紙リサイクルを「知る」から「行動する」へ

-経済学と地域の実践から考えるセミナーを開催-

公益財団法人古紙再生促進センター

公益財団法人古紙再生促進センターは、2026年10月16日(金)、星陵会館ホール(東京都千代田区)において、令和8年度「紙リサイクルセミナー・紙リサイクルを『知る』から『行動する』へ」を開催した。会場とオンラインのハイブリッド形式で実施し、会場には200名を超える参加者が集まった。経済学の視点、自治体と連携した実践、地域循環・共生社会づくりの三つの切り口から、可燃ごみに含まれる雑がみの掘り起こしと、市民の行動変容につながる啓発のあり方を探った。

理解と共感を、日々の分別行動につなげるために

可燃ごみの中には、分別すれば資源として再利用できる雑がみが今も含まれている。回収の仕組みや分別ルールを整えるとともに、一人ひとりの気づきを実際の行動につなげ、その行動が続く環境をつくることが課題となっている。

本セミナーでは、「私たちは何を、どう伝えていけばよいのか」を共通の問いとして、研究と現場の双方から講演を行った。当センターからも、理解と共感を行動につなげる新たな啓発の試みを紹介した。

講演① 経済学の視点から、自然に分別したくなる仕組みを考える

近畿大学 経済学部経済学科 准教授 石村雄一氏

石村氏は、古紙・雑がみの分別を促す方策を、経済学の視点から解説した。分別や保管には時間的・心理的な負担が伴う。その負担を軽減し、自然に行動を後押しする手法として着目するのが「ナッジ」である。講演では、回収実績の見える化や他者との比較、身近で具体的な目標設定などの研究事例を紹介。仙台市の古紙拠点回収の実験では、個人の回収実績を伝えることで回収量が9.5%増加したという分析結果も示された。分別ルールの簡素化には、回収後の選別費用や品質とのバランスの検討が必要となる。住民の負担軽減と持続的な資源循環を両立するため、行政・回収業者・製紙会社などが連携して仕組みを設計する重要性を強調した。

講演② 名古屋市の歩みから、分別を支える連携と費用負担を探る

 株式会社石川マテリアル 代表取締役社長 石川喜一朗氏

石川氏は、名古屋市の「ごみ非常事態宣言」を契機とした古紙リサイクルとごみ減量の歩みを紹介した。その基盤にあるのは、行政・市民・古紙業界・新聞社・製紙会社による役割分担と協力である。集団回収の活性化や紙製容器包装の資源化に加え、高齢化や生活様式の変化に対応する戸別回収、常設回収拠点の取組を説明。また、名古屋市などとの啓発協定に基づく「雑がみさまを探せ!」や、小学校での回収体験学習にも言及し、子どもの学びが家庭の分別行動へ広がる可能性を示した。古紙は品質基準を持つ「商品」であり、その循環には適切な分別と選別が欠かせない。回収・選別に必要な費用を社会全体でどう支えるかを、循環経済の実現に向けた課題として提起した。

「雑がみさまを探せ!」の実践と、全国への連携の呼びかけ

古紙再生促進センター 中田業務部長

当センターからは、「雑がみさまを探せ!」の取組を紹介した。大切にしているのは、「見つける・気づく・行動する・広がる」という流れである。身近な紙への気づきを分別行動につなげる社会実験を全国各地で進め、この夏には実践をまとめた事例集を発行。全国1,700余りの自治体への送付と啓発資材の無料提供を通じ、連携を呼びかけている。会場では、荒川区・福岡市・佐賀市の活動を紹介するテレビ映像も上映し、各地の実践を共有した。

(https://www.youtube.com/watch?v=zbAo1_fqVJc  荒川区活動紹介動画)

講演③ 紙リサイクルを入り口に、地域の力をつなぐ

 株式会社イワフチ 代表取締役 岩渕慶太氏

岩渕氏は、紙リサイクルを入り口とした地域循環・共生社会づくりについて、佐賀での実践を紹介した。軸となるのは「共感・行動・連携」。行政、企業、学校、大学、スポーツ・福祉団体など、地域の多様な主体が持つ強みをつなぐ取組である。「雑がみさまを探せ!」を活用した分別ゲームや出前授業、大学生との啓発活動など、関心の薄い層にも参加のきっかけを届け、家庭や地域の行動へ広げる事例を説明。啓発を人と人との関係づくりと捉え、教育や福祉などにもつながる地域共創の可能性に言及した。目指すのは、各地の資源やつながりを生かした、その地域らしい実践である。全国の取組が互いの知恵や工夫を学び合いながら発展していく展望を語った。

(コメント)古紙再生促進センター 専務理事 川上正智

紙リサイクルを「知る」ことから、日々の暮らしの中で「行動する」ことへ。その一歩をどう後押しするかが、これからの啓発の課題である。可燃ごみに眠る雑がみを資源として生かすには、市民の共感と参加、そして行動を支える多様な主体の連携が欠かせない。今回の講演で示された研究成果と現場の知恵を各地の実践につなげ、自治体や事業者、学校、地域団体の皆様とともに、紙リサイクルを通じた地域循環・共生社会づくりを進めていきたい。

当日のセミナー動画を公開中

10月19日より、当日のセミナー動画をYouTubeで公開している。各講師の講演と当センターの取組紹介を通じ、雑がみの掘り起こしと市民の行動変容を促し、紙リサイクルを地域のつながりへと広げていく当センターの思いを、多くの皆様と共有していきたい。

また、各地の自治体・団体・企業などに向けて、「雑がみさまを探せ!」の啓発資材を無料で提供している。地域のイベントや学校での環境学習、職場での分別促進など、身近なところから取組を広げるきっかけとして、ぜひご活用いただきたい。

セミナー動画配信サイト
雑がみさまを探せ!事例集
啓発資材の無料提供申込チラシ

雑がみさまを探せ!事例集(https://www.prpc.or.jp/wp-content/uploads/Case_studies_on_raising_awareness_regarding_the_collection_of_recyclable_mixed_paper.pdf)

啓発資材の無料提供申込チラシ(https://www.prpc.or.jp/wp-content/uploads/flyer-for-requesting-educational-materials.pdf)

雑がみさま
雑がみさまを探せ!啓発チラシ

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会社概要

URL
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業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都中央区入船3丁目10番9号 新富町ビル4階
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代表者名
長谷川 一郎
上場
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資本金
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設立
1974年03月