リニアモータ駆動 超精密ワイヤ放電加工機「AX350L i Groove + Edition」新発売
精密金型製作における長時間安定加工と省力化に対応
株式会社ソディックは、精密金型製作における長時間安定加工・省力化要求に応える新製品として、油加工液仕様のリニアモータ駆動 超精密ワイヤ放電加工機「AX350L i Groove + Edition」 (以下「AX350L iG+E」) を開発、販売を開始します。
なお、「AX350L iG+E」は 「JIMTOF2024」(11月5日~11月10日:東京ビッグサイト)へ出展予定です。
■ワイヤ回転機構や省エネ機能を搭載し、多様な高精度加工ニーズに対応
当社の油加工液仕様ワイヤ放電加工機は、1981年の販売開始以来40年以上、自動車、時計、医療、半導体など幅広い分野で、世界中のお客様に使用いただいています。昨今、これらの産業では数日間に及ぶ連続加工による生産の効率化、作業の利便性や保守性、省力化の要望が高まっています。
このような多様な高精度加工ニーズに柔軟に対応するため、従来機「AX350L」の性能を高め、ワイヤ回転機構や省エネ機能を搭載した超精密ワイヤ放電加工機「AX350L iG+E」を開発しました。「AX350L iG+E」は、小型電子部品や金型部品から、モータコアに代表される中型自動車用駆動部品やプレートなど様々な高精度金型の高品質・高効率生産を実現します。
<開発ポイント①機械構造を見直し機械剛性をアップ>
「AX350L iG+E」は、従来機「AX350L」の機械構造を見直し機械剛性をさらにアップしました。先進の構造解析技術と熱変位シミュレーション、実際の加工現場環境での多数の機械の実測データや加工結果に基づいて、機械変位を最小に抑える構造を実現しています。また総合温度管理の思想のもと、高剛性門型構造、環境診断機能の採用に加え、当社独自の熱変位補正システム「TH-COM」に新たな制御モードを追加し、加工物と加工液を中心とした精密温度管理機能により、長時間に及ぶ金型プレート加工を安定して行うことが可能です。
<開発ポイント②高エネルギーでも断線を抑えた加工を実現>
加工面においては、ワイヤ放電加工における荒加工の放電波形を従来に比べさらに細かく制御することにより、高エネルギーでも断線を抑えた加工を実現します。ソディック独自の「ワイヤ回転機構」は、ワイヤを緩やかに回転させることで電極消耗が加工に及ぼす影響を排除します。この新技術により加工物の上から下までを未消耗のワイヤ表面で加工することができ、高精度な加工寸法が安定し、かつ、均一で高品質な加工面が得られます。またこの技術は、加工速度向上とワイヤ電極の全周を有効活用することでワイヤ消費量を抑制し、ランニングコスト低減とエコロジーに貢献します。仕上げ加工領域において最大 30%のワイヤ削減効果があります。
<開発ポイント③消費電力量を従来比10%削減>
ワイヤ放電加工においては、加工そのものに要する電力よりも、噴流や加工液循環、加工液温最適調整などの加工液処理系に用いられる電力が大きく、削減が重要です。「AX350L iG+E」では加工液の流量(噴流・循環)をモニタし、加工状態に応じて加工液の循環・送液ポンプをそれぞれ最適にコントロールすることにより、消費電力量を従来比 10%削減いたしました。(※AP350L比較、当社モデルケース)。加えて、自動電源遮断のON/OFFをワンタッチで切り替えたり、ランニングコストの状況をリアルタイムに表示できる、ガジェット機能「eco collections」を搭載。お客様のCO2排出量や消費電力削減にも貢献し、環境に配慮したサスティナブルな生産を実現します。
<開発ポイント④スマートなモノづくりをサポート>
近年では平日の夜間や週末の連続自動運転による生産性向上が求められており、「AX350L iG+E」は完全自動制御の3面自動上下式タンクを備え、ロボットを用いたワーク交換システムとの親和性が高く、連続した自動運転を構築できる機械です。国際標準規格MT Connect/OPC-UAによる生産システムへのデータ接続インタフェースを搭載し、「AX350L iG+E」からの出力データとお客様の持つ技能やノウハウと合わせることで、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代のスマートなモノづくりをサポートします。
■販売予定価格および生産目標台数
●価格:オープン価格
●生産目標台数:16台/年
■市場・分野
モビリティ産業 EV(電気自動車)の走行用モータ性能に直結するモータコア用プレス金型製作
半導体産業 半導体パッケージのリードフレーム製造用金型製作 など
■主な装置の特長点
①長時間安定加工
精密プレス金型のプレート加工は、最長150時間(約一週間)におよぶ場合があり、これらの加工を連続自動運転できます。
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4軸 X・Y・U・V軸 リニアモータ駆動(優れた位置決め性能とその再現性)
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高剛性門型構造
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総合温度管理(加工液温度制御、精密熱変位補正機能、環境温度診断)
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精密熱変位補正機能に液温一定制御モードを適用可能
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アーム懸垂構造(下アームが加工タンクを貫通せず、軸移動時の摺動抵抗がありません)
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安定した微細放電を実現するセラミックス構造部材を標準的に使用(定盤、ワークスタンド)
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油加工液仕様(安定した放電ギャップでの微細加工)
②作業段取り性能
接近性に優れ全ての加工領域でワークの交換や設置、位置決めが容易に行えます。
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ワークスタンド下まで加工タンクが降下(高板厚の切り落し部品を容易に除去)
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ワーク上面からの視認性アップ(Z軸ストローク220mm <サービスストローク100mm含む>)
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ワークの搬入・搬出が容易(ハンドリフタ利用のスペースを確保した設計)
③高性能な機能、超精密加工性能
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高速ワイヤ自動結線装置FJ-AWT (ワイヤ真直機能、下穴サーチ機能)
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クラス最高水準のピッチ・形状精度±1μm
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面粗さ Ra 0.02μm Rz 0.18μm
④保守性
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吸引式ワイヤ排出機構(ベルトレス化により定期交換部品を削減)
⑤充実の自動化・省力化
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ロボットを用いたワーク交換システムが構築可能
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ピッチ加工補正機能、アイドリング機能などの各種便利機能
⑥環境に配慮し、サスティナブルな生産を実現
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ガジェット機能「eco collections」(ランニングコスト表示など)
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加工液最適制御による省エネ機能
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ワイヤ回転機構「i groove」(アイ・グルーブ)によるワイヤ消費量抑制
■「AX350L i Groove + Edition」の主な仕様
●本機部
各軸移動距離(X軸 x Y軸 x Z軸) |
350 x 350 x 220 mm (サービスストローク100mm含む) |
最大加工物寸法(幅 x 奥行 x 高さ) |
540 x 500 x 100 mm |
最大加工物質量 |
300 kg |
ワイヤ電極径 |
φ0.05〜φ0.25 mm |
最大テーパ角度 |
(板厚:100mm) ±15° |
機械本体寸法(幅 x 奥行 x 高さ) |
1600 x 2505 x 2185 mm |
機械本体質量 |
4950 kg |
総電気容量 |
最大 13 kVA |
●電源装置部
電源入力仕様 |
200/220V 50/60Hz |
NC 部 |
マルチタスクOS、KSMC-LINK方式 |
同時制御軸数 |
最大4軸(オプション:最大8軸) |
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