みんなの建築大賞2025〈茨木市文化・子育て複合施設 おにクル〉が大賞と推薦委員会ベスト1をダブル受賞
伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JVが設計した、地元の人々をはじめ"みんなに愛される"公共施設
前年の建築ベスト1を"みんなの投票"で決める「みんなの建築大賞」の第2回の結果が、東京・湯島にある文化庁 国立近現代建築資料館にて2025年2月10日に発表され、大賞をはじめとする各賞受賞者への授与式があわせて執り行われました。
伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JVが設計した〈茨木市文化・子育て複合施設 おにクル〉が大賞と推薦委員会ベスト1の両方を受賞しています。また、スタジオジブリのデザイン監修のもと、日本設計が手がけた〈ジブリパーク 魔女の谷〉には特別賞が贈られました。
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「みんなの建築大賞」開催の背景
「みんなの建築大賞」は、日本の建築文化を人々に周知することを目的に、2024年に第1回を開催。前会に引き続き、文化庁と、今年はジンズ(JINS)の協力を得て開催されました。建築空間メディア『TECTURE MAG』(運営:tecture株式会社 / 代表取締役CEO:山根脩平)は、ウェブメディア『BUNGA NET』(運営:BUNGA NET Inc. / 代表:宮沢 洋)とともに、前回に引き続き運営事務局を務めています。
2回目となる「みんなの建築大賞2025」においても、建築文化を人々に伝える役割を果たしている建築雑誌やメディアの編集者やライター、建築史家らが名を連ねる「みんなの建築大賞」推薦委員(委員長:五十嵐太郎)で構成される会議での討議を経て、過去1年間に竣工・オープンした建築作品の中から、10作品を「この建築がすごいベスト10」としてノミネート。2025年1月27日に「みんなの建築大賞」公式SNSと『BUNGA NET』および『TECTURE MAG』にて結果を発表し、直後から1週間のうちに得た「いいね」などの応援数が最も多い建築を大賞とする、一般参加型のアワードであることが特徴です。
みんなで大賞を選ぶ、開かれたアワード
ノミネート10作品の投票受付期間中には、ノミネート作品の設計者によるプレゼンテーション「設計者プレゼン総選挙」がYouTubeチャンネルにてライブ配信されたほか(配信協力:まいまい京都)、より多くの人々に参加してもらうため、今回かXに加えて、InsutagramとGoogleフォームからの投票を可能としました。10作品に対する"応援"として合わせて12,963の票が寄せられています。
「みんなの建築大賞2025」大賞ほか受賞作品
大賞・推薦委員会ベスト1(2賞受賞)
茨木市文化・子育て複合施設 おにクル
設計:伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV
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特別賞
ジブリパーク 魔女の谷
設計:日本設計 / デザイン監修:スタジオジブリ
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「みんなの建築大賞2025」ノミネート10作品(太字は受賞)
注. 施設名の50音順、施設名の後は主たる設計者
1)伊豆市津波避難複合施設 テラッセ オレンジ トイ / 東京大学今井研究室、日本工営都市空間
2)茨木市文化・子育て複合施設 おにクル /伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV ※大賞、推薦委員会ベスト1
3)エバーフィールド木材加工場 / アトリエ・シムサ、kittan studio、3916、山田憲明
4)小千谷市ひと・まち・文化共創拠点 ホントカ。 / 平田晃久建築設計事務所
5)グラングリーン大阪 / 日建設計、三菱地所設計、大林組、竹中工務店、SANAA、GGN
6)ジブリパーク 魔女の谷 / スタジオジブリ(デザイン監修)、日本設計 ※特別賞
7)2m26 Atelier / セバスチャン・ルノー、メラニー・へレスバック/2m26
8)豊田市博物館 / 坂茂建築設計
9)ポーラ青山ビルディングおよび土浦亀城邸復原・移築 / 安田アトリエ、久米設計
10)まちの保育園 南青山 / ALTEMY
エントリー作品の詳細
https://bunganet.tokyo/award2025-2/
https://mag.tecture.jp/event/20250127-jaa2/
得票の内訳と推移
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五十嵐太郎 推薦委員長による総評
「推薦委員がそれぞれ3作品を紹介し、10の候補作を選ぶプロセスは、おおむね昨年と変わりなく進行した。今回、個人的に興味深いと思ったのは、〈ポーラ青山ビルディング〉における「土浦亀城邸の移築」をはじめ、ノミネート以外にも、大高正人が設計した〈全日本海員組合本部会館〉における改修工事、旧渋沢栄一邸を移築した〈温故創新の森 NOVARE〉のほか、〈霞ケ浦 どうぶつとみんなのいえ〉や、〈ジンズホールディングス東京本社〉、〈渋谷区ふれあい植物センター〉、〈KYO AMAHARE〉、〈shizuhara stay〉、〈オパス有栖川テラス&レジデンス〉といったリノベーション作品が推薦されていたこと。つまり、新築ではないプロジェクトが多かった。
最終的に10選に残ったのは、〈ポーラ青山ビルディング〉における土浦亀城邸の復原・移築プロジェクトだが、YouTubeでライブ配信したプレゼンテーション「設計者プレゼン総選挙」において、設計者のひとりである安田幸一氏らが現場からの実況中継で作品を紹介したのが印象深かった。若い世代にはピンとこないかもしれないが、往年のテレビ番組『ザ・ベストテン』を思い出すような演出で、緊張感があった。また、〈まちの保育園 南青山〉も、独立した建築ではなく、同じ〈ポーラ青山ビルディング〉の内部につくられた空間であり、このような小さな作品に対しても推薦委員が注目していることがうかがえた。
今回から、X(旧twitter)に加え、InstagramとGoogleフォームからも投票できるようになった。その結果、各メディアの得票傾向が異なり、Xは〈グラングリーン大阪〉、Instagramは〈ジブリパーク 魔女の谷〉(以下「ジブリパーク」と略)、Googleフォームは〈茨木市文化・子育て複合施設 おにクル〉(以下「おにクル」と略)が1位となった。これも、前述の『ザ・ベストテン』が、レコードの売上げ・有線放送・ラジオ総合・視聴者のはがきリクエストなどの各要素を集計して順位を決めていたことに似ているかもしれない。
総合では、〈おにクル〉がトップとなり、推薦委員の票も最も多かったことから、みんなの建築大賞と推薦委員会ベスト1のダブル受賞が決まった。投票期間終盤は〈おにクル〉と〈ジブリパーク〉のデッドヒートとなり白熱したが、最後は地元の応援を受けた〈おにクル〉が得票数を大きく伸ばした。連日大勢の人で賑わっている〈おにクル〉は、設計段階からワークショップを何度も開催し、地元にファンを増やしたことが功を奏したのではないか。ともあれ、"みんなの建築"である〈おにクル〉が、正しく「みんなの建築大賞2025」を受賞する結果となった。
特別賞の〈ジブリパーク〉は、建築雑誌ではとりあげにくいタイプの作品だが、推薦委員1名からの応援で拾い上げ、見事に上位に食い込んだ。得票3位となった〈グラングリーン大阪〉のうめきた公園は、東京の再開発にない公共空間を出現させ、多数の支持を得た。また、現地に行ったことがあるのでよくわかるのだが、熊本の〈エバーフィールド木材加工場〉が容易には行きづらい立地であるにもかかわらず、4位となったことは敢闘したと言えるだろう。」(授与式にて公開された総評録画の内容を事務局にて要約)
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「みんなの建築大賞」公式SNS
X(旧Twitter)
Instagram @minnano_kenchiku
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