約9割が「自分の将来は自分で切り拓けると思った」。実践型探究学習に取り組む高校生1654人に意識調査
4/1からの必修化まで秒読み。高校で始まる「総合的な探究の時間」
認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都杉並区、代表理事:今村久美、以下 カタリバ)は、2022年度4月から全国の高校で新学習指導要領にもとづいて「総合的な探究の時間」が必修化されることに先立ち、全国で実践型探究学習「全国高校生マイプロジェクト」に取り組んだ高校生1,654人を対象に、その経験が自身の将来や志向性にどのような影響を与えるのかに関する調査を実施しましたので、お知らせします。
■この調査からわかること
実践型探究学習の経験が、高校生たちの、社会参加への効力感、社会課題解決への意欲、自分の将来に対する前向きさを育むことがわかりました。
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●約9割の高校生が「自分の将来は自分で切り開けると思った。」と回答
●「社会をよりよくするため、社会の問題に関与したい」が9割超
●探究学習が実践的になるほど「将来自分がやりたいことが分かった」と回答
●興味関心のあるものをテーマに設定した人ほど「社会を変えられるかもしれない」と感じる度合いが上がる
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■約9割の高校生が「自分の将来は自分で切り開けると思った。」と回答
「今回の探究の経験から、自分の将来は自分で切り拓けると思ったか」という設問に対し、全体の約9割が「そう思う」と回答しました(「とてもそう思う」「そう思う」の合計)。
■「社会をよりよくするため、社会の問題に関与したい」が9割超
また、「社会をよりよくするため、社会の問題に関与したいか」という設問に対しても、「とてもそう思う」「そう思う」を合わせた肯定的回答が9割超という結果となりました。
■探究学習が実践的になるほど「将来自分がやりたいことが分かった」と回答
さらに、「今回の探究学習を通じて、将来の自分のやりたいことがわかったか」をたずねる設問で、行動の深度(計画・調査・フィールドワーク・企画実行)別にその結果を見てみると、深く行動している生徒ほど「そう思う」と回答する割合が高くなっており、探究学習が実践的になるほど将来へのビジョンが明確になる傾向が見てとれます。
■興味関心のあるものをテーマに設定した人ほど「社会を変えられるかもしれない」と感じる度合いが上がる
また、「私の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」という設問で、興味関心と探究学習のテーマが一致している生徒と、一致していない生徒を比較すると、前者の方が「そう思う」と答えた割合が高く、自分の興味関心のあるものをテーマに設定した人ほど、社会に対する自己効力感が上がるということが分かりました。
■【まとめ】探究学習でポイントとなるのは「行動の深度」と「テーマ設定」
学校における探究学習では、web検索や文献での調べ学習で終わってしまうことが課題のひとつと言われていますが(*1)、今回の調査では、社会に出て実践をおこなうことで、社会への効力感や社会課題解決への意欲など上記のような効果が得られることが見えてきました。また、テーマに関しても、自分の興味関心のあるものを設定できるか否かで、そこに至るまでのプロセスや最終的に得られる結果が異なってくるということも分かりました。
2022年4月から高等学校での「総合的な探究の時間」が本格実施となり、全国の高校生が探究学習に取り組んでいくこととなります。一人ひとりの生徒が、探究学習を”自分ごと化”しながら、周囲の人々や社会を巻き込み、十人十色のプロジェクトを生み出すためには、「行動の深度」と「テーマ設定」が重要になってきそうです。
■3月25〜27日、実践型探究学習に取り組む全国の高校生が一同に集結
カタリバでは2013年から、探究学習プログラムの一環として、地域社会の課題や自分自身の興味関心から学びのテーマを設定し、実際に社会で課題解決に向けた実践をおこなう実践型探究学習「全国高校生マイプロジェクト(以下、マイプロジェクト)」を、全国の教育支援団体や個人、企業、学校と連携して推進してきました。近年あたらしい学びの在り方として探究学習の注目度が増す中で年々広がりを見せ、現在では年間を通じて全国6万人以上の高校生がマイプロジェクトに取り組んでいます。
マイプロジェクトでは、自分自身や地域と密接にかかわるテーマを設定し、それに関係する実践までおこなうプロセスを大切にしています。たとえば、過疎化が進む地元で関係人口創出のためのイベントを企画する、震災の記憶を継承するために地域に碑を立てる、親族が沖縄戦で亡くなった経験から戦争と平和啓蒙発信を行うなど、毎年様々なテーマのプロジェクトが実践されています。
今年3月25日から3日間、マイプロジェクトに取り組んだ全国の高校生たちが集う日本最大級のイベント「全国高校生マイプロジェクトアワード2021全国Summit」をオンラインで開催します。一般公開する3月27日(日)のプログラムでは、全国からエントリーされた総勢6,225プロジェクトの中から選ばれたファイナリスト6プロジェクトのプレゼンテーションが実施されます。ぜひ多くの方に、高校生たちの実践をご覧いただけたらと思います。
▼一般参加者向け申込フォーム、イベント詳細はこちらから
https://sites.google.com/katariba.net/my-project-award2021-summit/
▼報道関係者の方は下記フォームへの記入もお願いいたします
https://www.katariba.or.jp/report/(担当:認定NPO法人カタリバ広報 高木佳)
■調査概要
調査テーマ :実践型探究学習と生徒の志向性
調査方法: インターネットでのアンケート調査
調査地域: 日本全国
調査対象 :実践型探究学習に取り組んだ高校生1,654名
- 男女比:男性31.4%、女性67.8%、その他0.9%
- 学年構成:高校1年20.4%、高校2年70.4%、高校3年8.3%、高校4年0.1%、中等部3年0.1%
調査実施時期 :2021年12月13日(日)〜2022年2月22日(火)
■参照
(*1) ベネッセ教育情報センター主催ウェブセミナー「新課程1期生入学に向けた学びの設計と実践第7回:生徒のやりたい!を引き出す探究的な学び実践の第⼀歩 【第2弾】」セミナーレポートより
https://berd.benesse.jp/up_images/magazine/VIEWnext_kou_2022_02_shinkatei.pdf
■認定特定非営利活動法人カタリバ
どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
<団体概要>
設立 :2001年11月1日
代表 :代表理事 今村久美
本部所在地:東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 :高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(宮城県女川町・岩手県大槌町・福島県広野町・熊本県益城町)/災害緊急支援(西日本豪雨、令和元年東日本台風、熊本豪雨)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市・島根県益田市)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区)
URL : https://www.katariba.or.jp/
■お問い合わせ
・調査内容に関するお問い合わせ
zenkoku-mypro@katariba.net (担当:NPOカタリバ 全国高校生マイプロジェクト事務局 山田)
・取材、ヒアリングに関するお問い合わせ
https://www.katariba.or.jp/report/ (担当:NPOカタリバ広報 高木)
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