【緊急声明】「相手の自宅に1人で飛び込む」訪問専門職の危険に関して〜2026年6月1日の殺害事件を受けた、現行カスハラ指針への緊急声明〜
日本男性看護師會が、密室の訪問現場で怯える専門職の声に答える。現場のリアルな提言で、命を守る実効的なハラスメント対策を国へ強く求めます。
一般社団法人日本男性看護師會(東京都新宿区・代表理事:坪田康佑、以下「本会」)は、2026年6月1日に発生した痛ましいケアマネジャー殺害事件を受け、訪問看護師・訪問介護士・ケアマネジャーなど「訪問専門職」の命と尊厳を守るための緊急声明を発表いたしましたことをお知らせします。
本会はこれまで、医療介護総合確保基金を活用した防犯グッズ購入支援の推進や、カスタマーハラスメント対策義務化などの制度構築に向けて貢献してまいりました。しかしながら、今回の余りにもバイオレンスな事件が示す通り、現場の安全を担保するための措置は「まだまだ足りていない」のが現実です。私たちは今後も、最前線で働く医療・福祉従事者が安心できる環境づくりに向け、歩みを止めることなく全力で取り組んでまいります。
【声明文】訪問医療・介護現場における「実効性ある」ハラスメント対策と法整備を求める緊急声明
■ はじめに
厚生労働省が2026年2月26日に策定した「職場におけるカスタマーハラスメントに起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」は、社会問題化するカスハラから労働者を守るための重要な一歩であり、その意義自体は高く評価するものです。
しかしながら、現行の指針に示された対策の多くは、オフィスや店舗といった「自社の管理下にある空間」で働く労働者を強く意識して作られており、相手のテリトリー(自宅)に丸腰で入っていかなければならない訪問看護師、訪問介護士、ケアマネジャーをはじめとする「訪問専門職」が置かれた特殊かつ極限の環境への配慮が決定的に不足していると言わざるを得ません。
私たちは、現行指針が抱える訪問現場との「致命的な乖離」を指摘し、実効性のある「訪問特化型」の対策および法整備を強く求めるものです。
■ 1. 現行指針と訪問現場における「4つの乖離」
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「複数人対応」という机上の空論
指針では「可能な限り労働者を一人で対応させないこと」が推奨されています。しかし、訪問介護士や訪問看護師・ケアマネージャーは制度上・コスト上で「1対1」のサービス提供が基本であり、人手不足に喘ぐ現場において事業所の持ち出しで複数人訪問を行うことは事実上不可能です。
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「退店・電話切り」が許されない制度の壁
指針は「一定の時間経過をもって退店を求める」としていますが、訪問先は顧客の自宅という「完全な密室」です。激昂した相手を前に自力での脱出が困難なケースも多く、また、要介護者や患者をその場に放置して帰ることは「介護・医療の放棄」や「遺棄罪」に問われかねないという重いリスクを伴います。
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「1人」の瞬間に機能しない連絡体制
「現場対応が困難な場合は本社に指示を仰ぐ」とされていますが、密室で威圧・拘束されている最中に、スマートフォンを取り出して事業所に通報・相談する猶予など現場には存在しません。
■ 2. 私たちが求める「訪問特化型」の追加指針・対策
訪問専門職の命と尊厳を守るため、私たちは国および関係機関に対し、以下の措置を指針に追加、または法制化することを強く要求します。
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「即時撤退」における公的・法的免責の確立
身体的暴力、性的ハラスメント、凶器による威嚇等があった場合、医療・介護の途中であっても職員は自身の安全確保のために即座にサービスを中断し、離脱できる権利を明記すること。また、その際のケア放棄に対する法的責任を一切問わない免責規定を国が保証すること。
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ボイスレコーダーやウェアラブルカメラの「常時着用」の標準化・公認
密室化を防ぎ、客観的な証拠を確保するため、訪問職が録音・録画機器を身につけて業務を行うことを「業界の標準ルール」として指針に位置づけ、利用者の同意形成をスムーズにする公的なバックアップを行うこと。
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緊急通報(SOS)システムの配備と財政支援
一歩間違えれば重大事件に発展しかねない密室の危機に対応するため、ワンタッチで事業所や警察に位置情報と音声を飛ばせる防犯端末の全職員配備を義務付け、そのための費用を国が助成すること。
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「契約解除(お断り)」基準の明確化と手続きの簡素化
各業法によるサービス提供義務がある場合であっても、悪質なハラスメントを繰り返す利用者や家族に対しては、事業所が毅然と契約を即時解除できる強力な権限を担保すること。
■ 結びに
在宅医療・在宅介護へのシフトが叫ばれる現代において、その基盤を支える訪問専門職が「いつ被害に遭うかわからない」という恐怖と隣り合わせで働いている現状は、日本の医療・福祉の崩壊に直結します。 国は、店舗型ビジネスの視点で作られた現在の指針にとどまることなく、「相手の自宅に1人で飛び込む労働者」の孤独と恐怖に真摯に向き合い、彼女・彼らが真に守られる実効性のある指針へのアップデートを早急に行うべきです。

■ 一般社団法人日本男性看護師會について(新規会員募集中)
2014年9月設立。Nursing for Nursesをモットーに看護職全体の課題解決を通し、患者を含む医療環境整備を目的に活動する団体。看護DXアワード主催・カスタマーハラスメント対策・産業看護支援・訪問看護支援など多領域で活動を展開。各都道府県看護協会・学会での年間50本以上の講演など、看護師を取り巻く環境改善に幅広く取り組む。女性看護師も含め、医療に関わるすべての人に開かれた団体。
現在、性別を問わず、共に医療現場をアップデートしていく仲間を随時募集しております。各種セミナーや交流会など、看護師に役立つコンテンツをご用意しています。
▶︎ 詳細・ご入会はこちらhttps://gkb.jp/s/jmns/application
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■ 医療機関・企業様とのタイアップ募集について
本会では、「Nursing for Nurses(看護師のための看護)」の理念に賛同いただける医療機関や企業様とのパートナーシップを随時募集しております。
・医療機関・病院関係者様へ
看護師の採用・定着支援、現場を熟知した専門家による産業保健支援(ペイハラ対策・離職防止・メンタルケア)、働きやすい職場環境づくりのコンサルティング、現職看護師向けのリスキリング研修など、組織課題の解決をサポートいたします。
・企業様へ
看護DXの推進、医療従事者向け製品の開発・監修、共同セミナーの開催、本会ネットワークを活用したマーケティング支援など、現場視点でのソリューション提供が可能です。
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