める契機や、高齢者の日常生活に関するデータベースとしても活用していく予定です。

・本共同研究に参加する入居者へフィードバックレポートを提供

入居者の日常生活改善に向けた啓発活動の一環として、計測結果に加えてデータ分析から得られた見解をフィードバックレポートとして入居者へ提供し、健康増進につなげます。さらに、健康状態にあわせた運動プログラムや受診の提案など、さまざまな形で入居者の健康を支援し、家族が担ってきた見守りの負担軽減も図ります。