AI時代を生きる子どもたちへ 清春芸術村に内田奈緒氏が設計した建築が完成
遊びの塔ーtower of play
登るという身体的な行為によって自分の周りに広がる空間を知覚し直すこと、これが幼いときの「遊び」の原点になる感覚なのでは、と考えました。この塔では、じっとしているだけでも身体と建築との間のエネルギーのやりとりが意識されるような、そんな体験をして欲しいという想いがありました。
まずは基本的な建築言語である、四本の柱と梁と屋根でプリミティブな塔のフレームをつくり、その中に傾斜した柔らかい床を重ね、階や部屋といった要素を意識しながらも、上に向かって緩やかに連続するような塔の建築をつくりました。
この建築の中で、身を委ねる床と、外の景色との関係性を絶えず変化させながら、これからの時代を生きる子どもたちが身体いっぱい遊び、感性を育んでいってくれることを願います。
(内田奈緒/建築家 nao architects office主宰)
■プロジェクト名:「こどものための建築」プロジェクト
■プロデューサー:吉井仁実(公益財団法人 清春白樺美術館財団 理事長)
■ディレクター:白井良邦(慶應義塾大学SFC特別招聘教授)
撮影/筒井義昭
内田奈緒
東京生まれ。2010年より日本デザインセンター・原デザイン研究所にて空間、建築関係のプロジェクトに携わる。2016年に東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。在学中の2014-2015 年にスイス連邦工科大学 (ETH)留学。修了後、デザインオフィス <nendo>に在籍し、国内外でインスタレーションや展覧会の会場構成、建築・家具のデザインを担当。現在は<nao architects office>を主宰し、建築や内装、家具等の設計に従事。また、バーゼルと東京を拠点とする建築設計事務所<an-a-c>共同主宰。日瑞建築文化協会(JSAA)理事。 撮影/足立ゆり
清春芸術村
1980年、清春小学校の跡地に、武者小路実篤や志賀直哉をはじめとする白樺派同人による美術館構想を実現すべく、吉井長三が私財を投じ完成させた芸術文化施設。建築家・谷口吉生の設計によるく清春白樺美術館> (1983年開館) やくルオー礼拝堂> (1986年開堂)、新素材研究所/杉本博司+榊田倫之のゲストハウス<和心> (2018年竣工)など、敷地内には名建築が立ち並ぶ。 https://www.kiyoharu-art.com/
株式会社ジャクエツ
1916年に創業し、「未来は、あそびの中に。」をスローガンに掲げ、幼児施設向けの教材や遊具の製造販売から始まり、園舎の設計施工を行う企業です。近年では、美術館や他の公共施設、商業施設においても高品質なあそびの環境をデザインすることで、子どもたちの成長を支える「未来の価値」を創造し続けています。
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